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5話合い2

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「さすがアメリアちゃんってところだな。それに加えて家族以外には本当に容赦がないよな」

「いつも優しくするように言ってはいるんだが、どうも家族以外には無意識にそういうアメリア流の対応になるらしい。でもそれも性格だから仕方がないけど、もっと仲良くなってくれれば俺も嬉しいと思うって言ったら、何とかして頑張るって言っていたぜ」

「おおー。それは良かったな。そうそう。俺にも優しくしてくれるのも頼みたいぜ。って。どうした?」

「いや、最近アメリアに言われたんだが総士だけは絶対に無理だって……すまんそんな悲しい顔をしないでくれ。あとできれば忘れてくれると助かる」

「なんで俺にはみんな厳しいんだよ。アメリアちゃんだけと言わずにキルラちゃんは……もう無理か。なら、せめてキュンティアちゃんだけでも俺に優しくしてくれれば、毎回お土産でも持って来るのになぁ」

 

 いじけていた総士に俺は少しでも元気になってもらいたいので、あることを思い出す。


「たしかキュンティアは総士のお土産をいつも喜んでいるぞ」

 

 総士のお土産にいち早く食いつくのはキュンティアである。

 

 アメリアは全く興味を示さないし、キルラも同じなので、好奇心旺盛なキュンティアだけが気になってしまってバリバリと包装を開けている。


「マジで! キュンティアちゃん喜んでくれているのか。それなら本当に毎回持っていこうかなー」

「あ、でも……」

 

 俺は余計に思い出してしまった事を言わない様に口を塞ぐ。


「なんだよ! まだ続きでもあるのか? そうか! キュンティアちゃんの好みか! そうだよなー。お土産っていっても色んな種類があるし好みもあるだろうからな。いいぜ。キュンティアちゃんのお願いなら聞いてやるぜ」

 

 ここまで明るい口調で、話しているからにしてかなり総士は嬉しいのだろう。


「じゃあ総士。本当に言うけどいいのか?」

「ん? なんだよ。もったいぶらずに言えって!」

 

 キュンティアの事がよっぽど嬉しかったのか、総士のテンションは爆上りしていた。

 

 だが、これからいう内容は間違いなく朗報ではなく悲報だ。


「キュンティアが言っていたけど、総士にちゃん付けで言われるのが本当に嫌らしいから、普通にキュンティアさんって呼んでほしいって言っていたぞ」

「えっ……………」

 

 総士は絶句ししぼんでいく花のように顔を暗くしていき、最後は膝を抱えてすすり泣いている。


「すまん。大丈夫か?」

「そんなこと……聞きたくなかったぜ」

 

 総士はあの三人のなかでまだ心を開いてくれていると思っていたキュンティアの本音なんか聞きたくなかったと、言わんばかりに悲しそうにしている。

 

 キュンティアいわく、総士が家に来ると服をしっかりと着なければならないので、自由を愛するキュンティアにとって締め付けられる時間が増えるのは辛い。だから気を使ってあげているのだから、せめてキュンティアさんと言ってほしいらしい。


「キュンティアちゃん……キュンティアさんの件はいいとして、本当におまえら何もないところからよくやったよな。俺は城の召喚陣から召喚されて、その後は全部用意してもらったから何も困ることはなかったぜ」

「それについては本当にいいよな。それに今だって総士は身の回りのことは全部任せているんだろう」

「まぁな。俺の立場だとそれが普通らしいから、姫さまに言われたとおりにさせてもらっているぜ」

 

 こうして聞くと嫌な奴にも聞こえるが、実際その能力を買われ、常人では難しい任務をこなして成果を上げている。


 それに見合った待遇と言われればそう思っても仕方がないのだろう。


「比べて俺達はあの時、本当に何も無かったから本当に手探りで探し回ったな」

「でも、それがアメリアちゃんの伝説の始まりだったわけだろ」

 

 総士は更に石を水の中に投げ込むと、どっぷんと音を立てて石は水の中に沈む。


「だけどあの時は、アメリアのおかげで助かったし、あれから噂が広まって行動もしやすくなったから、アメリアやキルラ、キュンティアには感謝しかないな」

「その言葉アメリアちゃん達が聞いたら泣いて喜ぶだろうな」

「だろうな。それにあの初めての依頼は他にもいっぱい思い出があるんだよ」


次回から3章になります!

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