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異世界帰りの妹は、ケダモノになっていましたッ!?  作者: カイ
第1章 異世界からの来た獣たち
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第7話 ニビルには恐竜が生き残ってるのか!?

――天原衛


 体重200キロを超えるデンコの死体を家まで運ぶのは楽な作業ではなかった。

 ロープで縛って引きずって運ぶことも考えたが、実行したら死体がボロボロになりそうだったので、コクエンにコクエンに変身してもらいその背中に括りつけて運ぶことにした。


「頼り切りなってすまないな。夕飯は奮発するから」

「衣食住お世話になってるから、このくらいなんともないわ」


 デンコの死体を普段獲物の解体をやっている別棟に運び込んでもらい、ブルーシートの上に寝かせる。


「改めてみると本当にデカいな」

「体重が200キロだとすれば、昨日捕まえたシカの4倍の大きさだもんね」


 ブルーシートに寝かせたデンコを撮影する。

 研究機関にどうやって知らせるか思案した結果、とりあえずデンコを詳細に撮影した上で画像データを北海道大学にダイレクトメールで送りつけることにした。

 最近のネット環境は便利なもので、昔なら道内で生物学の研究をしている大学がどこにあるのか、いろんな人に聞いて回らなければならなかったが、今はSMSを調べれば北海道大学生物学部のアカウントがすぐにヒットする。


「うーん」


 とりあえず研究機関にデンコの死体の情報を伝えたあと俺は画像データを見ながら思案する。


「写真よく撮れてると思うけど、なんか納得いかないところがあるの?」

「いや、この写真を一般公開したら俺有名人になれるかなと思って」


 なにしろ絶滅動物であるサーベルタイガーの死にたての死体だ。

 画像付きで発見したと喧伝したら盛大にバズるだろう。

 俺の心の中で承認欲求モンスターがムクリと顔を出す。


「有名人になりたいなら、投稿すればいいじゃない」

「問題もあるんだよ。死体の写真を一般公開したら、サーベルタイガーの死体見たい奴が大挙して家に押し寄せる可能性がある」

「それは…ありそう、というか確実にそうなるわね」


 テレビ局がやってきた日には、日本中から好事家が大挙して押し寄せることになるだろう。

 おまけに有名人になったからといって金持ちになれるという保証もない。


「いまの静かな生活を破壊されるのは困るな、SNSへの投稿は無しにしとこう」


 北海道大学の研究員にデンコの死体を引き渡して、俺は発見者として地味に名前が残るくらいがちょうどいい。

 ネットで検索すると、コクエンが戦ったマモノの地球での学名を探し当てることが出来た。


【スミロドン】 

 それが、ニビルでガルムと呼ばれている生物の地球での学名だ。

 俗にサーベルタイガーと呼ばれる、巨大な犬歯をもつプレデターは複数種存在したが、犬歯の長さが23センチに達する巨大なサーベルタイガーとなると他に該当する種は存在しない。


「地球ではスミロドンって呼ばれてるのか。こいつなんで地球では絶滅しちゃったの?」

「コイツの巨大な牙は、自分より大きな動物を狩る用の武器なんだよ。だけど、一万年くらい前に氷河期が来てゾウみたいな大型の動物が減って、シカみたいな動きの素早い動物が草食動物の主流を占めるようになると、この巨大な牙が邪魔になった」

「なるほど、この牙はウサギやシカを狩る武器としては大きすぎるのね」

「いま地球にいる、プレデターの牙は小型化しててシカやウサギみたいな自分より小さくて素早い生き物を狩る用に最適化されてる」


 そうなると、次は別の疑問が浮かんでくる。

 ニビルで生き残ってるスミロドンはなにを食って生きているかだ。

 ニビルにはゾウやサイのような、体重1トンクラスの生き物が大量に生き残っているのだろうか?

 そのことを聞いてみると、意外な答えが返ってきた。


「ガルムは群れでドラゴンを襲って食べるのよ。えっと……例えば……これは見たことある」


 コクエンがガルムの主食だと答えた動物はエドモントサウルス呼ばれている恐竜だった。

 エドモントサウルスの体重は4~5トン、地球の動物と比較するとゾウと同じくらいの大きさだ。

 狩りをするには大きな危険を伴うがその分、倒した時には群の全員が腹いっぱい食えるだけの肉を手に入れることが出来る。


「ニビルには恐竜が生き残ってるのか!?」


 マモノが住んでいるだけでなく、恐竜まで生き残っているとは、俺はニビルのカオスっぷりをとても魅力的に感じた。



 北海道大学から返信が来たのが、メールを送って2時間後だった。


『衛さまが発見したという標本の写真拝見いたしました。学術的に非常に貴重な標本である可能性があるので、職員を派遣し調査したいと考えております。明日、車で現地にむかうので10時前後にアポイントのお約束を頂けないでしょうか』


 メールを送ってきたのは山﨑達也という名前の、北海道大学の職員だった。

 フリーメールではなく、ドメインがガバメントを意味する『go』となっていたので悪戯ではなさそうだ。


「しかし、よく考えたら写真を一般公開しなくて正解だったな」


 俺は写真をSNSで一般公開しなかったことが英断だったと思い、ホッと胸を撫で下ろす。


「なんで?」

「死体をかすめ取ろうとする泥棒がメールしてくる確率が激的に上がるからだよ。それに、悪戯メールや詐欺メールが来たとしても俺にはそれがウソか本物か見分ける能力が無い」


 北海道大学の研究員を名乗るメールが複数届いたら、どれが本物なの判らなかっただろう。


「そういえば、商売人は重要な取引は隠れてコソコソやるって聞いたことがあるわね」


 大きな金が動く取引する前に大々的に宣伝したら一枚噛もうとするハイエナが寄って来る。

 そういう奴らに目を付けられないよう気を付けるのは、地球でもニビルでも共通の考え方らしい。

少し短いですがキリの良いところで切るとこうなってしまいました。

次の更新は速めにやりたいです。

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