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第5話 乙女ゲームの世界感

 「いてぇ」


ハッとした俺は、顔の上に落ちて来た何かに手をやる。すると、それは本のようで。ああ、リカルドのアクション小説か……と納得をする。リカルドはアクション小説が大好きなのである。文章を読む力があるのだから、勉強もすれば出来るはずなんだが……、俺はいつも思うのである。そして気付く……。

うぉおおおおお。俺は男の膝枕で一度ならず二度までもぉおおおおお、眠ってしまっていたのである、ちくしょうぉおおお。


「さて、起きるか」


俺はリカルドの本を顔の上から取り、上体を起こす。そして今度は、掛けて貰っていたリカルドの上着を掛けてやる。リカルドは、木にもたれ……なんとも幸せそうな顔して眠っている。

弟たちは、植え込みの迷路が気に入っているのか、少し離れた場所からはしゃぐ声が聞こえてくる。


 ああ、ちょっとこの乙女ゲームの世界感なんぞを紹介しておこう。

地図上はどうなっているのか知らねぇ~が、結構な数の国がある。まあな、家庭用ゲーム機もオンラインの時代だ、この『ジュエル・I  LOVE・アンジェリール』も家庭用ゲーム機でもパソコンでもスマホまで対応したMMORPGなのだ。まあ、スマホはやれることが少ないのだがな……。

それでだ、国の数だが、単純に東西南北に一つずつ、鉄鋼(武器)、鉄鋼(防具)、木工(建築)、宝石の国、商人の国、4×5で20個の国と、農牧が2と宝石の大国1、そして神の国として1と、合計24個の国がある。

それに加え、バトルフィールドが東西南北に4個あり。この世界の歴史上では、バトルフィールドが出来上がってから、戦争が無くなったことになっている。まあ、現実の世界では、このバトルフィールドは、攻城戦と対人戦が行われていた所だ。この異世界では、訓練場として主に使われている。国同士の対戦も競技としてあるがな。

なにせ魔法が使えるもんだから、広大な土地が訓練場としてあるのは頷けるかもしれない、特に攻撃魔法はえげつない、『メテオ』なんてぶっ放されれば、空から隕石が降り放題なんだからな……、おっかねぇ~~~アンジェリール~おっかねぇ~!!! ゲフンゲフン。

それから、農牧漁業は各国にそれなりにある。特産品などもあるぞ。

国に関しては、こんなところか、ちなみに俺の国は、東にある鉄鋼を国の産業としていて、日用品から建築資材まで、そして防具をちょこっと作っている。やっぱり、同じ鉄鋼でも武器や防具を作っている国の方が潤っているようで、俺の国もそちらに乗り換えれば良いと思うのだが……、頑固な王は『使う人がいる限り、家(国)の家業は変えない』そうなのだ。同じ鉄鋼貧乏といえば、北に部品が主な国の産業でちょっこと武器を作る国がある。あちらも王が頑固なのかは不明だ。

国に関してはこんなものか、現実の世界ではプレイヤーが色々な国を行き来して、キャラを育てるというわけだ。


え? それって只のMMORPGだって? それが違うんだなぁ~、乙女ゲームて言ったろ? キャラを成長させながら、お目当てのキャラを攻略して行くんだ。それにはボーナス特典というものがあってだな? 宝石や武器防具、ドレスなんかが貰える。その装備が意外と使えるので、結構、この乙女ゲームから出発する人が多い。

え? 待てて? 話しが見えないて? そうだろうそうだろう。これを言えばわかる。実はこのMMORPG『ジュエル・I  LOVE・アンジェリール』は、王道MMORPGの姉妹ステージなのだ。だから、アンジェリールの立場で攻略キャラに恋をしてボーナス特典をゲットして、王道MMORPGのステージに行くと。現実ではこちらの『ジュエル・I  LOVE・アンジェリール』は全ての設定が優しいので、MMORPG初心者には評判なのである。


だから、当然のように魔物も居るんだよなぁ~。この世界では、魔物は人々の負の念『負念ふねん』から出来ているとされている。だから、学生は武術として、物理的(剣術、弓、体術など)なものを選ぶか、、魔法を選んで訓練を受ける。

ああ、この世界には冒険者やトレジャーハンターも居るぞ。トレジャーハンターの一例だが、国に採掘権を申請して、発掘した宝石は税金を払えば自分の物となる。結構、人気のある職業だ。


「うん……、あれ? アーサー、起きたのか。俺の方が寝てたのか、上着を掛けてくれてありがとう」

「おう、おはよう、リカルド」

「アーサー、時間はどうだ? まだ、あるか?」

「お茶会までか?」

「ああ、まだ一時間ほどあるぞ」

「そうか、なら……」

「どうした? リカルド」

「あ、アーサー。迷宮の魔物の話は聞いたことがあるか?」

「ああ、少しは」

「そうか、これ、まだ、噂なんだがな。俺たちの上の学年、大学部の学生が、魔物討伐に駆り出された話しは聞いたか?」

「それは、先週、耳にしたな」

「そうか、それでな。もしかしたら……、高等部の学生も討伐に駆り出されるかもしれないという話しなんだ」

「へ~、そうなんだ」

「へ~、じゃねぇよ! アーサー、希望者じゃないんだ。選抜なんだよ!」

「うん?」

「お前や俺は、確実に駆り出される……」

「へ?」

「……」

「えぇええええええええ」


待てよ! 待ってくれよ! 迷宮の魔物討伐てぇえええ、ここ乙女ゲームじゃねえのかよ! あ、さっき色々話したな俺……。だぁあああ、そうじゃねぇ、死んだらどうするんだよぉおおおおおお。


俺は心の中で絶叫したのであった。

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