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油断をしてはならない
精神鑑定と聞いても、今までのような恐怖感は生まれなかった。検察庁は発言を撤回した私を陥れる必要は無くなっているはずだったからである。
鑑定でどんな質問をされるのかは分からない。
だから油断をしてはならない。
しかし、優しい番長の助言どおり「素直に正直に本当の事」を言えば私に不利益は及ばないような気がした。
留置場に私が戻されてから後、時は穏やかに流れている。しかし私は以前、弁護士の先生から受けた助言のメモを懸命になって見詰めていた。
――精神科医から、どうしてこういう行動をとったのか? 何故このように考えるのか? と問われるから、筋道をたてて詳し目に話せ――




