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第十二話 悲願の顛末

12 念願の


「久しぶりだな。元気にしているか?」


 赤毛に鋭く青い瞳、綺麗に整えられた口髭を蓄えた精悍な顔立ちをした初老の男性が、小型情報端末越しに和やかに問い掛けてくる。

 軍服に身を包んだ何処か俺と似た風貌を持つこの男性は、アイザック・オルレアン。この体の実の父親だ。


「うん。何とかやってるよ」


「そうか。何よりだ」


「父さんから連絡して来るなんて、珍しいね……何かあったの?」


 アイザックはルドラ公爵領軍で准将という立場にあり、役職相応に多忙だ。ヨギ君のこれまでの記憶を鑑みても、ゆっくりと団欒に費やすような時間はなかったはずだ。

 一番最近の会話も入学前にしたっきりだった。


「ちょっと聞きたいことがあってな。最近変わった事はなかったか?」


「……いや、特にないけれど」


「実は軍部の要職についている者の家族が事件に巻き込まれる事案が多発していてな。事件というほどの規模の物は少ないんだが……。諜報部が本国の関与を示唆している」


 ああ、ビリーもそのような事を言っていた気がするな。

 俺に借金を背負わせるのもその一環とかだったか。

 事実だったわけだ。


「軍部に関する何等かの工作ってこと?」


「その可能性もあるって話だ。まぁ、お前の身に何も起こっていないのならいいんだ」

 

「ああ、こっちは大丈夫」


 とんでもないことが起こって中身が入れ替わっているけれど……。


「今ないからと言って今後ないとは限らないから、少し注意しておいてくれ」


「わかった。気を付けておくよ」


 俺の返事に頷いた後、少し考えるような素振りで話を続ける。先程よりも少し厳しい表情だ。


「この話もそうだが……ここからの話は軍の機密に触れかねないから、他言無用にしなければいけないのだが……。公爵領と本国の関係が、かなりキナ臭い事になっている。このまま行けば本格的な争いになる可能性もある」


「それって、内戦ってこと?」


「今直ぐって訳じゃないが、な。今度の騒動で、強硬派がいきり立ってるからな。だがそうなれば、うちの家格で私の様な役職に就いていると、まず先頭に立たされることになるだろう」


 将官として、男爵位というのはやや家格が足りていない。同格の人員はもっと上の爵位を持っているものなのだ。実績を評価されての任官ではあるけれど、同じ将官からは成り上がりと見られ、風当たりがきついらしい。

 こういう時に最も貧乏籤を引かされるのは、立場や後ろ盾が弱い者だ。


「……そんな」


「こればかりは仕方が無いさ。ただその時にお前が軍に所属していると、立場上、便宜を図ったりする素振りを見せるわけにはいかなくなる。出来得る限りの手は尽くしておくが……。先に謝っておく」


「いや、仕様がないよ。大丈夫。自分の事は自分で何とかするから、気にしないで」


 俺がそう言うと、アイザックは画面の向こうで申し訳なさそうに頭を下げた。

 普段は脳筋気味な発言の多い実直な父の姿が弱々しく見えた。


「ただでさえ構ってやれていないのに、面倒ばかり……」


「だから、いいって。父さんのせいじゃない」


「すまん」


 もう一度謝って顔を上げた。

 こんな連絡をすること自体、褒められたことではないし、バレると何を言われるか分からないというのに……ヨギ君は愛されていたんだなぁ。


「その関係で、私の周りはバタバタしていてな……お前との連絡も容易くは取れなくなるだろう」


「まぁ、こっちは寄宿舎生活だし、気楽なものだよ。心配されるような歳でもないんだし……」


「ははは。まぁそうだよな。私も士官学校時代は良く遊んだよ」


「そうなの? あんまりイメージにないね」


「そういうものなのさ。五月蠅くは言うつもりはないが……ほどほどにしておけよ? 今は気が付かないだろうが、もっと後になって後悔することになるからな」


 所謂黒歴史ってやつかな。

 こんな忠告をするってことは、身に覚えがあるんだろう。

 お堅いイメージがあったんだが……昔はそうでもなかったんだろうか?

