1ようこそ。この世界へ
これは俺、明星善吉がこの世界に来た直後の話である。
俺がこの世界に降りたった時、最初は何が起きたのか全くと言って程分からなかった。
言ってしまえば、気づいた時にはここにいたという状態。
さっきまでベッドに背中を預けていたはずが、いつの間にかベッドは、花畑になっており、各部屋を区切っていた壁が無くなって、目先の風景が見た事もない場所であれば、驚きを超えて、最早ぼーぜんとしていた。
俺はなんとか体だけを起こすと、さら視線の先には夢と思ってしまっても仕方がないと思えるほどのファンタジーの世界が広がっていて、これもまた信じられないでいた俺は、呼吸を忘れそうになるぐらいその世界を目に映していた。
ここでようやく、俺の知っている現実から離れていることに、ようやく脳が追いついてきたのか、冷静に俺は無意識に頬をつねったりしてみても痛みがあることから、訳が分からなくなっていた頭でも夢では無いと判断できた。
「ここが夢じゃないないならここはどこだよ………」
突然、部屋が心地の良い風が吹く花畑になるはずもないし、俺がいた世界では見たことのない光景が目の前に広がっている。
となるとここはいわゆる異世界なのか…………?
もしかしたらステータスとか出るのかもしれない。
俺は胸の前あたりで手を横に振ってみせたが何もでない。
目を閉じて見てみようとしたが、何も出てこない。
……………うん。どうやら俺が来たのはそういう世界じゃないないようだ。
なら、何なんだよと、自問自答して繰り返してめちゃくちゃになった頭の中で、それでも何とか理解しようとしていると背後から声がした。
「あ! 起きちゃってるよ。みんなこっち! 早く来て!」
急に声がした方をみると三人の少女が歩いてこちらに近づいてくる。
見た感じ俺と年が近そうな二人と、比べて背の小さな少女が一人。
その少女の耳には獣のような耳が立っており、もしかして獣人というやつなのかとか思っていると三人はすでに俺の傍まで来ていた。
「ずっと寝ていたが体の状態はどうだ?」
俺に話かけてくれた女性の容姿は言うまでもないほど整っており、本物の銀髪ってこんなにも綺麗なのかと見入ってしまいそうになるが、初対面の人をまじまじと見るのは良くないので視線をずらす。
「問題ないけど。ええっと………君たちは?」
「あたしの名前はアメリアで、銀髪の子がキルラちゃん。でこっちの獣人の子がキュンちゃん……じゃなかったキュンティアちゃんですっ」
「キルラだ」
「キュンティアだよ」
三人は俺に名前を教えてくれたので、俺も名前を口にする。
「俺の名前は明星善吉。それでさっそく君たちにちょっと聞きたいことがあるんだけどここって………その、どこか知ってる?」
「ここは王国が治めている街の近くだよ」
王国。俺のいた国は少なくとも王国とは呼ばれていない。
そうなると俺はとりあえずどこかに来てしまったようだ。
「アメリアの言葉を更に補足するとここは、元にいた世界とは違う世界の王国って言った方が正確だ」
「元にいた世界………ってことになると俺。どっかの違う世界に来ちまったのか………?」
幸いにも服装がいつもの寝間着ではなく、学生服のままだし靴も履いているからよかった。でもなんでこの格好しているのだろうかまではこの時は気にしていられなかった。
「いろいろと大変なところで悪いが、まずはこれを読んでくれないか?」
「え? これ何?」
「とにかく読んで見てくれ。話はその後にするから」
俺はキルラからピンク色をした封筒を受け取り、中に入っている二つ折にされている紙を開いてみると、そこにはよく知った人の文字で書かれていた衝撃の内容が記されていた。
その三人はあなたの婚約者です。
母より
「なんじゃこりゃ⁉ え、待って。本当にどういうこと?」
一行の文面が理解できない。というかこれだけで状況を理解できる奴なんかいんの?
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