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心を強く
リリアの心が少しでも落ち着くように、リョクは少し時間をかけて城下町バーツェードに向かってくれた。
〈この辺りにしておく。門番に怪しまれてはいけない故〉
リョクがリリアの方を向いた。
〈リリア、今は情報が錯綜して民は心乱している。あの街は今、おまえの育った街とは違うのだ。しかし情報を正せばきっと元に戻る。おまえがその情報を正すのだ〉
リョクはリリアの額に自分の額を当て瞳を閉じた。不思議と心が落ち着く。
―――頭にリョクの声が響く。
〈〈ハーティはおまえをとても心配している。優しく頭のいい子だ。きっとおまえの力になってくれる〉〉
リョクはゆったりと立ち去っていった。
リリアはハーティを見た。確かにハーティは今まで何度も助けてくれた。今だって、あの顔は…きっと心配してくれている。
「ハーティ…あの……私のこと、助けてくれてありがとう。」
「え?」
ハーティは言われると思っていなかった言葉に、疑問符を漏らしてしまった。
「私、負けない。頑張る。」
「…………うん。俺も頑張る。」
二人は聳え立つバーツェードの高い城壁を見上げ、歩き出した。