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幹部集い 嫁の疑い 回避せし

 翌日、魔王から緊急集会があった。会議室には四天王含め幹部が勢揃いだ。


「あの、魔王様」


 幹部の一人が気が急いたのか口火を切った。

 だが


「余は許可をしていないぞ」


 その一言で場が静まり返った。

 魔王の声に怒りが篭っている。


「この場において発言を許可を出すのは余だ。余の許可を通さずして発言するなど・・・」


「無駄な小言は時間の無駄でもありますよ、魔王様。何のための緊急集会ですか」


 魔王の背後から金棒を担いだ黒髪の鬼が睨みを利かせていた。余計な時間をかけたら後ろから振り下ろす準備はいつでもできていると暗に言っている。


「・・・・・ヤシャクよ。余の話の腰を折って許されると思って・・・」


「構いませんよ、無駄話なんか幾ら折っても。無駄だと思ったら壊してしまえばいい」


「余に恥をかかせて・・・」


 魔王が怒りを込めて言い換えそうとするも、さらに殺気の籠った視線が背後から覗く。


「魔王ともあろうものが恥を恐れるのですか?魔族たるもの恥だろうが何だろうが笑って堂々としているか清々しく貫き通すぐらいの姿勢でいないと。この程度で恥を恐れるなど、もはや虫けら以下ですよ」


 さっさと話を進めろと顔で言っている。

 幹部達も本来ならこの無礼な態度には憤慨してもいい所なのだが、何故か誰も口を出そうとしない。正論ではあるし、魔王の背後から殺気をを放つヤシャクに何も言えないようだ。


「・・・まあいい、その通りだな。では改めて・・・本日集まってもらったのは他でもない。先日、我が力を分け与えた手駒にして幹部の一人、デルケトが消失した」


 会議室内がざわついた。こうなるのも当然で、魔王の幹部には三つの型がある。

 一つ目は眷属型。魔王の魔力を分け与えられた者のことであり、魔力と適合し幹部に匹敵する強大な力を得る代償として魔王に絶対服従の契約を結ぶことになる。なお幹部になるにはその後の功績次第、魔王の手足となって戦地に真っ先に投入されるため常に死と隣合わせのようなものだが魔族領において出世の一番の近道と言っても過言ではない。力は魔王本人の管理下にあり、例えどんなに離れていても感知・意思疎通が可能とされる。その気になれば時と場所を考えず魔力を取り上げられることもある。

 二つ目は古株型。昔から魔王に仕えて信頼と役職や一定の自治領を得てきた家系、部族のこと。幹部となれるのは最も実力を示した者のみであるが、その役職を全うするために必要な人材として重宝される。

 三つ目は実力型。四天王やお目付役などの魔王に近い立場の上位幹部。魔王の血族である悪魔族に匹敵する立場を約束されている。実力主義のため眷属や古株型問わず、腕に自信がある者はどのような立場でも一対一の決闘を申し出ができる。申し込まれた幹部の受理次第で決闘が始まり、勝者が上位幹部と成り上がれるが、逆に敗者が生き残った場合勝者の眷属とならなければならない。ルールは魔王を利用したり幹部が協力をしてはいけないこと。それ以外は黙認、要は相手の首をいつでも取れる状況に陥れればどんな戦い方をしてもいい。


 実力型に関しては眷属型で功績を挙げ更なる高みを目指した者が全てを賭けて挑むのが通例となっているし、時々古株型が挑む時もある。

 実際魔王の眷属が上位幹部に挑んで負けると眷属を取ってしまう形にもなるが、上位幹部も優秀な部下が欲しい。

 おまけに眷属の席も一つ空くことになるため、出世を望む者に取っても良い機会となるからこの制度は上手く回っているのだ。

 さて、先の魔王の発言と眷属型の説明を照らし合わせると魔王の手駒である眷属型が、魔王が直接手を下したわけでもなく消失した。つまり第三者に討ち取られたと可能性が高いということになる。


