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ビニール傘
私は彼の両手の動きを注意深く見守っていました。
老人は、私が掲げたビニール傘の先を持つと、グイ――と傘を捻じ曲げるのです。
(おい。何をするんだ。近づくなよ! 俺は包丁を持っているんだ。危ないじゃないか)
私は、そう思ったのですが、老人は、違う事を考えていたようです。
この老人は盛んに複数ある道路のうち、1つの道路ばかりに視線を送っていました。
その道路の向こうからスクーターが1台やって来ました。
私は大きな声で「貴方は警察官ですか?」と尋ねました。
記憶が薄らいでしまっているのですが、このときスクーターに乗っていた小太りの男は、手を横に振るか、首を横に振ってそのまま走り去って行ったように記憶しています。




