3-9
3度目のキスは、ゆっくりと訪れた。触れるだけのキス。ふに、と柔らかなそれはすぐに離されたかと思うと、角度を変えてもう一度触れて離れた。どっどっどっと体の中から激しく鼓動に叩かれているようだった。
緊張のあまり、固く結んだナディアの唇をリュカの親指がなぞる。何度か優しく撫でていた指は、しびれを切らしたかのように、ナディアの唇を押し開いた。下の歯に触れるリュカの指を感じて体の芯が震えた。
(また、この感覚……)
助けを求めるように目で訴えるも、恍惚としたリュカの色香に反対に当てられてしまう。
「そんな表情、他の男に見せてはいけませんよ」
そんな顔って言われても、どんな顔をしているのか、自分ではわからない。
「ん……っ」
再び交わされる口づけ。リュカの指に開かれたままだった口は、リュカの舌をやすやすと受け入れてしまう。リュカのそれは、柔らかく、そしてとても官能的だった。ナディアの舌を探したり、歯列をなぞったり、唇をついばんだり、リュカから与えられる刺激にただただ身を任せることしか出来なかった。
座っているのに、倒れそうな感覚になり、思わず両手でリュカの胸に縋ってしまう。そんなナディアを知ってか知らずか、腰に添えられた手に力が入る。
「す、すみません……」
「いえ、私がいけませんでした。これからは加減します」
(なんだかそれって……)
自分がまだまだだと言われている気がして、また顔に熱が集中した。これから先、リュカの相手が勤まるだろうか、と不安がナディアを覆った。