「幹部同士の争いを余が感知しないわけがない。上位幹部との決闘にしても先に眷属より報告がある。だが、今回は何も情報が無かった」


 誰も何も言葉を発しない、誰も事情を知らないならば可能性として挙げられるのは・・・・。

 

「デルケトはどこで消失したのですか?」


 ヤシャクの問いに魔王が頷いた。


「人族領に近い所だ。国境警備を任せていたのでな」


「ならば、人族に討ち取られた可能性が高そうですな」


 室内に太い声が響いた。四天王の一人にして筋骨隆々の巨大な体格、金髪金角を二本生やした鬼族の大鬼、十一代目キンカクである。

 

「戦いにおいて魔族も人族も、戦の火を灯すのは真っ先に国境を踏み越えた方だ。いつもその先手を取るのは我らの方だが、向こうからとは珍しいこともある」


「まだ確定してこそいませんが可能性として十分ありますね」


 だがこの話の流れで会議に熱が出てきたようだ。


「ちょっと待て、人族の方から軍隊が動いたとかの報告は警備や間者から受けていないぞ。仮に少数精鋭で突破したのだとしても王の力を分け与えられた眷属。人間如きにそう簡単に敗れる筈がない!」


「いや、奴らは狡猾だし変な兵器を次々と生み出している。今までもそれで数々の打撃を受けてきたのだ。忌々しい急襲だって普通にあり得る」


「いい機会ではないか、これを口実に奴らを攻め滅ぼそうではないか!」


 憶測や各々言いたいことが飛び交う中、ヤシャクにも一つの可能性を考えていた。とはいえ、この流れであの意見が出てこないわけがない。


「誰かが手引きしたというのもあり得まいか?裏切りものか、あるいは魔族領にいる人間か」


 一同が静まり返る。賢い者ならこの行き着く先も読めるだろう。

 ヤシャクもこれは予想できていたが、この幹部はこのことを皮切りにヤシャクの信用を下げる目的もあるのだろう。嵌め手としては悪くもないが、裏を返せばヤシャクを敵に回してしまう行為でもある。

 別に上位幹部の座を取るつもりならどんな絡め手でも強引な手を使ってこようが負けたものが悪い。魔族のやり方として文句なんてつけてたらそれは人間に毒されたやつのことを指す。

 さてその命知らずは何者かというと、黒いローブとフードを被ったダークエルフの古株型幹部のグルペス。この男は魔法の実力も高く頭も切れる。欠点として民族主義というべきか、自分の民族以外を見下す傾向が強い。特に頭よりも肉弾戦を得意とする鬼族に対する嫌悪感は隠そうともしない。

 

「続けてください」


「デルケトとは親密にしていた故に私としても仇を打ちたくて仕方ない。なので原因特定のために消去法で考えよう。人族の仕業と仮定した場合奴隷達では無理だろう、反乱を警戒して国境に近づけないようにしている。それ以外の人間となると限られてくる」


「・・・・・・」


 デルケトと親密にしていたという下り必要だっただろうか?


「お目付役様にも検討がついておられるでしょう。あなたの妻なら、それも人間の方なら可能だったのではありませんか?」


 魔王を除き全員の目線がヤシャクに向く。


「なるほど、確かに私の妻は実力者です。並の魔族や幹部にもある程度なら戦えます」


 ここで慌てても、感情を昂らせても逆効果。ならば落ち着くの一択である。


「はっはっは、言い切りますな。ですが否定されないわけですか」


「消失したデルケトがどんな死に方をしたのかは知りませんがね、やりようによってはできなくもないかと。但し我妻が人族を手引きしたという可能性はありませんよ」


 説得というのは根拠もそうだが相手に主導権を握らせないことが肝心だ。というかもしアマネが我々を裏切る場合も考えて・・・


「ほう、その根拠、証拠はおありで?」


「根拠というより、アマネのやり方ではないという方が正しいです」


「やり方、とは?」


「幹部一人殺すくらいでは生ぬるいのです。彼女なら虫に毒を盛って暗殺用に送り込み、魔族の民大半とここにいる幹部過半数を殺せますよ。それも一日で」

 

