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0.甘味を待つ少女
おっさんの話、始まります。
前回の章とは違い、かなり重いお話になりますので苦手な方は世界設定のみご覧下さい。
わたしは、物語の味も集めているの。
たとえば、わたしの大好きなドーナツ。
そこに込められた感情、背景、選ばれた素材、そして――「届けたい」という想い。
それを全部、ひとくちで味わう。
……そう、わたしの舌はね、
美味しさと一緒に、その物語の味もわかるのよ。
前に来てくれたドーナツの子は、本当に綺麗で、優しくて、素敵な“味の物語”を届けてくれたわ。
けれど、わたしはいつも待っているの。
「とびきりの甘味」を。
「あなたの歩んできた物語」を。
それは、人々への挑戦であり、
そして――祝福。
でもね、この依頼に応えられる人は、いつもボロボロで、くたくたで、そのくせ目だけは真っ直ぐで……
そんな、人間らしい人ばかり。
わたしは、そういう人が作った甘味を、持ってきた甘味を、その人の記憶で生まれた“本”と一緒に、ひとくちずつ、ゆっくりと味わっていくの。
いろんな人生が燃えたあと、なにかを抱えて輝く“星々”が――
それが、わたしの中の希望。
わたしの名前は、ミーティア・フォトン・ハーバリウム。
18代目の魔女であり、宇宙に染められた、ほんの小さな存在。
今日も、裏路地の奥で、
あなたの物語が届くのを――待っているわ。




