4お金儲けをしよう
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「本当に最初の出会いは今でも忘れないものだからな。俺もさ、初めて王国の召喚陣から立ち上がった時はそれはもう、動揺してさ。でも、地面の感触や俺のみなぎる力に気づいてからはもうそんな気持ちはどこかに吹っ飛んでいったからな」
「確かに俺もこの世界に初めて来たときのことは、今もよく覚えているぜ」
そうだよな。ほんとよく覚えているもんだぜ。あの時のアメリアの感触とかさ。
あ、もちろん総士にはこの事は伝えていない。だって、教えたら何するか分からないし。
「そんでまぁ。情報って言ってもそんな簡単に手に入らないもんだな」
「でも、それでもなんとか情報を集めた結果、金を手に入れようと始めたのが、依頼を受けるということだったってことだろ」
「そうなんだよ。結局ここがどこで、どうすればいいのかは聞いてまわるしかなかったからな。それに飯を食うにもお金がいるとなると、最初は働くのも候補に入れたけど魔獣の話を聞いてからは駆除みたいな仕事があると思って探したら、あったって訳だよ」
情報を順調に集めていくとこの世界には魔獣がいて、中には凶暴なものもいると教えられ、その影響で困っている人が依頼を出していると教えてもらった。
早速、依頼を受けさせてもらおうとしたが、残っていたのは、初心者ではまず無理と言われた依頼しか残っていなかったのだ。
「討伐は無理だよな」
この時の俺に出来そうな依頼は、採取ぐらいだと思っていたので、諦めて他の手段でどうにかしようとしたが、何もかも分からない世界で女の子三人も守れるのか心配になっていた俺を吹き飛ばすような声をアメリアがかけた。
「どうかな、旦那様! 何かいいのはあった?」
「出来そうな依頼もなさそうだからどうしようかと思って……」
困った表情を見たアメリアは心配になり声をかけてくれたようだ。
それにアメリアだけでなくキルラもキュンティアも心配そうに見つめている。
ダメだ、ダメだ。ここで俺がしっかりしないと三人にも心配をかけてしまう。
依頼が無理なら日給でももらえる仕事を聞こうとすると、アメリアが俺より前に出て予想外の言葉を口にする。
「すいませんー。なんでもいいので何かお金になる依頼はありませんか?」
「アメリア、ちょっと待て! 急にどうした」
「えー。だって、このままだとお金も手に入らないし、何かしないと」
「まぁ………そのとおりだけど…………」
アメリアは善吉を説得するのだが、残っている依頼は狩猟もしくは討伐系しかなく、危険がないという保証はできない。
その事を俺よりも理解している受付も断ろうとしていたが、アメリアのその純粋な視線を真っ直ぐに向け続けたことに、耐え切れなかったのか、目をそらして、気まずそうに声を出す。
「すいません。現在、あなた方のような初心者用の依頼がありませんので……今日はお帰りいただいて、それでまた明日来ていただいて見つけてもらえば…………」
「違うよ。あたしが聞いているのはそうじゃなくて、残っている依頼を見せてほしいと言っているの」
「えっ………と、そう、ですね」
淡々と目的のみを伝えるアメリアに、受付さんは少し涙目になっており、さすがにやり過ぎだと思った俺はアメリアを止めようと足を前に進める。
その時、キュンティアが俺の袖をきゅっと掴む。
「キュンティア?」
「旦那様。見ていて」
「アメリアを信じればいい」
続いてキルラも俺の手を包むように掴んで離さない。
だがしかし、このまま放置するのもどうかと思っていると、受付さんも何やら紙を取り出した。
「これが、残っている依頼ですが………これらはさすがに………」
アメリアの威圧に押され、本来初心者には提示しない依頼書を渡してしまう。
「そっか。ありがとう。それでもう一つ質問していいかな?」
アメリアはサッと書かれた全ての内容に目を通し、質問する。
「はひっ! な、なんでしょうか⁉」
ようやく終わったかと思っていた受付さんはびくっと肩を揺らす。
「この中で一番近いのはどれ?」
「ち、近いというのは、目的地のことですか?」
「そうだけど、他に捉え方はあるのかな?」
アメリアの表情は笑顔そのものだが、俺はこの時、笑顔には恐怖も伝えられることを知った。
「す、すいません! ええっと…一番近くだと……………こちらになりますが……」
どこか苦しさと申し訳なさを混ぜたかのように受付さんがその依頼書を差し出し、アメリアはその紙を手に取り内容に目を通した。
「ふぅん。ふむふむ。えーと。そっか。そっか。なるほど」
「何が書いてあるんだ?」
俺が横から覗いてみるが、書かれている文字が全く読めない。でも、書かれている絵からしておおかた予想がついた。
「これは犬なのか?」
絵から推測したのが善吉の答えは微妙に違った。
ここに描かれているのはハンターウルフという。この名前はアメリアに名前を教えてもらって知ったのだが、犬のような白い胴体に大きな耳が特徴のある魔獣。それは絵を見ただけで狂暴そうに描かれているので、間違いなく強いだろう。
「うん。あたしもそうだと思うよ! それでね。旦那様」
「なんだ?」
「急に近づいて来るなんて私のツボをよく知っているね!」
「…………ああ、そうだな……」
隣で両手を口元に当てて恥ずかしそうに、視線を送り続けるアメリアを見て苦笑いする。
「それでアメリアは、この依頼をどうするんだ?」
「それはもちろん。この魔獣を駆除してお金を手に入れるんだよ」