「な、一日だと・・・」


 別に嘘はついていない。魔族領は広大だが、ヤシャクの屋敷は魔王の城に近い位置にある。城自体も魔族領の中心に位置しているため、流通経路だったり度々城に来る報告の使者にでも引っ付けて送り込んでしまえば虫対策をされない限り即可能なことだ。

 

「だ、だったらなおさらではないか!貴殿の妻に可能性がある以上、疑いは晴れぬ。貴殿自身人間の血が少なくとも入っている故に懐柔されて暗躍したという可能性だって・・・」


「暗躍?何故そんな周りくどいことをする必要があるのです。例え貴方が今回消失したデルケトなら、私達なら正面から潰しに行けますよ」


「何だと!」


「やめんかお主ら。グルペス、お前は口を上位幹部に対して無礼にも程があるぞ!ヤシャク殿がこれまでどれだけ貢献してきた思っておられる」

 

 キンカクが間に入ってくれたおかげもあって場の張り詰めた空気は無くなったが、ヤシャクとしては時間を無駄した気分だった。


 あの幹部グルペスというのか。私に対する無礼はともかくアマネに対する無礼は許さん。


「これは失礼致しました。少々熱くなってしまいまして・・・」


 表面上は申し訳なさそうに謝罪しているものの目線はヤシャクに対する敵意があった。


 これ以上は無理だがタネは撒けた。来るべき時に一気に潰そう。人間の血が入った偉そうな鬼族や異種族の妻諸共な。


 なんて考えているが、それをヤシャクが感じ取れないわけもない。


 業務外ではあるがこいつ今夜締めてやりましょう。


「話の方向が何やら妙だが、ヤシャクよ。人間の仕業である可能性はゼロだという根拠を話してみよ」


 魔王が話を改めてくれたおかげでヤシャクとしてもようやく話しやすくなった。


「話を戻してくれて感謝します。魔王様。それと誤解が生じてたので申し上げるのですが、私は何も人間の仕業を否定していません」


「さっきお前の口で否定していたではないか」


「否定したのはあくまで私の妻に関する話です。いつこの報告を切り出すかタイミングを計りかねていたのですが、人族領内に忍び込ませていた私の部下からある報告を受けています」


「申してみよ」


「まだ向こうでも噂程度でしかないそうです。しかし可能性の一つとして看過できないことではあるかと。勇者の存在です」


 勇者。その単語を聞いてこの場の全員が様々な表情をした。

 表情を引き締めるものや嘲笑うもの、無になるものもいれば驚愕するものとバラつく。

 これは勇者に対する認識の違いが個々であるからだろう。脅威だと思うか否か、もしくはそれ以前に勇者そのものに対する知識があるかどうか。


「勇者か・・・。歴代魔王でも幾人かが相手をしたと伝説がある。しかし生きて帰った魔王は一人もなく、まして勇者そのものもその後の逸話を語られていない」


 確かにその話でもしも魔王が勇者に敗れた語られていれば、魔族領はとうの昔に滅ぼされていたに違いない。


「何を恐れるのですか!勇者とて貧弱な人間。我らの力を持ってすればなんてことはありますまい」


 また別の幹部が自信に満ちたことを言っているが、この幹部は誰だったか?種族は鉱石類の外皮を持つゴーレム族か。

 無口であることが多い彼らにこんな自ら発言をするのは物珍しい類だろう。


「魔族と比べたら人族が貧弱なのは事実ですが、彼らはその分狡猾的で知識と知恵を使って様々な物を生み出すのです。武器とか化学兵器、果ては同胞ですらも改造を施すこともあるとか。なのであまり舐めてかかっては大打撃を喰らいますよ」


「大打撃!それこそ我ら一族の腕の見せ所ですぞ。我らの防御力が上か、奴らの攻撃力が上か楽しみですな」


 私の説明が全く通じてないばかりか部分的な所しか捉えてない辺り、学があるタイプではない。脳筋に極振りしている。適所は力仕事全般、その点では動かしやすいとも言えるが策略に嵌りやすいから要注意人物でもあるか。


