〔漫才〕始発って、どっちの意味?
筒込:ツッコミ担当。長めで説明臭いツッコミをする。
木瓜:ボケ担当。あやしい関西弁を使う
筒込「今朝は、ご飯食べる前に出掛けたんだけど、電車で座りたかったから始発に乗ったんだよ。」
木瓜「朝一番か。えらい朝早くに出たんやな。」
筒込「違う違う。その駅から出発する電車に乗ったんだよ。その始発。」
木瓜「一番初めの始発電車やなくて?」
筒込「そうそう、始発駅の始発。」
木瓜「始発と始発、意味違うのに何でおんなじなんやろうな。これって、うまく漫才にしたら面白くなりそうやん。」
筒込「そういうのは、アン◯ャッシュ先輩のコントで使わってもらわないと。お互いに始発を勘違いして、同じ電車に乗ってるつもりが別方向に向かってるみたいな。」
木瓜「そのコンビのコントは、もう見られまへんけどな。」
筒込「ドヤ顔すんな、やかましい。最後の電車は『終電』なんだから、最初の電車は『初電』だろ。」
木瓜「それをゆうなら『終点』の逆なんだから、『起点』のほうがしっくりくるやん。もしくは『始点』。お前は始点から電車に乗ったってゆえよ。」
筒込「なんか『始点』って数学に出てきそうじゃん。始点Aとか。」
木瓜「分速3センチで点Pが動き出しそうやな。」
筒込「分速とか数学の問題でしか聞いたことのないスピードだけれども。いやいや、『終着駅』の反対だから『始発駅』でよくないか? やっぱり、朝一番は『初電』だろ。」
木瓜「『初電』はおかしいやろ。電車でないのはどうするんや? ディーゼル路線とか、まだ電化してない所もあるで。」
筒込「じゃあ、『終電』もだめじゃん。」
木瓜「終車? 終列車? 終ディーゼル?」
筒込「もう意味わかんないな。」
木瓜「だから、朝一番は『始発』で良いんやないか。よし、これで決定。お前は始点から電車に乗った。うんうん。」
筒込「おい。今、『終電』問題を放ったらかしにしたろ。」
木瓜「僕が正しい。」
筒込「……まあどっちでも良いか。話を戻すぞ。電車が着いてからご飯を食べに行ったんだけど。」
木瓜「それ! 『ご飯』もそうだよな。」
筒込「はあ?」
木瓜「『ご飯』食べたって言われたら、食事をしたのか、お米食べたのかどっちか分かんないよな。」
筒込「どういうこと?」
木瓜「ちょっと、僕に『ご飯食べたか?』って聞いきて。」
筒込「聞いたら良いの? ご飯食べたか?」
木瓜「いや、食べてない。」
筒込「朝ご飯抜いたのかよ。」
木瓜「いや、パン食べた。」
筒込「食べてんじゃん! ……ホントだ! ご飯とご飯、意味違うのに何で同じなんだろうな。これって、うまく漫才にしたら面白くなりそうじゃない?」
木瓜「もう見られまへんけどな。」
筒込「すっとばしてドヤ顔すんなよ。しかし、漢字も読みも同じなのに違う意味の言葉ってあるんだなぁ。」
木瓜「その『言葉』もそう。」
筒込「はあ?」
木瓜「『言葉』ってゆうたら、言語だったり、口のきき方だったり、表現だったり。」
筒込「どういうこと?」
木瓜「言葉が通じない。」
筒込「言語の意味だな。」
木瓜「汚い言葉。」
筒込「口のきき方だ。」
木瓜「言葉の言い換え。」
筒込「表現だ! すげぇ、同じ『言葉』なのに、いろんな意味がある。」
木瓜「僕は、これを同字同音異義語と名付けたんや!」
筒込「ドヤ顔すんな。長えし、意味分かんねえよ。自分で見つけたかのように言うけれども、それは『多義語』って言うんだよ。」
木瓜「もう名前ついとるんかぁ。ちくしょう、惜しかった。まさか先越されとるとは。」
筒込「当たり前だろ。漢字じゃなくてもあるぞ。例えば、試験をパスした。」
木瓜「合格したんやろ。」
筒込「試験を休んだって意味にもなるぞ。」
木瓜「ほんまや! これって、うまく漫才にしたら面白くなるんやないか!? お互いにパスしたを勘違いして…」
筒込「いい加減にしろっ。」
筒込・木瓜「ありがとうございました。」