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09.神の与えし試練 Ⅰ



 緩やかなうねりの中で、あたしは誰かの呼び声を聞いた。


―――おい。目を覚ませ……


 聞き覚えがある。これは、あたしが前の世界から転生する前に聞いた、あの声だ。改めて聞くと男性の声のように聞こえる。

 ……それより、ここは一体どこだろう。水の中にいるような、なのに息はできている、というより、しなくても平気なようだ。暖かいような冷たいような。周囲は明るいようにも暗がりのようにも見える。私の体は横たわっている気もするし、立っている気もして、方向感覚が分からない。


『……おい。意識はあるな? 俺の声が分かるか?』


 そんな奇妙ながら心地の良い空間に身を委ねていると、声が返答を催促してくる。

 発声ができるかも分からない中、あたしはひとまず短い言葉を出してみる。


「だれ?」

『さあ……お前に分かるかな』

「……神様?」

『まあ、それが一番近いな。低俗な人間にしては理解が早い』


 物言いに腹が立ったが、それに口を挟む間もなく、神と思しき声は続ける。


『早速だが……お前には更なる試練を与えることにした』

「なんなのそれ……」


 声は、あたしの最後の呼びかけには応じることはなかった。

 彼の正体も言葉の意味も、何も分からぬまま、あたしは再び意識を手放した。



   ◇ ◇ ◇



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