「勇者出現の可能性、ヤシャクの嫁、あるいは人間による新兵器・・・」


「魔王様、このグルペスを信じください!この件に関しては私の見解に筋は通ってる筈です」


「・・・・・・・・・・」


 お前の意見は筋というより只の当て付けだろ。


 魔王は暫く考え込んでいたが、答えを出したのかヤシャクに顔を向けた。


「ヤシャクよ、我はお主の功績も実力も知っておる。この前言っておったな、いつでもこの座を奪えると。であるなら駒の一つや二つをわざわざ裏で刈る必要もない。かといって、完全に疑いが晴れるわけでもあるまい。よって」


 魔王の意見は絶対。幹部全員で宣言した決定事項は、例えヤシャクや四天王でも覆すのは難しい。


「この件、ヤシャクに任せる。お主自身で我の駒を滅した奴を調査せよ。仮にお主の妻であったとしても今回の勝手なことは許されん。お主の言った通り、勇者が現れたのであれば・・・」


 生捕又は殺害、実力次第では最低撃退といった所か。


「脅威と見なしたら我に報告せよ。そこまでの判断はお主に任せる」


「魔王様!私にも、私にも調査の命を下さい。必ずや成果を上げて見せましょう」


「いいだろう。但し、グルペスの言ったことが間違いだった場合は幹部の力、権限全てを剥奪、ヤシャクの下に一生奴隷のごとき身分に下って貰う。ヤシャクよ、お前も同じだぞ」


「分かりました」


「ぎょ、御意!」


 幹部解散後、最後に残ったのは魔王とヤシャクの二人のみだった。


「今回の件はお前も些か肝が冷えたのではないか?」


「もしやこの流れ、図っていませんよね」


「幹部の意見まではいくら我の眷属でも操作できんよ。だが、前回ビビらされた件にちょっと仕返しをさせてもらったと捉えてくれ。どのみち今回の一件の調査をお前に頼むつもりだったのでな」


「あのダークエルフはいいのですか?」


 魔王は口元が笑っていた。


「意見として出た以上可能性がゼロと証明しなくてはなるまい。それにお前の地位と四天王の地位は常に下から狙われる所だ。こうなるのも覚悟の上だろう、この形で負けるような奴はどちらにしろ生き残れない弱者ということだ」


「まあ、正論ですね。おかげで今夜あのダークエルフに殴り込みをかける余計な手間がなくなりました」


「遅かれ早かれ我の駒がまた一つ減るということか・・・。できれば消滅させてくれるなよ、そんなことされたら我の魔力をまた回復させる手間が増えてしまう。回収できた方が早いのでな」


 何だかんだでこの男も魔王、こういう判断を下せる時点ではまだ私にとっても良い上司かもしれない。


 城の回廊を歩いていると、曲がり角で四天王の一人キンカクが腕を組み壁を背にしていた。


「これはキンカク様。先程は仲裁をしていただきありがとうございました」


 キンカクは表情を険しくしていたが、ヤシャクの姿を視認すると笑いながら寄ってきた。


「はっはっは、ヤシャク!こうして面と向かって話すのも久しぶりじゃな。上位幹部全六席の内二つを鬼族が陣取っている今の状況を鬼族の長として誇り高いことこの上ない」


 キンカクはかつて鬼族の中でも伝説の存在であるキンカク、ギンカク兄弟の直径の子孫。鬼族の男は筋骨隆々であることが多いが、この男は並の鬼と比べても一際がっしりとしている。それと体毛から角、目に至るまで金だ。


「これで全身銀の鬼がいれば昔の伝説再来だったでしょうに。正直見てみたかったです」


 ヤシャクの皮肉にキンカクはまたも豪快に笑った。


「言ってくれるな!儂も正直同じ意見じゃったよ。じゃがお前だって黒の鬼じゃろ、先祖のヤシャも儂の先祖に負けず劣らずの伝説よ」


 魔族全般において、色というのは大きな意味を持つ。部族によっても異なるが生まれ持った体毛や目、角に純粋な色が宿っていてさらに濃度が高いほどその色を象徴する資質が高いことを意味する。

