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4.見ちゃった…

中学時代から琴葉の事が好きだった。

琴葉に名前を呼ばれるだけでドキッとした。でも、自分から名前を呼ぶのは恥ずかしい。もう3年くらい仲良くしているけど私たちの関係は友達のままだ。でも、それでいい。この関係を崩さないためにも私はこの気持ちを胸の奥に秘めておく。






ある日の昼休み。私は西園寺さんと空き教室でご飯を食べていた。

「最近ずっと一緒に食べてない?そろそろみんなと食べようよ」

「嫌だね。君と食べていた方が楽しいから」

「はいは〜い」

このように軽くあしらった方がコイツの相手はしやすい。コイツの言葉に振り回されてたら心がいくつあっても足りはしない。

「ところで、アプローチをしてから1週間くらい経つが私の事を少しは分かってくれたかな?」

「わがままな完璧人間って事はわかったよ」

「それは褒めてるのかい?」

「ど〜だろね〜」

「そもそもなんで私の事を好きになったの?流石に話しかけられただけって事はないでしょ」

「まあ...そうだね」

ん?理由を言いずらそうにしているな?聞くのをやめた方がいいかな

「まあいいや。私的には西園寺さんとの関係は恋人としてじゃなくて友達としてのルートを辿ってる気がするけどね」

「じゃあ私とハグしよう」

突然何を言い出すんだコイツは。そういうのは付き合ってからするものだろう。

「ななな何を言ってるの!?」

「そんな事するわけないじゃん!」

「物は試しと言うだろう?言葉じゃ伝えられないものがあるかもしれない」

コイツは1度言い出したら聞かないからな。しょうがない別にハグくらい仲のいい女友達ならやるだろう。

「しょうがないな〜。1度だけね」

「あぁ」

コイツ露骨に嬉しそうな表情をしやがる。なんだかムカつくな

そんな事を考えているうちに西園寺さんは私の腰に手を回してきた。心臓の鼓動と彼女の気持ちが同時に伝わる。暖かい。

「もう終わり!西園寺さん。」

「まだこうしていたいんだ...」

「終わりだって!」

コイツやっぱりわがままだ

「終わりにして欲しいな...雫」

彼女は顔を赤らめて私から手を離す

「それは...反則じゃないか」

何を言っているんだ。これも私の立派な私の技術さ。

私は心臓の鼓動を早まらせながら片付けをする。次の授業は集中できそうにない。






見てしまった。偶通りかかった調理室で琴葉と知らない女の子がハグをしていた。

「嘘......でしょ?...」

自然と口からこぼれた

どうして。私はずっと前から好きなのに。なんであんなぽっと出の人に。それに異性ならともかく同性の人に...。なら、私でも... そんな醜い考えはダメだと思いとどまりすぐにその場を離れた。








あの人は誰なのだろうか?この前相談してきた事と関係あるのだろうか?正直、顔は私よりあの人の方が美人だと思う。でも一緒に居た月日があるはずなのに...。いや、違うか...長く一緒にいたせいで琴葉のことを私のモノだと勘違いしていただけなんだ。きっと今の私は醜い顔をしているだろう。この複雑な感情を処理できるほど私、里宮咲は優れた人間ではない。

「今日の部活...行けそうにないなぁ」







放課後、琴葉に体調不良で部活を休む旨のメッセージを送り、教室でぼーっとしていると廊下にさっきの人が1人で居るのを見かけた。今から帰るところなのだろうか。

私の足は自然と動き、彼女について行った。学校から2分くらい離れた所で私は彼女に話しかけた。

「アンタは琴葉とどういう関係なの?」

彼女は突然話しかけられたからなのか驚いていた

「その前に...君は誰かな?」

「ごめんね、私は琴葉と中学時代から友達の里宮咲」

何故か少し威嚇のようになってしまった。中学時代からの友達とか言う必要なかったよなぁと後悔していると

「なるほど。琴葉の友達か。 私は西園寺雫。君が中学時代からの友達というなら私は高校からの友達ということになるのかな。ぜひ私のことは西園寺と呼んでくれ」

「それで質問に答えてくれる?アンタと琴葉はどういう関係なの?」

「西園寺と呼んでくれと言っただろう。まあいい」

少しの間を置いて西園寺さんの口が開く

「私は琴葉を愛している」

たったそれだけの言葉に私は酷く動揺した。

「そう...なのね」

これ以上私たちの間に言葉はなかった。







家に帰り、ベットの上でずっと今日のことを考えていた。正直、琴葉を取られるのはすごく嫌だ。でも、今日の西園寺さんを見て自分の気持ちを素直に伝えられていて尊敬してしまった。私に足りないのはそういう部分なのだろうか。そんな事を悩んでいるうちに琴葉からメッセージが来た。

「体調大丈夫?今からお見舞いに行くけど欲しいものある?」

まさかの事態に私は本当に体調が悪くなりそうだった。

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