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――どうしようか。

今はあれに対してはどうすることもできない。

あれが現れた場所は、またしてもここから少し離れている。

今から必死に駆けつけても、とうてい間に合わない。

あれが人ひとり殺すのに、数秒あれば事足りる。

――とにかくあれそのものをなんとかしないと。

末藤はそう思った。


双子は調べていた。

文献とか資料とかいろいろと。

それはもう父は全て知っているものだが、双子は見たことがないものだ。姉のかなえが言った。

「とにかく神魔の剣が第一ね」

「そうね」と妹。

そして二人は父のところに向かった。

「お父さん、家系図はあるかしら」

「家系図。ああ先祖代々のがあるぞ」

大道正也は席を立つと、しばらくして戻ってきた。

「はい、これ家系図だ。私の父の代まで載っている」

「ちょっと借りるね」

二人は家系図を持って自分の部屋に戻った。

――家系図。いったい何に使うんだろう?

大道は少し不思議に思った。


刈谷が突然襲われた。

神魔の剣を探すために、めぼしいところをめぐっていた最中だった。

あたりは暗くなり、おまけに人通りの少ない道。

刈谷が歩いていると、後ろから小さな音がした。

――なんだ?

と振り返る前に、刈谷は背中に激痛を感じた。

――いてっ!

と思う暇もなく、新たな痛みを感じた。

その時。

「おい、何をしている」

前から声がした。

刈谷はその時点で目がかすんでいたので相手がはっきりとはわからなかったが、二人の影は確認した。

人通りのほとんどいないこの道に、たまたま二人組が通りかかったのだ。

そして次に刈谷の後方から誰かが走り去る足音が聞こえてきた。

刈谷は振り返って確認しようとしたが、そのまま前のめりに倒れてしまった・

「おい、大丈夫か」

その声を聞いた後、刈谷の意識は消えた。


気がついた。

目の前に白い天井が見える。

「おっ、気がついたぞ」

大道正也の声だ。

「先生、先生」

末藤の声も聞こえた。

見れば刈谷はベッドに寝かされていて、その横に大道と末藤がいた。

「大丈夫か」

「おまえ、刺されたんだぞ」

「えっ?」

そういえば背中に強い二つの痛みを感じた。

あれは後ろから刺されたものだったのか。

そのうちに医者が入ってきて、大道と末藤は病室から出て行った。

医者と看護婦で診断と治療がおこなわれた。

終わると医者が言った。

「傷は二つとも深いですが、急所は外れています。このまま安静にしていれば、そのうちに治りますよ」

「そうですか。ありがとうございます」

医者と入れ替わりに大道と末藤が入ってきた。

刈谷が言った。

「誰かに刺されたって」

大道が答えた。

「ああ、目撃者が二人いる」

「犯人はどんなやつだ」

「それが犯人はお前の後ろにいて、おまけに背を向けて逃げたので、顔は見ていないそうだ。ただ明らかに普通ではない様子のお前と、そのすぐ後ろに人影を見たので、声をかけたそうだ」

「そうだったのか」

「救急車や警察を呼んでくれたのもその二人だ」

「命の恩人だな。あとでちゃんとお礼をしないと」

「そうだな。それにもうすぐ警察も来るだろう」

「警察が」

「なにを驚いている。世間的に見れば、どう見ても殺人未遂なんだぞ。警察が出てこない方が不思議だろう」

「ああ、そうだな」

「今まではお前の意識がなかったから来なかったが、意識を回復したと知ったらそのうちに来るだろう」

「そうか」

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