6
――どこだ?
末藤は意識を集中させた。
同じ市内ではあるが、この近くではないようだ。
――!
その時、感じた。
別の何かを。
ついさっき見てきたあの家。
あの家から何かを感じたのだ。
そしてあれとあの家から感じた何かは、つながりがあるように思えた。
――まだそんなには離れてない。
末藤は戻った。
家にはほどなくして着いた。
着いたと同時にあれを感じなくなった。
誰かをもう殺してしまったのだろう。
末藤はそう思った。
そして家からはまだ何かを、何か全く分からない力を感じたが、やがて消えてしまった。
しかし末藤は。あれとこの家とが何か関係があることを確信した。
――どうしよう?
考えたが、迷っている余裕はない。
末藤は門に行き、インターフォンを押した。
反応はない。
もう一度押した。
反応はない。
さらに押してみた。
すると中からばたばたと数人が早歩きする音が聞こえてきた。
ドアが開き、なだれ込むように数人が出てきた。
「はい、どなたですか?」
末藤にそう言ったのは、背の高い二十歳ぐらいの男だった。
その後ろに、四十歳くらいの中年男。
そして同じく四十歳くらいの痩せた女。
そして三十歳くらいに見える男と、高校生くらいの少年がいた。
ぱっと見の印象だが、末藤にはその五人が家族と言う感じには見えなかった。
赤の他人が集まっている。
そんな印象を受けた。
末藤が五人を見ていると、二十歳くらいの男が再び言った。
「あのう、どちら様でしょうか?」
その言い方はあくまでもていねいだが、その目には不信感がありありと見て取れた。
「あっ、家を間違えたようですね。どうもすみません」
末藤はそう言うと、そそくさとその家をあとにした。
――なんだあの団体は?
末藤は思った。
家族であれば、そう言った雰囲気が漂っているものだ。
しかしあの五人からは、そんなものは全く感じ取れなかった。
そうするとあの五人は、いったい何なんだ。
――調べる必要があるな。
末藤は、刈谷、大道正也、大道二郎と立て続けに連絡をし、そして自分でも調べてみるが、みんなも調べてくれと頼んだ。
最初に見つけたのは、仕事が一番忙しい刈谷だった。
それもネットで。
住所はわかっている。
そして神井と言う名も。
検索すると、ネットにあった。
至福教団。
新興宗教団体だったのだ。
そのホームページがあったのだが、素人が何かのソフトで作ったであろうつたないホームページだ。
そしてその内容は、いろいろと書いてあったがわかりやすく言えば、この世に救世主を降臨させ、教団だけのこの世の楽園を作ろうと言うのを活動の拠点にしているようだ。
教祖の写真もある。
神井仏馬。
二十歳くらいのなかなかのイケメンだ。
――救世主?
刈谷は考えた。
あれの一部が封印を解かれている。
そしてこの教団とあれとは、何か関係がある。
教団の信者になれば、救世主とともにこの世に楽園を築けると。そう言っているのだ。
――まさか!
もしかしたら、あれのことを救世主と言っているのではないのか。
刈谷は慌てて末藤に連絡をした。