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第6話 迷宮の噂

 ジュエル王国には、有名な三つの迷宮がある。一つは古代遺跡で二つは廃鉱山だ。その廃鉱山だが、一つは少々複雑に石の発掘に掘り進められているのだが、当時の鉱山内の地図にある通りで地図さえあれば、そうそう迷うことは無く。だが、もう一つの廃鉱山は、当時の鉱山内の地図にはない場所があるのだ。おそらく魔物が廃鉱山内を掘り進めてた思われる。


それでぇええだ、今回、リカルドが言う討伐の話しは、後の方の廃鉱山。中が複雑な迷路になっている方なんだ。これはまずい……まずいぞ!


「リカルド、ただの噂だろ?」

「ああ、今の段階ではただの噂だ」

「だったら、心配いらねぇんじゃないか?」

「そうなんだが……」

「それで、どこでそんな噂を拾って来たんだ? リカルド」

「校長室だ」

「え? おまっ、ちょっ! お前、なにやらかしたんだよ! 場合に寄っては俺も庇いきれないぞ?」

「あ、いや、心配するなアーサー。生徒指導室からの帰り道だ」

「待て待て、それはそれで問題じゃないか」

「あ、いやぁ~赤点ばっかり取って……、進路はどうするんだ、て叱られただけだよ」

「十分問題じゃないか。リカルド、お前、本読むの好きだろ? 本腰入れて勉強しろよ、大丈夫、今はちょっと要領が悪いだけだ。要領さえ飲み込めば、後はスムーズに行くはずだ。俺もアークも居るんだから」

「あ、いやぁ~」


リカルドは参ったなとばかりに頭を抱える。


「あ、すまない、つい……。それでリカルド、迷宮の、討伐の噂だが……、高等部から選抜されるのか?」

「校長室から聞こえた話しなんだが、ファブロ迷宮に大学部と冒険者で編成されたパーティーを送り込んだらしいんだが……、一昨日、生き残りなのか逃げて来た者の一人なのか、迷宮近くの街にフラリと現れて、倒れ込んだ男が王都への連絡を乞うたそうだ。倒れる前に男は『ファブロ迷宮、D部隊全滅』と言ったと……。後の詳細は男の回復待ちだとか……」

「その、D部隊が大学部と冒険者で編成されたパーティーじゃねぇかと……」

「そうだ」

「まあ、あり得る話しだな、前に俺たちが魔物討伐に駆り出された時は、K部隊アーサーとか、高等部と分かる文字と隊長の名前を入れたパーティー名を付けられたしなあ」

「ああ、そうなんだ」


俺たちは高等部の学生だが、たまに、街に出たぁ~とか、村に出たぁ~とかいう魔物退治に駆り出される事がある。まあ、大概は大したことがないので、今までは事なきを得ている訳だが……。ファブロ迷宮ともなれば、話しは違う!


「なあ、アーサー」

「なんだ」

「お前、武術の時間は、物理ものも魔法ものも取っているだろう?」

「ああ、物理ものは、騎士認定まで貰っているからな。後の免許は実戦でしか上がれない。だから、魔法も覚えておこうかとな。幸い俺の伝説の剣、エクスカリバーが魔法発動にも堪えらるんでな」

「それさ、チートじゃないか、だから目を付けられるんだよ」

「いや、だってよ。俺の国、貧乏なんだぜ? 学べるもんは学ばせて貰った方が得だろう?」

「そういう問題かよっ」

「そういう問題だよ、リカルドはジュエル王国の公爵家の坊ちゃんだからわからねぇ~んだよ」

「身分でいえば、お前は王太子じゃないか」

「まあ、そうなんだけどよ。財産でいえば、お前ん家にま、負けてるかもしれないぞ?」

「そうなのか? 鉄鋼は割と盛んな産業じゃないか」

「そうなんだけど……」

「困っているのか?」

「多分、少し……」

「よし、父上にアーサーの国に融資をするように伝えておこう」

「おい、リカルド?」

「なんだ」

「あ、いや」


リカルドは、その後、本当にシュナイダー公爵(リカルドの父)に融資を頼み。俺の父(王)と母(王妃)から、涙ながらに綴られた感謝の手紙が数週間後に届き、シュナイダー公爵家には、我が国で評判の高い鍋や調理器具セットが百セットほど送られたのであった。

リカルドォオオオオ、おまっ、お前、良い奴だなぁああああ。


「話しは戻るがな、アーサー」

「ああ」

「ジュエル王国は、五月に入ると、国最大の祭りが始まるだろう?」

「花と宝石の祭典て、半月掛けてやるあれだろ。昨年、発掘された宝石のお披露目やオークションなんかやる、ああ、後、演劇や演奏会もあったな」

「そうだ。その間、この王立学園も休校になる」

「ああ」

「だから、俺たちが駆り出されるとしたら、その時だと思うんだ」

「あ゛~もう、アンジェリールのメテオでいいんじゃねえ?」

「何を言うんだ! アーサー。迷宮から人が帰ってこなくなったのは、半年前からだぞ! 魔物の討伐部隊だけじゃねえ、救援部隊も今度は大規模編成で送るといわれているんだ……」

「そうでした、そんな話しもあったな」

「それに、アンジェリールのメテオなんて使ってみろ! 迷宮そのものが崩れて二度と入れなくなる」

「そう~だなぁ~」


俺は腕組みをして、空を仰ぎながら言う。木の下から見る空は枝の間から差す光がキラキラと輝いてチラチラと見える空の青が美しい。遠くに目をやれば、空は青く晴れ渡り、平和そのものじゃぁああないかっ!


「なあ、アーサー」

「なんだ」

「俺は、ファブロ迷宮に、討伐隊として選抜されたら行くぞ」

「はい?」

「ファブロ迷宮で助けを待っている人を救うぞ、アーサー。お前はどうする?」

「しゃぁ~ねぇ~なぁ~、リカルドが行くなら俺も行くよ」

「おう」


リカルドは、満面の笑みを零し、俺の手を両手で握りブンブンと振り回し友情を確かめるのであった。


この世界は……、結構ハードじゃねぇか……。迷宮で、遭難だと? 遭難なんかするなよぉおおおお。帰ってこいよぉおおおおお。俺、そんなおっかねぇ~とこ行くのやだよぉおおおお。と、俺は心の中で叫ぶのであった。

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