表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りの妹は、ケダモノになっていましたッ!?  作者: カイ
第3章 敵はアメリカ
114/172

第7話 ムカつく、ムカつく、ムカつく、ムカつく、ムカつくッ!

――天原恵子


 ムカつく、ムカつく、ムカつく、ムカつく、ムカつくッ!

 ああ、本当に自分の無知と愚かさが腹立たしい。

 天眼を使い、霊感で敵の魔力を観測しながら戦うなんて、昨日までの私には全く無かった発想だ。

 しかし、天眼を使い霊感で敵の魔力を常に観測していれば、相手が魔法を使うタイミングを事前に察知出来る。

 誰でも使える魔法を、普通に使うだけで敵に対して圧倒的有利を取れる。

 それを、知らなかった私は本当にバカで無知で愚か者だ。


「ウ~! ワンッ! ワンッ!」


 私は激しく吠え立てて自分に対する怒りを吐き出した。

 いまは自分に対する怒りも羞恥心も全て忘れろ。

 冷静になって、的確な状況判断と、ミ・ミカの行動予測をしなければ一方的にボコボコにされる。

 彼女は強い。

 マモノを相手にしてる時みたいに、なにも考えずに力押しするだけでは絶対に勝てない。


 ゴースト魔法≪天眼≫


 私は天眼を発動して、魔力を感じる霊感の機能を強化する。

 自分の霊感を強化して改めて思い知らされる。

 ミ・ミカは天才とか達人とか、そんな安い言葉でくくれる存在じゃない。

 彼女は、とんでもないバケモノだ。

 天眼で霊感を強化すると魔力の流れだけでじゃなく、ミ・ミカが天眼で強化している霊感の感知範囲も観測できるようになる。

 ミ・ミカの霊感の範囲は額を中心に半径5メートル。

 あまり広い範囲ではないが、魔力の消費を抑えるためにあえて感知範囲を限定しているのだろう。

 ただし、その感知範囲は完璧な球形になっていて、全く形が崩れる気配が全く無い。

 これは恐ろしいことだ。

 私が天眼で強化した霊感の形と比べればよくわかる。

 私の霊感はミ・ミカより魔力を感知できる距離は広く10メートル離れた場所にいる敵の魔力も感知できる。

 しかし、感知範囲が出来損ないのウニかサンゴのような形で、出っ張ったり凹んだりしている所がたくさんある。

 これは、10メートルの範囲内に魔力感じられる場所と、魔力を感じられない死角あることを意味しており、私の霊感の形を観測できるミ・ミカならこの死角を容易に突くことが出来る。

 霊感の形を全くムラの無い完全な球の形にするメリットは大きい。

 ミ・ミカのように霊感を球形に固定できれば、死角や注意を逸らした方向から奇襲を受けても霊感でそれを感知して対応することができる。

 しかし、私達は機械じゃない。

 注意を向けた方向の霊感は広くなり、注意を逸らした方向の霊感は狭くなる、それが普通のはずだ。

 私にはミ・ミカがどうやって霊感をあの形状に保っていられるのか想像もつかない。

 さて、どうやって戦おう。

 霊感で上下左右360度の魔力を感知できるミ・ミカに、隙を付いて奇襲をかけるのは不可能だ。


 獣魔法≪ケモノノハドウ≫


 迷っている私に向かって、ミ・ミカが先制攻撃を仕掛けてくる。

 先手必勝の言葉通り、魔法戦は先制攻撃を仕掛けるのが定石と言われている。

 先に攻撃すれば、敵に回避か、防御か、反撃するかを瞬時に選ぶことを強要することが出来るので、判断ミスを起こしやすくなる。

 先ほどミ・ミカはギリギリまで引き付けてから軽業でカエングルマを回避したが、私が同じことをしたらダメだ。


 火魔法≪カエングルマ≫


 私がミ・ミカより優れている点は魔力量で彼女を圧倒していること。

 だから選ぶのは反撃一択、突撃してくるミ・ミカにより強い力をぶつけてやれば彼女も苦しくなるはずだ。

 しかし、私がミ・ミカと激闘する直前、不意に彼女の身体を加速する魔力の噴射が無くなり私の目の前で立ち止まる。

 そこで私は悟った。

 ミ・ミカは私の魔法を潰した時に使った、弱い魔法でフェイントをかけたことに。


 獣魔法≪ケモノノハドウ≫


 ミ・ミカは右肩から魔力を噴射して水平移動で、私の突撃を回避する。

 いまのケモノノハドウも回避だけを目的にした最低出力での発動。

 だから、左方向に水平移動したミ・ミカの動きは、一瞬で静止し次の攻撃に移れる体勢に移行する。


 獣魔法≪ケモノノハドウ≫


 ドゴンッ!


 カエングルマをかわされ隙だらけになった私の脇腹にミ・ミカの肘打ちが突き刺さる。

 今度のケモノノハドウは攻撃のために放たれた通常出力の一撃。

 時速500キロを超える人間砲弾が脇腹に直撃し、私はピンポン玉のように吹き飛ばされた。

本作を読んでいただきありがとうございます。

私の作品があなたの暇潰しの一助となれましたら、幸いでございます。

お気に召して頂けたならばブックマーク、評価など頂けましたら幸いです。

そしてもし宜しければ賛否構いません、感想を頂ければ望外のことでございます。

如何なる意見であろうと参考にさせていただきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