いっせつだけ
「ここにほら〜、きゅうりの実と芽が出ゆうろ〜?この、実だけ採りたいから、この上の芽だけを、一節で摘んでください!手で!こうやって!」
いっせつ…?
いっせつとは?
父は一体…何を言っているのかな?
あぁ…このボサボサと葉っぱが生い茂っている
きゅうりの株の…
1番上で健気に成長している
小さな葉っぱの集合体がいらない………
そういうことかしら?
「わかった〜?できますか〜?」
あぁ〜はいはい。
何度かお手本を見せてもらったら、分かってきた。
やっぱりあの1番上の…
可愛い葉っぱの集合体がいらないんだ。
うんうん。
大体わかった気がする。できそうだ。
「わかった!こうでしょ?」
父の手本通りにプチンと手で摘み取ってみせた。
自信たっぷりに、勢いよく。
すると、慌てた父が大声をあげた。
「ちがーーーう!!」
「え?!」
違う?違うって何が違う??
「この一節だけ摘むがよ!全部摘んだらいかん!」
「?????」
父と私の作業の、どこが違っていたというのかしら?
言われた通り、一番上の芽を除けたというのに。
そもそも…
いっせつって何??
違いがあるとしたら…
父の方は葉っぱが一枚残っていて
私の方は茎しか残っていない
…葉っぱを一枚残さないといけなかったのか?
「あ〜娘にやらしたら、全部実がなくなる。自分でやるから、今日はもう帰っていいぞ〜!」
「え?帰っていいの??」
「いい」
「お疲れ様でしたー♪」
娘、戦力外通告。
暑いハウスから喜んで帰る。
その一年後…
「一節で摘んで!」
「あーい」
娘、一節を理解。
プチ戦力となる。