 今更ながら父親の知らなかった一面を知って複雑な気分になった。俺ではなく、ヨギ君が知るべき事柄だからだ。


 その後は、士官養成学校での近況とか、彼女は出来たのかとか、雑多な事を話して通信を終了した。

 最後にアイザックが口にした「子供の成長は早いものだな」という言葉が印象的だった。

 会話の中で、俺に対して何らかの違和感を感じたんだろう。

 だがそれは成長によるものだろうと結論付けたに違いない。

 やはり家族に隠し通せるものではないよなぁ。その内に決定的なぼろを出す気がする。

 何か手を考えておいた方が良いだろう。



 ☤ ☤ ☤



 学内の模擬戦ランキングは順調に上がり、もう何時アルフォンスに当たってもおかしくないところまで来た。

 俺が頑張ったおかげか、まだまだ少数だが模擬戦でマグスギア『パラス』を使う者も時々見かけるようになった。それだけ警戒される対象になったって事でもある。だが、他の使用者達は魔力量の問題がどうしても解決出来ない様で、只の固定砲台にしかなっていない。


 上位陣の上の方になると、近接武装の他に銃火器も携行するか、大きめの盾を装備するようになってきた。勿論、俺への対策のためだ。


 銃火器を携行してきている場合、まだ俺のような移動射撃を使いこなす様な相手とは当たったことはないけれど、移動を挟んだ静止射撃や、適当な照準でのフルオートによるばら撒きはしてくる。

 静止射撃はブースト移動で回避出来るし、ばら撒きなんてそう当たるものではないのだけれど、罷り間違って当たれば機体が損傷するので無視するわけにもいかない。此方側の機体の魔導スラスターにダメージが入れば、致命的なことになりかねないので、きちんと回避しなければいけないのだ。

 上手い人は此方に回避を強要し、移動方向を限定することで近接距離まで接近してくるから質が悪い。何度かそれでやられたこともある。その辺りも考えながら回避運動を組み立てる。

 ただ流石に予備弾倉まで持って来てはいない様で、撃ち尽くすまで避け切るとそれ以上はなかった。

 弾倉の入れ替えは意外と難しいのでコツがいるのだけれど、そういう練習をしていないからかもしれない。


 盾を持っている場合は更に厄介だ。

 盾の正面からはラドグラ突撃銃では貫通出来ない。魔導ライフルなら問題なく貫通するのだけれど、その場合は左右に避けてくるので意味はない。

 良くあるのは、此方がラドグラ突撃銃に持ち替えた途端、盾を掲げて真っ直ぐ特攻してくるパターンだ。

 真っ直ぐだと撃ち抜けないので、回り込まなければならない。

 銃火器では回避、盾では回り込み、どちらの場合も此方に移動を強要する戦闘方針に違いはない。

 まぁ、盾装備の場合だと、盾の重量の分で僅かに機動力が落ちるようで、その分の速度差で何とか勝ちを拾っている。これも初めにやられた時には対処出来なかった。

 ランキング上位者だけあって、色々と対策をしてくるものだと感心させられる。これでこそ、対人戦って感じだな。此処まで上がってくるまでは正直作業感が半端なかったけれど、やっと面白くなってきた。上位者達はマグスギア相手だからと気を抜いたり、侮ったりはしない。きっちり予習して対策を練って向かってくる。こういう所が上位者の上位者たる所以なのだろう。


 対戦相手が手強くなって、それに打ち勝つ度に、自分の操縦技術が向上していくのが分かる。

 成長が分かるっていうのは、何と楽しいことだろうか。


 夢中になって楽しんでいたある日、遂に金色に縁取られた白い機体とマッチングされた。


「……アルフォンス」

 

