滞在させてもらっている領主邸だけど……気の所為なのか、な〜ん〜か〜〜妙にキナ臭い感じがしてるんだよなぁ……。
オレの杞憂で終わってくれたらいいんだけども……。
セロとオレは領主邸の敷地内に居るんだけども、別行動をしている。
オレはゼルの護衛兼剣術の師匠でもあるから、常にゼルと共に行動をしないといけない。
王子の身に何か有れば、オレの首が宙を飛んで彼方へ “ さよなら ” する事になり兼ねない。
護衛の役目は責任重大なんだ。
まぁ、オレはセロと契約を交わした恩恵──と言うか契約完了特典みたいな感じで、不老不死の身だから、仮に首と胴体が斬り離されてしまったとして死ねない。
血管,神経,脊髄,骨,臓器の類なんかは、契約が完了してから徐々に〈 テフの源みなもと 〉へ変へん換かんされてしまった。
だから、首くびと胴どう体たいが離はなれても簡かん単たんにくっつくし秒びょうで元もと通どおりになる。
そんな訳わけで、オレは処しょ刑けいされ様ようが、殺さつ害がいされ様ようが全まったく何なんの問もん題だいもない訳わけだ。
オレが “ 元もと人にん間げん ” で、実じつは “ 不ふ老ろう不ふ死し ” って事ことはゼルゼリンネルに黙だまっている。
話はなしてしまったら、恐おそれられたり、敵てき意いを向むけられたりして、普ふ通つうに接せっしてはもらえないだろうし……。
抑そもそも、セセンテレン大たい国こくや他ほかの国くにすら入にゅう国こくを拒きょ否ひをされ兼かねない。
魔ま獣じゅうを退たい治じしている様ように、セロとオレを排はい除じょしようと国くに総そう出でで攻こう撃げきをして来くる可か能のう性せいは限かぎり無なく高たかい。
≪ ランビュサダレ大たい陸りく ≫の陸りん民みんは、人にん間げん以い外がいの種しゅ族ぞくを異い端たん種しゅとして、忌いみ嫌きらい憎ぞう悪おを抱いだいて、敵てき意いを剥むき出だしている。
鯔とどの詰つまり、人じん類ぶつ以い外がいは有ゆう害がい物ぶつであり、人じん類るいの天てん敵てき──だと大おお昔むかしから思おもわれ続つづけている訳わけだ。
そんな環かん境きょうの中なかで、「 テッテレー♪ セロとオレは人にん間げんじゃないんだよぉ〜〜ん 」なんて事ことをカミングアウトなんて出で来きる訳わけがない。
明あきらかに自じ殺さつ行こう為いだよ!
まぁ…仮かりにバレてしまったとしてもだ、セロに依よって甚いとも簡かん単たんに〈 テ原げん質しつフの源みなもと 〉へ変へん換かんされてしまうから、セロもオレも無む傷きずで済すむだろうけどな。
セロは吟ぎん遊ゆう詩し人じんとしての役やく目めを果はたしているに違ちがいない。
現げん領りょう主しゅに一いっ体たいどんな思おも惑わくがあるのか知しらないけれど、領りょう主しゅが直じき々じきに招しょう待たいをしてくれた事ことに対たいして、招しょう待たいを受うけた此方こちら側がわも誠せい意いを尽つくして御お返かえしをする必ひつ要ようがある────らしい。
「 招しょう待たいしてくれちゃったりして有あり難がとい! 嬉うれしいよ〜☆ 招しょう待たい受うけるよ〜〜 」って言いう御お礼れいを兼かねて、招しょう待たいしてくれた領りょう主しゅに対たいして、細ささやかな気き持もちを伝つたえる為ために、≪ ランビュサダレ大たい陸りく ≫中じゅうを探さがしても出で会あえない程ほどに美うつくし過すぎる吟ぎん遊ゆうセ詩し人じんロを同どう行こうさせた事ことになっている。
セロは得とく意いな詩しい歌かを領りょう主しゅに聴きかせたり、巧たくみな話わ術じゅつで領りょう主しゅの話はなし相あい手てをしたりと、領りょう主しゅを楽たのしませている頃ころだと思おもう。
表おもて向むきは──だけど。
セロは密ひそかに領りょう主しゅ邸ていを隅すみ々ずみ迄まで隈くま無なく調しらべ上あげている事ことだろう。
セロはオレと違ちがって、こ〜ゆう事ことをするのが大だい好すきで得とく意いみたいだから全ぜん面めん的てきに任まかせても大だい丈じょう夫ぶだ。
“ 表おもて向むき ” な訳わけだから、裏うら──本ほん来ないの目もく的てきがオレ達たちには有ある訳わけで──。
其それを教おしえる前まえに、少すこしだけセセンテレン大たい国こくの事ことを説せつ明めいさせてもらおうと思おもう。
セセンテレン大たい国こくを統とう治ちするセセンテレン国こく王おうと王おう妃ひの間あいだに出しゅっ生せいした実じっ王おう子し子じ達たちは、生うまれながらにして王おう位い継けい承しょう権けんを与あたえられている正しょう真しん正しょう銘めい正せい当とうな王おう位い継けい承しょう者しゃだ。
実じっ王おう子し子じ達たちは15歳さいの誕たん生じょう日びを迎むかえると成せい人じんの義ぎを受うける。