新種の魔物③
すぐに帰る。
と言いながら、結局3時間程、猫カフェに滞在してしまったクリス。
しかしその顔は実に満足感に満ちていた。
「また来てもいいか? 調査という名目で」
「はい。いつでも」
「にゃん」
ぺこりと。
猫森と同じように頭を下げる、三毛猫。
「ぐっ。どんな魅了より強力な可愛さだ」
呟き、後数時間滞在したい衝動にかられる、クリス。
しかしそこは、クリス。
「つ、ツリはいらん」
と、金貨3枚を猫森に渡しーー
ぐっと自身を律し、颯爽とその場を後にする。
だが時折、こちらを振り返り、名残惜しそうにしているのはご愛嬌。
クリスの姿。
それが見えなくなるまで、柔らかな笑顔で猫森は手を振り続ける。
そして。
「みんな、お疲れ様」
足元にたむろする、猫たち。
その猫たちを労い、微笑む猫森。
「んにゃ」
「にゃん」
「にゃーん」
可愛く鳴く、猫たち。
それに笑顔で頷く、猫森。
そしてその場に胡座をかき、猫森は猫たちを抱き寄せる。
「んにゃ」
「にゃっ」
「魅了、か。ふふふ。この場合は魅了って言ったほうがしっくりくるな」
そう呟く、猫森の表情。
それはどこか、楽しそうであった。
勿論、不安はある。
しかし、この猫たちが居ればなんとかなるかもしれれない。
そう猫森は、思う。
そして、猫森は未だ知らない。
この世界には、様々なポイント付与があることを。
そしてその中に、相手をいい気分にさせれば付与される【癒しポイント】となる概念があること。
それを全く、知らないのであった。
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【癒しポイント】+100
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