 戦闘環境設定は地上、火山帯と記載されている。

 荒涼とした赤茶けた大地に所々大きな岩塊が横たわっている。風があるのか視界の隅で砂塵が舞っていた。

 遮蔽物が多く射撃戦には向かない場所。

 遠く、岩塊の影に特徴的な白い機体がちらりと見える。

 高低差は少なく、遮蔽物の影以外は遠くまで見通せる。

 殺伐とした色の風景に鮮烈な白が良く映えている。


『やっと来たね。ヨギ。楽しみにしていたんだよ』


 オープンチャンネルから、アルフォンスの嬉しそうな声が聞こえる。


『一度ぐらいは勝たせてもらうぞ。アルフォンス』


『そう簡単には、負けてあげられないよ』


『全力で勝ちに行かせてもらう。卑怯だ何だと言うなよ?』


『言わないさ。思う存分戦おう!』


 今まで散々観察してきたが、アルフォンスは間違いなく天才の部類だ。

 学内の模擬戦環境が近接戦に偏っているから彼もそうしているようだが、別に射撃戦が苦手なわけではないと思う。何せ射撃訓練のシミュレーション成績は俺よりも良いのだから。移動射撃まで熟すかどうかは知らないが、間違いなく静止射撃は上手いだろう。

 近接戦、遠距離戦、機動戦とどれも高い水準で熟す。

 何より天才的だと感じたのは、その学習能力だ。

 ランキング上位者達は当然のように首席である彼を狙っている。巧者達が挙って彼の動きを研究し、穴を探し、対策を練っているのだ。

 ランダムマッチングという特性上、中々装備までメタを張ったりはしにくいが、それでも一度や二度は試しているだろうし、上手くマッチングされたこともあるだろう。

 その全てが嵌ったかどうかは定かではないんだけれど、彼も無敗なわけではないので、何度かはやり込められているはず。

 それでも、彼は首席で居続けている。

 例えメタを張られて徹底的につけ狙われても、同じ負け方は二度としない。次に同じシチュエーションで対戦すれば、必ずと言って良いほど勝利を収め、やり返す。どんどん学習していき高みへと登ってきたのだ。


 なので、俺が勝てるとしたら、この初戦の一度限りだろう。

 それがわかっているから、今迄何のかんのと理由を付けて練習に付き合ってくれるというアルフォンスの申し出を断り続けてきた。一度でも手合わせしてしまえば、次は勝てないと感じていたからだ。


「最初で最後のチャンスかもしれないからねぇ」


 開幕、まだ射撃戦にも遠い距離だが、魔導ライフルなら十分射程内。

 右へ左へと岩塊を利用しながら距離を詰めてくる白い機体に照準を合わせ、核撃光槍ヘリオスランスを撃ち放つ。

 発動タイミングを完全に読まれているのか、きっちり避けられている。

 遮蔽物がある分、ブーストを多用している感じでもなく、無理なく距離を詰めて来ていた。

 魔力量を不審に思われる事も構わず、撃ちまくってみたが、かすりもしない。岩塊を砕き、無駄に障害物を増やして、瓦礫や砂塵で視界を悪くしただけだった。


『うは……魔導ライフルってそんなに撃てるものだっけ?』


『本日限定のサービスさ。当たってくれても良いんだよ?』


 やはり相手に認識された状態では、魔導ライフルのように取り回しが悪い攻撃は当たらない。もっと遠距離から始まっていれば、まだわからなかったものを……。


 これ以上は魔力の無駄なので、魔導ライフルを投棄して、ラドグラ突撃銃に持ち替える。


 持ち替える時間を悟ってか、一気に距離を詰められた。そして直ぐ傍で岩塊の影へ。センサーで位置は分かるが、射線が通っていない。魔導ライフルなら岩塊なんて関係なかったのだが、突撃銃では貫通なんて出来ない。

