248/277
退屈極まりない時間
傍で会話を聞いていた私も、さっそくこの話術を自分も取り入れる。
検察庁舎の待合室で検察官の取り調べの順番を待っているとき、警察官が1人だけ待合室の鉄格子の向こう側に座っていた。
何もすることがなくて、彼は退屈極まりない時間を過ごしている。気を使って私が声をかけた。
「すみません。お水を一杯もらえませんか」
全くすることがなく退屈な時間を過ごしているとき、退屈しのぎになる何かの用事を与えられることは、むしろ嬉しいことである。
このことは私自身が何度も留置場生活で経験してきたことである。




