猫カフェ③
その表情。
それに猫森は悟る。
あっ、この人。絶対いい人だ。
「にゃー」
「んにゃ」
猫森の表情。
それに猫たちも、クリスへと甘えはじめる。
足元に縋り、すりすりをはじめる猫たち。
それに、クリスは益々頬を赤らめてしまう。
「くっ。い、今は職務中だ」
動揺し、しかしその口調は優しい。
そんなクリスに、猫森は提案した。
「あ、あの」
「な、なんだ?」
「もしよければ、一杯。いかがですか?」
「い、一杯?」
今は真昼間。
しかも、見回りという職務中。
しかし、クリスの心は揺れ動いていた。
「にゃ」
「んにゃー?」
こちらを見上げ正座する、猫たち。
可愛いすぎだ。
こ、この魔物たち。は、は、反則だ。
膝をつき、クリスは猫たちを撫でたい衝動に駆られる。
しかし、なんとか持ち堪えようとする。
「わ、わたしは王国に仕える誇り高き騎士。こ、この程度の誘惑など」
「可愛い猫たち囲まれ、優雅な一杯。きっと幸せな気持ちになりますよ」
「「んにゃ♡」」
すりすり。
「「にゃん♡」」
「一杯いただこう」
即答する、クリス。
猫たちと、猫森の愛嬌のある言葉。
それに完敗してしまう、クリス。
そして膝をつき、猫を抱き抱えーー
「にゃん」
「ま、負けてしまった。こ、このクリスが」
そう呟き、猫森に手を引かれ、クリスは猫カフェの中にご案内されてしまったのであった。