表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
じゅんけいさん。  作者: ジョウビタキ子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/19

うちまく


ハウスでの作業をしていると

水滴が ぽたり ぽたり と

落ちてくるゾーンがあります。



理科の実験で体験した

水蒸気を集めると水になる。

湿気の多いビニールハウスの中でも

同じことが起こっているのでしょう。



娘は今日も

きゅうりのつたの葉を

鋏でパチパチと摘んでいました。



そう。

ポタポタ水滴が落ちるゾーンです。

長靴に帽子、アームカバーに手袋。

暑くても日焼け対策をしているので

平気のへっちゃらです。



むしろ涼しい。



そう思いながら

リズムよく摘んでいると、

後方から内幕を下す金属チェーンの音が響きます。

(内張りとも言うらしいですが、父は内幕って言ってました)



『じゃららららららららららら』



寒くなると閉めるんです。

でもまだそんな時間じゃないのに。

そう思いながらも気にせず鋏を動かしていると、

進行方向に滝のように水が落ちてきました。



『ばっしゃーーーーーーっ!』



「はっ?!」



動きを止めて、水浸しになった通路を見つめます。



「濡れたか〜?」



呑気な父の声がします。



「濡れてないー!何があった?何で水??」

「ん〜?内幕に水が溜まってたから落とした!」



ビニールが破れたらいけないから、と

付け足して説明をする父。

ふむふむ。

なるほど。



「娘がこの列を摘み終わってからでも良かったよね?!びちゃびちゃですが??」

「ははは〜そうね〜」



思い立ったら行動する父です。

水を落とそう。

娘に水が掛からなければまぁいいだろうと。

そう思ったのでしょう。



かかってはいない。

セーフです。

でも通路がべちゃべちゃね〜。

中腰で切りました。

腰が痛かった。



また別の日。

今日も娘は葉を摘んでいます。

すると、また金属チェーンの音。



『じゃら…じゃらら…じゃららっらっらっらららら…』



何だか遠慮がちな音と共に、

上から落ちてくる水滴が増えた気がしました。

娘はハッとします。



「!!!」



慌てて立ち上がり、横の通路へ移動しました。



『ばしゃーーーーー』



また水責めです。

チラッと金属チェーンの方を見ると、

こちらを伺う父の姿。



「冷たかった〜?」

「……セーフ!」



多分。

娘が遠いところにいたので

言いに来るのが面倒だったのでしょう。

ゆっくり下ろしていけば気づくだろうと、

もしくは水が掛からなければ良いだろうと、

ニヤニヤ顔が語っています。



私は濡れなかったけどね…

座ってたタイヤ付きの椅子は

アウトなのよ。



娘が濡れていないとわかると

次の金属チェーンを豪快に下ろしに行った父。

母の叫ぶ声がします。



「……かわいそうに」



娘は椅子を拭きながら

母のプリプリした声に

ちょっと笑ってしまいました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