反則的①
くっ、こ、このわたしが。
頬を赤らめ、新種の魔物もとい猫に釘付けになるスズメ。
「にゃん」
スズメの足元。
そこに近づき尻尾を絡める、茶トラ。
そして上目遣い。
それに、スズメは呟く。
「クリス様」
「なんだ?」
「わたしの負けです。可愛いすぎです。こんなの反則。今まではスライムが一番可愛いと思っていました。ですが、今は」
流れるように片膝をつく、スズメ。
そして優しく茶トラを抱きしめーー
「あぁ、可愛い。めちゃくちゃ可愛い。スライムにはないふわふわの毛感触。そして、愛らしい鳴き声。神がつくった奇跡」
ぶつぶつと呟き、スズメはクリス以上に猫にのめり込んでしまう。
その姿。
それに、クリスは声をかける。
「スズメ」
「はぁい」
とろけた声を発する、スズメ。
「なんだその声は?」
「声ぇ? もうクリスさまぁ。わたしは元からこんな声ですよぉ」
「あまりの可愛さに幼児退行してしまったか。やれやれ。仕方ない。調査はわたし一人で」
「んにゃ」
「……っ」
頬を赤らめてしまう、クリス。
二人はもはや猫の虜。
一度知ったらもう元には戻れない領域にまで、二人は足を踏み入れてしまっている。
そんな二人を、猫森はカウンターの向こうから微笑ましく見つめつつ、声を響かせた。
「猫ちゃんたち今日はとてもご機嫌なんです」
「これ。使ってみてください」
猫じゃらし。
それを振る、猫森。
それに二人は顔を合わせ、同時に頷いたのであった。
〜〜〜
猫じゃらしで猫たちと遊ぶ、クリスとスズメ。
「にゃんっ」
「……っ」
無言で頬を赤らめる、クリス。
「んにゃ」
「か、かわいいぃ」
幼児退行し、頬を赤くする、スズメ。
そしてその傍らには、猫森の淹れた温かなココア。
その光景。
それは長閑で平穏そのものだった。




