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世話をする
父は
きゅうりの作業の合間を縫って
トラクターを走らせたり
田んぼの畦道を整えたり
草刈機で草を刈ったり
水路を綺麗にしたりと
忙しなく作業に追われる時期があります。
田植えの前ですね。
「世話をしにいく」
そう言って
娘と母にやっておいて欲しいことを伝えて
田んぼへ向かいます。
毎回
今日は何をしたのか
それはどんな作業なのか
力は必要か
どんな機械を使うのか
あと何ヶ所それをするのか
聞きます。
きゅうりの作業があるので
ついては行けませんが
父が何をしているのか
興味があったんです。
『世話』
これがどんなに大変な事か
聞いていくうちに分かるようになりました。
米が実る前には田植えを
田植えの前には田んぼの水張りを
水張りの前には籾まきを
籾まきの前には籾種を起こし
籾種を起こす前には畦や水路の整備
畦や水路の整備の前には田おこし
娘が手伝ったのはほんの一部か…。
一日で終わる作業ではないので
何日にも分けて
冬の間眠っていた田んぼを
起こしていく作業。
娘が幼い頃に遊んでいたあの畦道は
祖父や父が綺麗に作ってくれていたのだと
この歳になって気づきました。
知らなかったなぁ。
見慣れた光景が
『世話』
の賜物であったと
そう気付いた瞬間…
ほんの少しだけ、
涙が出そうになりました。




