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3今日の予定

「ふー。今日の朝食も美味しくできてよかった。よかった」

「量もちょうどよかったぞ」

「善吉君の料理はなんでも美味しいよね」

「キュンもまんぞく」

 

 三人とも満足の様だ。

 

 その結果に俺も嬉しく思う。


「さて。今日のみんなの予定はっと……」

 

 朝食を終えると、善吉の席からでも見えるボードには、まだアメリア以外誰も予定を書いていない。


「キュンは今日も自由行動」

 

 食事を終えると早速床にごろ寝しているキュンティアは、どうやら動く気がないようだ。


「私はそうだな……今のところフリーだな」

 

 キルラもあごに指をあてて考えているが、どうやら何もないようだ。


「あたしは依頼を受けてしまっているから、それを片付けてくるね」

 

 すでに予定が書かれていたアメリアは書かれている通りである。


「となると、予定があるのはアメリアだけか」

「うん。さっさと片付けて帰ってくるからみんなは疲れたあたしを癒やしてね! 希望は~。そうだ! 出来れば————」

 

 明るくブンブンと両腕を大きく広げて話続けるアメリアは三人にアピールしているが誰も構ってくれず、この見慣れた光景に善吉は次の話題を淡々と始める。


「さて今日も片付けることはいっぱいあるからな。キルラとキュンティアも手伝ってくれると助かるんだが?」

「住んでいる以上私も何か手伝えることがあれば手伝おう。キュンティアもいいな?」

「しかたないなぁ~。じゃあ、アメリア無しでも頑張る」

 

 手を上げながらキュンティアが声を発すると、アメリアが目を細める。


「キュンちゃん。あたし抜きって言い方は、どこか悪意が感じられるんだけど?」

「だってアメリアは仕事でしょ。だからいってきなよ」

 

 臆することなく言い放つキュンティアに、アメリアは悔しそうに奥歯を噛みしめる。


「ぐぬぬ。確かにそうだけど……なんであたしだけが依頼が来ているのかな~」

「仕方ないだろう。エージェントいわくご指名の依頼らしいし、この依頼を片付けられたらまたリーディングが上がるからな。そうすればいい場所に住めるようになるし頑張るんだぞ」

「たしかにそうだけど……。ちょっと多くない?」

「頑張れ稼ぎ頭」

「よっ。だいこくばしら」

「二人とも適当だよねっ!」

 

 キルラとキュンティアはアメリアに一応頼りにしているという意味で、言っているようだが、聞いている善吉ですら適当だなと感じているほどだ。

 

だが善吉の立場上二人に続くわけにもいかないので、しっかりとフォローする。


「二人の言う通りアメリアがこの中では一番期待されているし、現状のリーディングであれば依頼料も安く済むとかで、雇う側としても負担が少ないってことで喜ばれているらしいからな」

 

 アメリアは冒険者になってからかなり稼いでいるらしく、このままいけば功績者として表彰されるのは間違いないということをこの間伝えられている。本来であれば俺が戦えればいいのだが俺は少し訳ありなので出ることはできない。


「依頼のレベルも上がるから危険度も上がるが、今のアメリアなら当面の間は苦労することないだろう」

「そうだけど、なんで二人もあたしと同じぐらいの実力があるのにやらないの?」

「それは性癖的な問題だな。私はオスに囲まれてしまうとどうも、な……。それにヤらないとか、そう言った発言はまだ朝だから、めっ。だぞ。そういう発言は夜にするものだ。それに話し合いの結果でアメリアが一番難易度の高い依頼ばっかりするから、私達は報酬も難易度も低い残された依頼をするしかないからな」

「キュン達はルーキ向けばっかりだから、全然かせげない」

「なんか色々言いたいけど、はぁー。お金が無かったから張りきって進め過ぎた結果がここで出て来てしまうとは……失敗したなぁ」

 

 アメリアがしょんぼりしていると、そっと善吉がその桜色の髪を撫でる。


「でもアメリアの頑張りのおかげでここまで来たんだ。それには本当に感謝しているよ。それにもし困ったときは俺になんでも言ってくれよ」

「善吉君……なんでもってことは制限とかないってことだよね。よし! やる気出てきたよ!」

 

 アメリアは両頬に手を当てて善吉に聞こえないような小さな声で、呟いたため何を言っていたか聞き取ることは出来なかったが、元気になったのであればそれでいい。


「でも実際は善吉が一番苦労しているんだけどな」


 小さく呟いたキルラの言葉は誰も気づくことはなかった。



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