 バックダッシュをしながら、視界が取れそうな地形へ下がる。


 さっきからアルフォンスの機体が見えない。遮蔽物を上手く利用して、死角を移動して来ているのだろう。センサーの反応だけが頼りだ。

 反応がある方向には一際大きな岩塊。そこから俺の機体までは少し開けた地形になっている。出て来たところを射撃出来るように、ちょうど有効射程になる距離で構える。

 岩塊の後ろで反応が止まっている。さて……右か、左か。


「…………まじか!? 上からとか、あるのかっ」


 方向が変わらないから、どっちから行くのか迷ってるのかと思っていたら、岩塊の上から強襲を喰らった。しかも、相手もラドグラ突撃銃。狙いこそ甘いものの、フルオートでばら撒いて来た。


「わ、たたたった」


 慌てて思考を加速させながら回避機動を取る。

 あの高さまで行けるんだなぁ。グランヴァリエはかなり機体重量があり、惑星上ではちょっと浮いて滑走ぐらいは出来ても、空高く跳躍なんて出来なかったはずだ。少なくとも魔力でゴリ押し出来る俺でさえ無理だった。

 裏に足場でもあったか……それか、パルクールのウォールランみたいに壁を蹴って登ったか……。

 どっちにしても恐ろしい難易度のはずだ。


 斥力フィールドを精一杯活用し、何とか機体にダメージを受けずに避け切ったものの、急激な回避行動のせいで距離の余裕がなくなった。


『捕まえた』


 アルフォンスは突撃銃を投げ捨て、いつもの片手剣と盾装備に換装する。淀みない動きだ。

 いつもより大きい盾を持ってきている辺り、俺の射撃も警戒されているらしい。


 駆動音が響き渡り、大きく踏み込むと鋭い突きが繰り出される。

 回避するが盾を持つ方へ誘導された。反撃に牽制射撃するも相手の思惑通り盾でしっかり防がれる。

 魔導スラスターを吹かして右後方へブースト移動で逃げるが、食らいつかれて連撃を繰り出された。

 グランヴァリエの構造上、後ろ方向へのブースト移動より、前進方向へのブースト移動の方が速い。背側にはバーニアが付いているが、腹側には付いていないからだ。ブースト移動の持続時間の差を利用して距離を保つ事は出来ても、この距離から引き離すことは難しい。


 接近されてからは思考加速しっぱなし。加速した思考のお蔭で何とか直撃を喰らっていないものの、何度か装甲を削られている。斥力フィールドは削り切られてしまったらしい。とてもではないが反撃をする余裕はない。

 回避後にサイドへブーストダッシュを掛けようとすると、その方向に剣撃を放たれる。思うようにブースト移動が使えず、距離が取れない。


 袈裟斬り、切り返し、横凪の一撃に、狙いすました突き。

 一体どうやって操作しているのか分からないほどの操縦技術。思考加速状態下でも俺に同じ真似は出来ないだろう。

 流れるような連撃を装甲の表面を犠牲にするようにして何とか擦り抜ける。機体監視モニターが各部の損傷を伝えてくる。ギリギリ機能は失っていないが、ぼろぼろだ。直撃こそないものの、幾つか魔導スラスターも損傷してしまっている。どんどん機動力を削がれている。


『ははははは。すごい! これでも避けられるなんて……』


 アルフォンスは楽しそうだが、こっちには一ミリも余裕がない。

 まるで嵐のような連撃だ。しまったなぁ。こんな事になるのなら、俺も盾ぐらい装備しておくべきだった。まさか、逃げられないとは……。

 機動力は削がれてしまった。仮に今、多少距離が取れたとしても、移動射撃をする事は出来ないだろう。

 形だけは回避を続け、戦況が拮抗しているかのように振舞ってはいるが、正直もう詰んでいる。移動射撃が封じられた時点で、俺に勝ち筋はないのだ。

 惰性というか、意地だけで避け続ける。

 機体の軋む音が、まるで悲鳴のように聞こえた。


 実際にそれがどれ位の時間だったのかは分からない。加速した思考の中では気が遠くなるほど、ただただ回避に専念させられた後、唐突に決着の瞬間が訪れた。


 渾身の突き――――。


 俺の機体の正中、コクピットの真ん中を目掛けて伸びてくる剣先。

 左右の動きや、機体を捻ることでは躱せそうにない位置。

 仕方なく片腕を犠牲にする覚悟で操作する。刺さった瞬間にそのまま外側へ弾くしかない。剣での損傷が受けた腕の機能を奪う前、まだ腕が動く内に行わなければならないというその作業の難しさに冷や汗が噴き出る。

 遅過ぎればそのまま腕ごと胴を貫かれてしまう。装甲に喰い込んだ瞬間が勝負だ。


 ギャリと装甲が削れる音。

 今!

