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第13話 ディナーも御一緒に

 俺は笑顔を引きらせながら、頭の中ではフル回転で考えている! チラリチラリとグレタの方を見てみるが……、アークが喋り出したことで俯いてしまっている。

俺は、俺はぁあ……、頭を冷やす意味も込めて。


「その、皆、今日は金曜の夜だ。夜会などはないのかな?」


思い切って、これで話題が変われば御の字だし、変わらなければそれはそれまでと覚悟を決めた。


「アーサー、何言ってんだ?」


お? 真っ先に反応したのは、リカルドだった。


「今月(四月)は、来週で終わりだよな?」

「ああ、そうだが? リカルド」

「五月に入ると、この国最大の祭りがあるじゃないか?」

「ああ、花と宝石の祭典だな」

「そうだ、だから、この時期に夜会をする貴族はいないよ」

「え?」

「アーサー、この話題は去年も話した気がするが……」

「そうだったか」


やっべぇ~~~、すっかり忘れていたぜぃ。毎年五月に行われる、ジュエル王国最大の祭り『花と宝石の祭典』。そうだった、この時期はこの国の王族に貴族たちは大忙しいだったんだ。

てぇえええ、呑気ことは言ってられねぇええ、今年は俺の国、アルラス王国からも楽団と劇団を派遣するんだった……、忘れていたよ! まじ、やべぇ~~~ところだった。そうなんだ、貧乏国の国民は、嗜み事にも腕を磨き、出稼ぎに楽団や劇団を要望があれば、国内外問わず、出向いている状況だった……。ああ、俺の国やべぇええ! 何とか、ほんと、国民を潤す案はねぇのかっ!!! ああ、ちくしょうぉおお、学生の身分だ、今は勉学だな、出来る限りの知識を自分のものにして国に待って帰るんだ、俺っ!!! ああ、その前に帰ったら執事のスコットと打ち合わせをしねぇとなっ! 楽団と劇団の宿泊施設の確認なんかをがっつりやれねぇ~とな。それにしても国の者に会えるのは嬉しいぜい!!!

ああ、やべっ、そうじゃねぇ~、この場はどうする? 試しに夕食でも誘ってみるか? まあ、皆、金曜日だ、流石に断るだろう、それで、話しが違う方向に行けば……、


「なんなら、このままここで夕食も取るか?」


俺はつい……、といった具合に言葉を口にすると……。


「いいな、アーサー」

「そうだね、アーサー、僕、皆とゆっくりするのぉー久し振りかもしれないよ、嬉しい」


『え゛?』思ったより、好評じゃございませんこと? あ、いやいや……、こいつらやることねぇ~のかよっ!


「私も……、アーサー様とディナーをご一緒したいですわ」


キターーーーー!!! アンジェリールの鶴の一声!!! 頂きましたっと! 俺は、


「ああ、皆の都合が付くようなら、そうしよう、都合が悪い者はいないか?」


俺が問うも誰も反応をしない。いつもなら気紛れで来て、適当に帰ってしまうジェイドまで、都合が悪いとは言わない。えぇええ~いぃぃぃもうぉ!!! 俺は、話題を変えるために振った話だが……。


「では、茶会の途中だか、席を立つことを許してくれ、フロントに行って来るよ」

「え? アーサー、何、席を外そうとしているんだ? ベルで呼べばいいじゃないか?」


クッ、余計なことをリカルドォオオオ、俺が席を立っている間に話題が変わるかもしれねぇ~じゃぁあねえかよぉおおおお。そのな、グレタも面子もあるしだな? アンジェリール様のだな? ご機嫌もあるじゃぁああねぇえか? 本日の爆弾、アークも居るじゃぁあねえか? な、ななな? 我ながらせこいとは、思ったが、期待して席を外せそうもなかった。


「ああそうだな、リカルド。俺、忘れてたわ」


恍けたように俺が言うと、リカルドは、そうか、アーサーでもそんなことがあるのかっ、というような目で見て、助けた俺は偉いぃ。アーサーの役に立った俺っ! というような視線を送って来る。その視線が子犬のようで、あーもぉーこれはこれで溜まらない。可愛い弟たちのようだ。


俺はベルを鳴らしメイドを呼ぶと、皆で要望を伝えた。暫くすると、直接、受付のシャルレが来てくれて、夕食の打ち合わせをした。


ここまで来るとしゃぁあねぇえ、夕食前にカタを付けて美味い飯を食おうじゃぁねぇえかっ! 俺は、グレタの方を見て、


「グレタ、皆に洋装店のこと、話してしまっても良いかな?」


少し引き攣った笑顔になってしまったかもしれないが、ほんの少しの微笑みと真剣な眼差しで、グレタに言った。すると、グレタは頷いてくれた。


俺のちょっとした気遣いのつもりが……、あ、いや、大きなお節介だったか……。グレタがアークに恋をしているのは知っている。それならば、最高のグレタを見せてやりたい。なんて独りよがりなことを思ったばっかりに……、皆をやきもきさせている。グレタにも恥を掻かさないように話せるといいんだが……。


「さっきの話しの続きだが、俺が話すよ。聞いてくれ」


そう言って、俺は、話しを切り出した。


「先に、謝っておく。グレタはここにいる誰よりも早くにこの茶会の席に来てくれていたんだ。そして、次に着いた、俺とリカルドを笑顔で迎えてくれた。それなのに、一歩間違えれば、グレタを侮辱することになるのに……、グレタは俺の我が儘に付き合ってくれた……。そうなんだ、俺がグレタのドレスが気に入らないと、洋装店まで引っ張って行ったんだ。結果……、洋装店ではグレタを泣かせてしまって……」

「違いますわっ! アーサー様!!!」


俺の話にグレタが被せて来る。


ガタッと音がすると、俺は立ち上がったアークに襟首を捕まれていた。

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