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異世界帰りの妹は、ケダモノになっていましたッ!?  作者: カイ
第3章 敵はアメリカ
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第36話 今日の会議はちゃんとスーツで出席してもらいますからねッ!

――中島由香


 4月3日11時24分。

 恵子さんがニビルに逃げた子供兵を保護し、全ての状況が終了してから12時間が経過していた。


「こうして街の中にいると昨日のことがウソみたいなのだ」

「正直、疲れたし早く家に帰って寝たいです。あとカゲトラ、人目の多いところで話をするのは控えてください」


 私達はいま東京都中央区銀座、正確には銀座に居を構える洋服店に居た。

 私とカゲトラは強襲揚陸艦イオー・ジマを海上保安庁の巡視船と共に青森の三沢基地まで曳航した直後、環境大臣から参集命令を受けて海上保安庁の小型ジェット機で東京まで来る羽目になった。

 同じく、環境大臣の参集命令で札幌飛行場から飛んできた衛さん達と合流したのはつい2時間前の話だ。

 私達がまだ戦闘の傷跡が残るオントネーを離れて東京まで来たのは、昨日の事件を受けて緊急で開催されることになった日米首脳会談に参加するためだ。

 オントネー分室に残っていた5人は、今回アメリカ軍がPMC使って起こしたテロ攻撃の被害者。

 私とカゲトラは、テロの首謀者を捕まえるためとはいえ、米海軍の強襲揚陸艦にカチコミをかけて大破させたので、事件の重要参考人として参加しろというのは当然の話だろう。


「今日の会議はちゃんとスーツで出席してもらいますからねッ!」


 とはいえ、異世界生物対策課の課長として部下を汚い格好で首相官邸に入れるわけにはいかない。

 私は羽田空港に到着した衛さんと牙門さんの襟首をつかんで美容院に放り込み。

今は、まともな社会人に見えるようスーツに着替えさせている。


「天原、お前スーツマジで似合わないな。お前の顔なら高校の制服でも着た方が様になるんじゃないか?」

「高校の制服着るってイメクラじゃねんだぞッ! 俺が高校卒業したのは十年以上前だ。制服なんてとっくに捨てたわ。牙門は、もっとサイズの大きいの選べよ。胸板が盛り上がってクラーク・ケントみたいになってるぞ」

「これよりデカイサイズが無いんだよ。デブ専門店に行ったらズボンがだぶだぶになるし、これだからスーツは嫌いなんだ」


 小汚い男達はスーツを着るのがよっぽどイヤなのか醜く罵り合っているが、恵子さん達は美容院もスーツの仕立てもノリノリで協力してくれた。

 私が言うのも変な話だが、美容とファッションに無関心な女の子というのは居ない。


「恵子さん達はスーツ決まりました?」

「正直、迷ってる。動きやすさを考えたらパンツスーツにすべきなんだけど、スカートの方がかわいいと思うんだよね」


 女性陣は女性向けのスーツを手に取って、どれを着るべきか見比べている。


「自分で着る服なんだから、かわいい優先にしましょう。私もスーツを着る機会は滅多にないですけど、かわいい優先で選びましたよ」


 私は就活している学生ではないので、ワンピースタイプでオーシャンカラーのスーツを着ている。

 タイトスカートはけっこう身体を締め付けるので動きやすさという点では難があるが、スーツを着て戦闘をするわけではないので困ったと思ったことはない。

恵子さん達はそれぞれ気に入ったデザインのレディーススーツを選択する。

 私のアドバイス受け入れたのか、恵子さんも、ニビルから来た3人も全員タイトスカートタイプのスーツを選んだ。


「しかし、レディーススーツって初めて着たけど。似合わないわね、私達」

「恵子もミ・ミカも学校の制服が似合いそうな年齢ですから。でも、みんなカワイイです」


 似合わないスーツを身に着けた少女達を見て、アイリスさんが優しい笑みを浮かべる。


「似合ってないのにカワイイの?」

「似合わないのがかわいいんですよ。アイリスさん、やっぱり若いっていいですね」

 恵子さん達がスーツを着ると、女子高生がちょっと背伸びして大人っぽい服を着ている感じがしてとてもカワイイ。

 アイリスさんも、私と同じことを思ったのか、私の言葉にウンウンと頷いてくれる。


「そうだッ! せっかく服を新調したんだし、退屈な会議が終わったらディ〇ニーランドに行きましょう」


 アイリスさんが、前々から恵子さんが行きたい行きたいと言っていたディ〇ニーランド観光を提案する。


「確かに……せっかく東京に来たんだからいい機会かもね」

「おお、行ってこい行ってこい。恵子、ディ〇ニーに行きたいって言ってたもんな」

「当然、マモちゃんも一緒に行くんだからね」

「えッ!? 俺も行くの? マジでッ!」


 衛さんは夢の国に連行されそうになりシドロモドロになっているが、恵子さんを喜ばすための犠牲になってもらおう。

 私達が不甲斐ないばかりに、オントネー分室に残っていた5人には怖い思いをさせてしまった。

 事件も一応終結したし、彼女達には全てを忘れて楽しんで欲しい。

私は心の底からそう思った。

本作を読んでいただきありがとうございます。

私の作品があなたの暇潰しの一助となれましたら、幸いでございます。

お気に召して頂けたならばブックマーク、評価など頂けましたら幸いです。

そしてもし宜しければ賛否構いません、感想を頂ければ望外のことでございます。

如何なる意見であろうと参考にさせていただきます。

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