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「力のスケールから言えば、神のレベルにいる」

「そんなものを封印したんですか。八百年前の人は」

「強力な能力者が数人集まったそうだ。それ以上に神魔の剣の存在が大きいが」

「神魔の剣?」

「子供が考えたような名前だが、異能の力に対しては絶対的な力を持つと言われている。理論上は神でも封印することができる」

「そんなものがあるんですか」

「ある」

「誰が作ったんです?」

「それがわからない。あれを封印した人の先祖、私の先祖でもあるのだがそのうちの誰かが作ったもののようだ。それが先祖代々伝えられてきた」

「じゃあそれを使えばいいんですね」

「それが今はどこにあるのかがわからないんだ」

「えっ」

「六百年ほど前から行方不明になっている。その時代の先祖が何かやらかしたみたいだな」

「それじゃあどうするんですか。なくても大丈夫なんですか」

「大丈夫じゃない。ないとかなり厳しい戦いになるだろう」

「それじゃあ」

「だからできるだけのこと、やれるだけのことをする。今はそれしかない。私もそうだが残りの三人も必死で動いてくれているはずだ。そうするしかないんだ」

「そうですか」

「今は君にも具体的な指示は出せない。しかしあれを追い返す力、必ず何かの役に立つはずだ。一緒にやってくれるな」

「わかりました」

「ありがとう。じゃあ私は他にやることがある。いろいろとあるので一旦ここで失礼する。今後ともよろしくお願いしたい」

「はい」

末藤は出て行った。

日向は考えた。

考えたが頭が追い付かない。

自分の命を狙われているだけでも、それこそ命がけの問題なのに。

その上それが神にも匹敵する力を持ち、人類を滅亡させることが可能だなんて。

いきなりそんなことを言われても「ああそうですか」とすんなり受けいれられるわけがない。

でもそうかといって、何もしないわけにもいかない。

無視するにはあまりのも問題が大きすぎる。

――やるしかないか。

日向は心にそう決めた。

しかし何をどうすればいいのか、今は全く分からないのだ。


刈谷は近所に聞いて回った。

その結果はどれも同じようなものだった。

何人かに話を聞いたが、その人たちはみな教団を煙たがっており、話の内容もほぼ一緒だった。

刈谷は末藤をはじめとしてみんなにその旨を伝えた。

全員に伝えた後に末藤から連絡があった。

「もしもし」

「どうした」

「あの男を見つけた」

「あの男。ああ、あれを追い返したという男か」

「そうだ」

「どんな男だ」

「見た目はどこにでもいる大学生だ」

「そうか、そしてどんな力があるのかわかったのか」

「残り香のようにあれを追い返した力がわずかに残っていた。今までに感じたことのない力だ。子供の頃から特別な力を持つ人間には何人もあったことがあるが、あんな力は初めてお目にかかった」

「どんな力だ」

「わからない。ただ邪悪なものではないようだ。むしろ逆だ。一種の神聖な力だ」

「そうか。それでその人はこっちに協力してくれるのか」

「協力してくれる。協力せざるをえないだろう。自分の命、そして人類の存亡がかかっているんだ。知らん顔ができる奴なんていないだろう」

「そうだな。そして何をしてもらうつもりなんだ」

「それは今は具体的には考えていないが、あの力、あれを追い返すことのできる力はきっと何かの役には立つだろう」

「そうか」

「おまえも考えてみてくれ」

「わかった。そうする」

「それじゃあ」

「ああ」

電話は切られた。

刈谷は一息つくと歩き出した。


――んっ。

苅谷と話した直後に感じた。

あれだ。

あれがまた人を殺している。

今日も少し離れていた。

いまから駆けつけてもとても間に合いそうにはない。

しばらくすると感じなくなった。

あれは目的を達成し、襲われた人はどうやら死んでしまったようだ。

――三人目か。

何人殺せばあれの封印が完全に解けるのか、末藤にはわからなかった。

しかし殺せば殺すほど、それは確実に近づいているのだ。

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