 と腕を振り払おうとした時……アルフォンスの機体がその動きを止めたのだ。

 冷却水が蒸発し、音を立てて機体の関節から吹き上がる。

 あっと言う間に周囲を白く染めた。


「…………魔力切れ、か」


 戦闘機動には魔力を消費する。力を込めれば込めるほどその消費は激しくなる。

 俺に距離を取ることも許さない程の連撃は、魔力の大量消費と言う代償の元になされていたのだ。


『此処迄だ。楽しかったよ』


『……悪いな』


『仕留めきれなかった。僕の負けさ』


 目の前には、今にも剣撃を繰り出しそうな気配を漂わせたまま、白い騎士が仁王立ちしている。その立ち姿は何処か誇らし気だ。

 大きく息を吐きながら、その静止している白い機体に銃弾を撃ち込んだ。

 斥力フィールドを押し込み、弾丸の束が機体に届く。


 メインモニターに敵機撃破の文字が浮かび、模擬戦の勝利が告げられる。


 勝った気が全くしないんですが…………。


 

 兎にも角にも勝った。

 思考加速の連続使用で抱えた疲労感が半端ない。副作用はない筈なのに頭が重い気がする。精神的な疲れだな。


 少しふらつきながらシミュレーターから出ると、大型モニターの前で同期達が盛り上がっていた。

 結構な数が観戦していたようで、エレノアール様も顔を上気させ興奮した様子でそこにいた。


 告白、か――――。


 アルフォンスに勝って、彼女に告白するのがヨギ君の夢だった。

 遠目に彼女の立ち姿を眺める。


 彼女は、惑星カットラの王族で、猫系のラグドール人。凛とした佇まいの細身の女性で、実に王族らしい気品を漂わせている。


 ところで…………ラグドール人というのは、言ってみれば獣人だ。獣の肉体的特徴を持った者達。彼女は猫系獣人。ピンと立った猫耳がキュート。

 王族なので、言うまでもなく高位のラグドール人ということになる。獣人種の位はその純血度によって決定され、王族は勿論かなり濃い血を持つ。

 彼等は高位になればなるほど、受け継いだ獣の特徴が見た目に色濃く現れる。ぶっちゃけ、顔貌が獣っぽくなっていく。

 つまり……高位猫系獣人であるエレノアール様の顔は、かなり猫っぽいのだ。ってか、ほぼ猫。尻尾が生えているけれど、体は人種に近いし、手足の造りも人族と大差ない。でも首から上は猫なので、どうしても直立歩行する猫に見えて仕方が無い。

 いや、可愛いよ?

 ロシアンブルーに似てる。

 俺は別にどっち派ってわけでもなく、犬も猫も好きだったから、撫でて良いなら撫でたい。

 整えられた綺麗な毛並みは柔らかそうだ。

 さぞや滑らかな手触りだろう。

 でもね。

 ヨギ君にはとても申し訳ないのだけれど……。

 ……恋愛対象ではないんだよね。

 俺は前世基準でノーマルなんだ。クリーチャーになった今でも、人族の美人が好み。

 この世界での基準だと違うのかもしれないが、顔が猫だと、どうしても恋人枠ではなくてペット枠なんだよ。俺にはハードルが高すぎる。そんな高度な性癖は持ち合わせていないのだ。

 

 告白は無理だわ。すまんな。

 アルフォンスに勝ったって事だけで満足して下さい。


@3

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