1.出会いと告白
普通であることだけが私の取り柄
とりわけ得意なことも無ければ苦手なこともない。
そんな私、橘琴葉の高校生活が今始まろうとしている
つまらない入学式が終わり、新しいクラスでのこと。
私は近くの席の人に話しかけた。
「私は橘琴葉っていいます。あなたは?」
綺麗な長い黒髪の女の子、これから仲良く出来れば良いなと思った。しかし、今思えばこれが間違いだった。
「私は西園寺雫。よろしく」
西園寺はクールな女の子みたいだ冷たい月の様な瞳、私はその瞳に吸い込まれて呆然としてしまった。
そこで会話は終わってしまったが、その時は何も思わなかった。
その後友達も増えていき、順調に高校生活が進んでいった。新たな環境に慣れず、ストレスを感じることも多々あったけど楽しい学校生活だった。
そのまま月日は流れ、ある5月の暑い休日。私は部活のついでに教室に忘れ物を取りに来た。そこで黒い美しい髪をたなびかせた少女が座っていた。その目からは涙が滴っていた。
「どうしたの?」
自然と口から言葉がこぼれた
「いや、何でもない。私としたことがみっともない姿を見せてしまった。」
「何にもないなんて事はないでしょ?じゃなかったら泣いてない」
「本当に何も無いんだ。詮索しないでくれ」
私はそう言われて何も言えなくなった。だけどこのまま放っておくことは出来ない。だから私は彼女の手を握った。
「君は...優しいんだね」
「普通、泣いている人がいたら誰でもこうするよ」
「そんな事はないと思うけどね。 ありがとう。
こんな事を言うつもりは無かったけど、こんなに優しくされたらダメだ、我慢できない」
「?我慢しなくていいよ?」
少しの間を置いて彼女の口が開く
「私は入学してから君に懸想しているんだ」
彼女は顔を赤らめながらそう言った
何を言っているか分からなかった。普通に。懸想という言葉が分からなかった。だってしょうがないよね。そんな言葉普通の、この前まで中学生だった奴が知ってるわけないもん。まあ、西園寺さんは知ってるんだけど。
「あの...懸想って?」
「恥ずかしいから2回も言わせないでくれ」
「ごめんね?普通に言葉の意味が分からなくて 」
「ああ、すまない。 昔から直接的に想いを伝えるのが不得手で。つまり 橘さん、君の事が好きなんだ」
「君は入学して不安だった私の心を照らしてくれた太陽のような存在なんだ。私と付き合って欲しい」
何を言っているんだこの人は私?有り得ないでしょ!?この人めっちゃ美人なんだよ!?
私じゃ釣り合わないでしょ...
初投稿です
とても拙い文章ですけど読んでくださると嬉しいです