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事態の分析③
深夜、暗くて接近しなければ相手をよく見ることは出来なかったのだ。
このとき相手の男は、私の誠意を無視して傘を片手で捻じ曲げて私との距離を自ら接近させている。
これだけの腕力を70歳以上の老人が持っていたということは、この男は若い頃、自らの肉体を相当鍛錬していたはずだ。
しかも私が「なぜ長時間に渡って私を監視しているのか」と最初に問いかけた時から、この老人は、ずっと3方ある道のうち1方ばかりを見詰めていたのだが、警察車輛は、この道からやって来た。
最初に私が直感したように、この老人は、この道から警察車輛がやって来ることが始めから分かっていたのではないのか?
検察官は、スクーターに乗って去った男は再び私の元に戻って来たと言った。
そしてこの戻ってきた男が逃げないように、私がスクーターを蹴り倒したとも言っていた。




