第39話 徹底した準備
勇者はロッキー山脈付近に現れて暴れ、それをパール先生が空間転移して即座に現れ、追い出しているというのが現状。
というわけでロッキー山脈から少し離れた大きめの都市グリムロクに着きました。ここは南西の大都市だったシルペークと、これより先の鉱山地帯を直通で結ぶ交通の要衝。つまり資源物が盛んにここを流れるのです。少しばかり買い取って、自分で加工しちゃいましょう。鍛冶屋さんいらないってある意味チートだなあ。
とりあえずレザーアーマーにポイントとして、オヒャールダイン当たりの超硬魔導鉱石を混ぜた『超合金工具鋼』を取り付けたい。素材を買い取っていきましょう。
通常なら商店や商社に頼み込んで買い取ってもらうと思うんですけど、コネがないわけで。
代わりに冒険者ギルドの流通網をお借りしました。巨大バイソブーの狩猟によって冒険者ランクも勝手に上がり、今はもうBです。割と無理を聞いていただけます。
ちなみに牡丹の冒険者カードも加工でBにしてあります。もう下げる必要ないし。博士いませんからね。
勇者対策のために一応化けてますけども。ぎりぎりまで私はロゼスにいるって思わせたいんです。
ロゼスには私、クラウディアにはパールが居て邪魔をするという思い込みをさせておきたい。
なーんて考えていると、そこそこの量のオヒャールダイン鉱石が集まりましたっと。これをまずは精錬していただいて、加工するわけです。精練は加工じゃないのでちょっと無理ー。
人力精錬と高炉からの精練がありますが場所の関係から人力精錬が盛んですね。んー、精練スキルジュエルは流通してるから買い取ってもいいんだけど、お金かけたくはないんだよなあ……。
精練ではなくて空間と固定そして一方通行のLv2を買いました。
鉱石からの精練は代行してもらいました。
空間固定をして熱を一方通行させ、内部にだけ熱がどんどん入っていくようにして材料を溶かし、それを超合金工具鋼に加工をして、最後に粘ると固定でレザーアーマーにくっつける感じかな? 固定は一時固定と永久固定がある。
ちなみにジュエルは高い。1つのジュエルに付き1万ドルエンもしました。残り7万ジュエル。と思わせて材料の買取と精練をしているので2万ドルエンを消費。残り5万ジュエルと雑費。
――スキル追加――
魔法スキル
空間Lv9
固定Lv9
汎用単語
一方通行Lv9
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ちなみに超合金工具鋼にするために使う金属や貴金属の配合比率などは、究極科学の頭脳と両手の解析によってすぐに判明。加工をして取付完了。
あ、ヘルメットと安全靴も作りました。
棒……棒……。超合金工具鋼はもうお金がないので魔導合金工具鋼を芯にして、粘りのある合金鋼を周囲に取り付けた棒を作成。魔法棒の召喚がないのでこれを使う。
払い、突くなどには耐えられると思う。1回2回のぶん殴りにも耐えられると……いいな。ま、ぶん殴りが思い切り当たれば多分即死、だよね?
――装備改善――
巨大バイソブーの強化レザーアーマーとグローブ(ポイントガード付き)
巨大バイソブーと超合金工具鋼の強化ヘルメット
巨大バイソブーと超合金工具鋼の強化安全靴
超強化された棒
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さすがにすべてを装備したまま動くのはつらいので、保管の腕輪に全部入れて瞬間装着できるように。レアもの買っておいてよかったなあ。
さー、もう装備はこれくらいでしょう。パール先生と合流して勇者をぎゃふんといわせます。
やつが暴れている東に向かいます。隠密系最大に使ってね。
***
鉱山地帯にすぐに車で駆け付けられるスルタクというちょっと大きめの街に着きました。ちょっと緊張してきたなあ。
パール先生もここに住居を構えているということなのでお伺いに向かうことに。お久しぶりだなあ。
やはりガードマン(もちろんきつね族)などがいるので、私が山吹ということを伝えて面会のアポを取りたいと申請。すぐに面会できるということだそうで。日本家屋(!!)の縁側に通されました。えええ? まあいいや、パール先生は何でもありだ。
お久しぶりにお顔を見ることができたパール先生ですが、少し傷がついています……。今回はうつぶせ寝もしていませんし。やはり勇者は強いのでしょうか。
「先生、お手伝いに参りました」
「うん、強くなってるね牡丹ちゃん」
「ウカノに化けているのに分かりますか」
「余裕っち。ちなみに私もこの傷は化けているんだよ。完璧な強さを見せちゃうと、逃げちゃうから」
なるほど……。さすが本物のきつね族、化かすことは人一倍上手いですね。
「それでね、勇者を倒す算段はついているのだよ牡丹ちゃん」
「なんとまあ」
「次の襲撃、一緒に転移しようね。悪いけど私が本気出して一気に拘束するから、お尻ぺんぺんでもしてぎゃふんといわせなさい」
「はいっ!」
決戦の始まりです……!




