新種の魔物①
まんまと猫カフェの中に案内された、クリス。
これもまた、猫たちと猫森の愛嬌が為せる技であろう。
「どうぞ、お好きな席に」
「あ、あぁ」
可愛らしい内装。そして、たくさんの猫のお出迎え。
それに、クリスの胸は高鳴ってしまう。
「んにゃ」
「にゃーん」
次々とクリスの元へと近づいてくる、猫たち。
黒猫。白猫。三毛猫。茶トラ。
中には、ふくよかな猫までも。
「……っ」
ますます頬を赤らめ、しかし首を横に振り正気を保とうとするクリス。
新種の魔物だ。
こ、この毛むくじゃらはし、新種の。
「にゃん」
「んぐっ。い、いかん。か、かわい」
こちらを仰ぎ、尻尾を振る猫。
それに思わず声を漏らしてしまう、クリス。
可愛いすぎる。
こ、こんな可愛い存在。見たことない。
猫たちのお出迎えサービス。
それにクリスは、ふらついてしまう。
そしてそのまま、間近にあったソファへとなんとか座ることに成功。
それを見計らい猫たちも、クリスの元へと走り寄ってくる。
「にゃん」
「にゃーん」
「んにゃ?」
同時に響く、猫森の声。
「ご注文はお決まりですか?」
「あ、あぁ。ま、まずは水を」
「かしこまりました」
カウンターの向こう。
そこから笑顔で答える、猫森。
まずは新種の魔物のせいで熱った身体を元に戻さねばなるまい。
そうクリスは思っていた。
しかし。
「にゃーん」
テーブルの上で寝転ぶ、ふくよかな猫。
それにクリスは益々、その顔を赤くしてしまうのであった。