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第29話 トレージャーハンター、ミタマ



 遺跡群へは陸路ではなくて水運を使って移動しましたー! 楽しかった。

 いろんな時代の文明の遺産が出る場所なので船で運ぶそうです。

 古代超文明以外にも様々な文明の名残があるそうですよお、たーのしみー。



 旧世界のように、人類が完全支配している世界じゃあないですもんね、オークやオーガのような凶悪な蛮族、モンスター、転生という存在。1日も1年も非常に長い。

 1日が長いということは、日中は恒星に照らされ続けて温度がとても上がり、夜間は冷え続けて温度がとても下がるんです。

 1年が長いということは、それだけ季節も移り変わりが遅い。ざっくりと、熱い時期、雨しか降らない時期、寒い時期、これが地球の1年間ずつ移り変わると考えるとその恐ろしさが分かるのではないでしょうか。


 今まで文明を渡り歩いたのであまり感じませんでしたが、この世界はかなり厳しいんです。文明が順調に育つのってかなり難しい。古代超文明は本当にすごかったんですよ。



 以上、りょうて情報より。そうね、そうよね。


 海から陸へ上がり、少々馬車を乗り継いで、この遺跡群の一番大きな街シャルロックへ到着しました。

 ここを拠点に各方面の集落、および遺跡群に移動するってわけです。

 この方面は都市が存在するというか、遺跡探しの街という感じなんです。遺跡を探すための施設があるだけって感じかな?



 遺跡にも旧市街、文化財、歴史的価値のある遺構などなど、種類があるのですがそういう普通の遺跡はまあ取りつくされているわけです。お金になるやつがね。


 残っているのは倉庫や財宝庫など。え、一番最初に取られるじゃんって気がするんですが厳重に守られているんだそう。

 旧世界の地球なら入っただけで死ぬってまずないと思いますが、ここは異世界。罠が張りつくされ、普通に殺してくる遺跡もたくさんあるそうで。

 そういうところにあえて向かい、お宝を取ってくる。トレジャーハンターってやつですね。男の子があこがれる職業!


 私だってここに来た理由は観光じゃなくてトレジャーハント。一獲千金を狙っちゃいます!


 いきなり高い難易度の遺跡に行ってもさすがに死が待っているだけなので、まずは初心者の遺跡から。

 本当に『初心者の遺跡』という名前の遺跡? トレーニングルーム? があって、罠は簡単、敵も雑魚、お宝も取得が楽。まさに初心者うってつけの遺跡があるそうで。

 遺跡は石と魔石が混ざったような壁、意匠がよく施されている柱など、なかなかよくできた地下4階ほどの構造みたい。

 面白いことに罠も敵もお宝も再生成されるので、何度でも挑戦できる遺跡なんだそう。

 ガイドブック『遺跡の基礎を学ぼう』より。もうこれだけでわくわくするなあ!


 シャルロックに存在するというのでしっぽを振り振りしつつ向かいました。最初は慣れなかったきつね亜人ですが、慣れるとこれはこれでいい……! しっぽええやんけ……!

 化けているので、身体能力も化けてます。ドッペルゲンガーも化けて私の力そっくりになってましたからね。

 きつねの大先生であるパール様を参考にしたのですが、きつね、なかなかいい身体能力です……!



 初心者の遺跡でびっくりしたことは、観光地化していることですね。死にはしないような罠や敵なので、ちょっとしたガイドが居れば見て回れるようですわ。

 私は練習に来たのでガイド雇ったりなどはせずに自力で罠を探したり敵に対処したりします。


 ま、罠を探すのは容易ですよ。探感知(たんかんち)して異変を察知し、しっかりと観察して、看破する。そうすりゃあ罠の発見ができなかったってのはまずないですね。


 ただね。


 うん、罠を解除するスキルがないんだ、まったくない.

 とりあえず罠や鍵を解除する、その手の道具は揃えてあります。右手がないですけど、念力で操作できるところはありますので。

 しかしなあ、スキルはちょっとどうにもならんねえ。スキルの外の強さを求めるか、ほかのスキルで補うか。


 どうしようかなって思っていたら、ガイドさんの声が耳に入ってきました。さすが大きな耳を持っているだけある。


「まー、解除できそうにないなら、離れたところから発動させてしまえばいいんですよ! 単純な罠ならそれで何とかなりますわ!」


 なるほど。なるほど。


 そこからは魔力塊が大活躍。遠くから魔力の球を発射して罠を発動させて、さっと移動。魔力塊はそこそこ質量があるので踏み床式の罠なら押せますし、人の温度を感知して発動する罠は熱生成とまぜて人肌の人形にして発動させられます。魔力塊は力を抜けば消滅するのも利点ですねー水は生成すると残ってしまうので。


 とりあえず解除できるようになるまではこれで何とかなるんじゃないかな?


 するすると罠を突破していって、次は敵が出てくる階層に。そそ、ここは階層で罠と敵とが分かれて出現するんです。本当初心者向けだわあ。

 遺跡のモンスターというだけあって、人が作れそうなモンスターが出現しますねー。機械とかスライムとか魔法生物とか。


 機械はおもちゃみたいなものが出てきて、ピンポン玉が当たったような程度の魔導銃を発射してきたおもちゃの兵士、はたまたおもちゃの剣士が出てきたり。

 スライムは生物的な罠みたいな感じで、壁や天井からいきなり出現して人を飲み込もうとするような感じで。まあ極小のスライムが出てくるわけですが。

 魔法生物は火の玉とか良く光る玉、コウモリもどきなどなど。魔法で作りましたーって感じがよく出ている面白いアトラクションでしたねー。

 さすが初心者の遺跡。


 ちょっとした迷路が遺跡内部にあってそこで迷路の練習、マッピングですねー、それをしたりしつつお宝の部屋に。ドアで区切られた小部屋の中に宝箱が鎮座いしており、開封してしばらくたつと宝箱の中身が再生成されるという仕組みなので、人が順番待ちをしております。風情があるような、無いような。

 私も順番待ちの列に加わりました。これ順番待ちが成立しているのは、横入りした人は待っている人総出で殺すそうです。なかなかの仕組みですね。なかなかだ。


 さて、私の番になりました。小部屋に入り、宝箱と相対します。うまく開けられるかな。


 宝箱の注意点としては、結構な確率で罠が仕込まれていることと、鍵がかかっていることが多い、という点ですねー。

 精密に観察して罠がないことを確認。次は鍵がかかっているかどうか。

 簡単な鍵がかかっているみたいですね。


 今回は簡単だったので魔力塊で鍵を形成して精密に操作、無事に開けることができました。しかしガイドブックによると、魔法無効もしくは魔法の鍵とか、そういうのがあるようなので用意したほうが良いですね。あとは……両手になっておくことかな。今回は鍵を作って開けられましたが、ガイドブックによると低難度でも両手でカギ穴に差し込んでこじ開ける宝箱も存在するようでして。


 中身は10ドルエンの小切手でした。参加賞かな? まあ銀行機能がある街もしくは大きな冒険者ギルドで換金しておきますか。



 罠の解除できず、宝箱は場合によっては開けられず。

 今の私だと単独で遺跡調査はちょっと難しいかなあ……。


 簡単な解決方法としては誰かと組むことなんですが、右手無し、スキルは平凡、冒険者ランクも総合能力も低い。

 こういう人をとりませんよ、慈善事業じゃあないんだ。命かかってるわけですからね。

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