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公式企画(夏)

ある展望台の話

作者: 岩越透香

 長期休みに入ったが、特にすることがなく暇だったため、大きな街――地方都市だが、田舎住みの私にとっては大きな街だ――の展望台に行ってみることにした。



 他にも似たようなことを考える人が多いのか、展望台はかなり混み合っていた。エレベーターに乗って行くのだが、かなりの人が並んでいる。エレベーターに乗るだけだから早く進むのだろうと思っていたが、それは違った。たまに一気に進むが、その頻度は低い。列の進み方からして、あと十分ほどはかかりそうだ。



 列が進む。私の前に居るのは三組。次は私も乗ることができそうだ。もうすぐ順番が来るということで、係員の方の説明を受ける。


「本日は大変混み合っておりますので、一度に上に居る人数を三十人に制限しております。また、五分ほど経ちましたら、こちらに戻ってきていただきます」

進みが遅かった理由が判明した。もう少し空いている時期に行けば良かったかな。


「行きと帰りのエレベーターは一度に乗っていただきます。少々窮屈に感じる場合がありますが、ご了承ください」

説明を聞いているうちに、エレベーターが降りてきた。中から、前のグループと思われる人々が続々と出てくる。


 後ろの人に押され、エレベーターに乗り込む。通勤ラッシュの電車みたいだ。少し息苦しい。そろそろ出発かという時、ブザーが鳴った。


「すみません、お客様……」

説明をしていた女性が頭を下げる。どうやら先ほどのブザーは定員オーバーのサインらしい。


「申し訳ございませんが、最後に乗ったお客様方は次のエレベーターに乗っていただきます。少々利用時間が減りますが、ご了承ください」


 最後に乗った三人組がエレベーターから降り、扉が閉まる。ほんの少しだけ呼吸が出来るようになった気がした。



 展望台からの眺めは絶景――という訳ではなかったが、素晴らしいものだった。


 街で暮らす人々のそのままの生活を見ることができた。公園で楽しそうに走り回る子供たち、部活に勤しむ中高生、繁華街を練り歩くカップル、遊園地で遊ぶ家族、忙しなく働く大人たち……。街の生活を覗き見ているうちに時間はあっという間に過ぎた。


「お時間です」

スタッフが呼びかけ、エレベーターに乗り込む。遅れてやってきた三人組もちゃんと乗った。


 少し寂しい、誰もいない展望台を閉まるドアの隙間から眺める。少ししか居られなかったけれど、楽しかったなあ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自然な流れで意味が分かって、良い構成だと思いました。参考になります。 [一言] まだ、展望台を楽しんでるヤツが居ますか?
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