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Astrolibra (アストロリブラ)  作者: 夢想の月
1.小さな少年の物語
1/26

0.ドーナツの味は

初書きです。

のんびり更新しますので見ていただければ幸いです。

目の前のドーナツの味は、宇宙の味がするの。


――だって、これは私が作ったものだから。



まず、“どうしようもない苦味”がやってくる。

舌の奥じゃなくて、喉の奥――心のずっと奥のほうに、じんわり残るの。



そのくせ、すぐに“依存してしまいそうな甘さ”が絡みついてくるのよ。

ただの砂糖じゃない。甘いのに、苦い。安心するのに、ちょっと怖い。

一口で、ぜんぶの感情がごちゃ混ぜになっちゃうの。まるで夢みたいな味。



極めつけは、“なにも入ってないのに、ぱちぱちと弾ける”の。

ほんとうに何も入ってないはずなのに、星みたいに口の中で弾けて――

気づいた時にはもう、宇宙を食べてる感覚しか残ってないのよ。


……ね、面白いでしょ?




ーーーーーーーーーー




ねぇ、知ってる?

一度宇宙に染まったものは、もう宇宙しか作れなくなっちゃうの。


優しさも、怒りも、悲しみも、なにもかもが“宇宙のかたち”になってしまうのよ。

たとえそれが、美味しいごはんだったとしてもね。



でもね、染まった者はやがて気づくの。

それは本当に望んでいたものじゃなかった――って。

だけど、もう戻れないの。染まってしまったから。

私はそもそも望んで染まった訳じゃないんだけどね。



だから私は、星が百と少し回ったあの日、ひとつの依頼を出したの。

「美味しいドーナツを、ここまで届けてほしい」って。



……でもね、まだ本当に“美味しかった”って思えるドーナツは、ほんの数えるほどしか来ていないのよ。

悲しいことにね。


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