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私選弁護士の選任の件
退席を促されたので慌てて手を挙げてから裁判官に向かって発言します
「あの、私選弁護士の選任の件ですが、元検察官か、刑事系の元裁判官の弁護士の先生に私の弁護をお願いしたいのですが」
鋭い眼光、冷たい目が私を睨みます。それから事務官の方に向かって
「そんな事ができるのですか?」
事務手続きについては、裁判官より事務官の方が詳しい場合があるという話は聞いた事があります。
「出来ますよ。リクエストは何でも出来るんですよ。ただ、弁護士会が応じてくれるかどうかは分かりませんが」
「はい。それでけっこうです。よろしくお願いします」
私は事務官の方に向かって、そう言ってから頭を下げました。そして退席。ドアの閉まる音が妙に乾いていました。