 例えば代表的なものとしてキンカクの持つ金は王者の資質。銀は剛者の資質、黒は大者の資質、白は聖者の資質とされている。

 一般的に髪だけとか目だけでも資質を持つことになるが、キンカクみたいな例は資質の高さが際立っていると見ていい。

 因みに、ヤシャクも先祖が黒鬼のヤシャの家系なだけあって黒色の発現率が高い鬼の家系の出である。人間の血がどこまで影響しているのかは知らないが、黒髪黒目を持って生まれたというだけで周囲から畏敬の目を持たれことがある。

 

「そういえばお前の嫁三人も純粋な色持ちじゃと聞いたぞ。しかも人族の嫁は黒髪黒目、獣族の嫁は銀髪に銀の尾、

九尾の嫁は白と黒の半分け髪に尾も同様。あの時魔王含め全員を倒してみせたあの力はやはり本物じゃった。やはり黒と銀に弱い奴はいない!」


 魔族はともかく人族獣族にはたして当てはまるのかどうか。私が今まで見てきた生物に当て嵌めるなら、金や銀は偉大さと価値の高さを表し、白は縁起や神聖の象徴、黒は頑丈さや力強さを強調していた。

 ならば我々同様人族獣族にだって・・・・考えるのは面白いがあくまで想像の域でしかないか。


「私の嫁を褒めて頂きありがとうございます。そういえばキンカク様のお子さんはお元気ですか?」


「おお、そういえば以前遊び相手をしてくれたな。お前に惨敗したことを悔しがって、より一層鍛錬に身を投じるようになった。感謝しておるぞ」


「負けず嫌いが売りですからね。鬼の血は」


 さて、世間話はこれくらいにして。


「それで、このようなところで私に何か御用でしたか」


「余計なお世話かもしれんが、ちとばかしお前のことが心配でな。あのダークエルフへの勝算はあるのだろうな」


 この男は認めた相手のことを気に掛ける所がある。一族の長として同族を気にするのもあるだろうが、純粋に強い者が好きということだろう。


「あのダークエルフが提示したことは只の憶測です。単に今回の件と私の状況を照らし合わせて無理矢理辻褄を合わせただけです。まああの場の幹部全員が私のことをよく思っていなかった場合、集団心理に発展致しかねなかったかもしれませんが」


 さらにあのダークエルフが今後どうするかも予想できている。これを踏まえるとあいつ頭があまり良くないな。

 

「なら良いが、くれぐれも気をつけろ。お前があいつの部下になっている姿なんぞ見たくないからな」


「勝者こそ正義は魔族の基本ですが、ご忠告感謝いたします」


 *


「ということがございましたので、これから現場で調査に行こうと思います」


 会議でのことを妻達に話すと三人それぞれ


「では早速行きましょう!」


 とティフィアは行こうとし


「まずは情報を整理しましょう」


 アマネは懐から手帳を取り出し


「ふむ、現場に一番近い集落はどこだったかの」


 シェイハは別方向に考えていた。


「シェイハさん、何故これから行く所に一番近い街を調べるのです?」


「そりゃあ、ヤシャクは勇者の存在を予想しておるんじゃろ?予想が正しい体で行くと、勇者が現場にいるわけがない。移動しておるとして、向こうも情報を得たい筈じゃから集落に潜伏する流れじゃろう」


 なるほど、確かに一理ある。


「勇者ですか・・・」


 アマネはため息をついた。


「私の故郷では勇者の出現を予言する巫女が何万人に一人の割合で現れるという伝説がありますけど、遂に現れたのでしょうか」


「勇者を予言するというだけでその巫女自身も一世一代の大仕事をこなしたことになるって、単に運が良いだけの気もしますわね」


「人生何事も運で紐付けられるじゃろう。儂らだってヤシャクと会ったのも運の賜物、運命といえば聞こえは良いが要はそう呼ぶことで人生は良いものと周囲に自慢しているようなものなんじゃよ」


 考えてもみれば人間て何かにつけて運命運命と言うこと好きですよね。


「では、話はこれくらいにしてシェイハの考えを採用して現場近くの町まで行ってみましょう」









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