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第12話 グレタのお願い

 俺は喋ろうとすると、引きる顔を……。何とか、心の中で頬を引っ張ったり舌を出したり目を回したりしてぇえええ!!! ああ、心の中だぞ、心の中ぁ。実際にやったら俺のこのイケメンぷりが台無しじゃねぇえかっ! あ、いや、きっと乙女ゲーム仕様の俺の顔がそうはさせねぇえええ! え? あ、話しをしているんだった、俺はっ。

まあな、兎に角、俺はリラックスに努めたんだよ、うん、これだなっ! それでだ、俺はグレタに、


「グレタ、君の言うことは、まあ、大体、わかったが……、まあ、わかってねえところもあるけどよ……ブツブツ。あっ! 否、違うっ!!!

グレタは、アンジェリールのセンスの良さを認めている。そして、羨ましいとさえ思う。ここは合っているな?」

「あ、ええ、ええ、アーサー様。それで、あの、私は女に……」

「まってぃいいい」

「もう、アーサー様、変なお声を出して、私の話を遮らないで下さいませ! 私は真剣ですのよ! その、女に……、あれ? 私……?」

「グレタ、グレタさん? そこはね、女じゃなくてね、女性としてセンスを磨きたい。と、仰りたいのではないかしら? と、あたくし、アーサーは思うのよ」

「そうですの! 確かにアンジェリールには、私、かなわなくて、悔しくて、たまにちょっと意地悪を言ってしまったりしますの……、でもそれは、本当は……本当は……」


俺は、いつの間にか、クネクネとしながら話しをしていた。


えぇええいぃぃいい! もうこの際、どうでもええわっ!!! この場が収束して、アンジェリールのご機嫌が直ったならばっ!!! よし、アーサー君、その調子よっ!!!


「本当は、意地悪ではなく、素直に褒めたいのでしょう? アンジェリールゥ~、今日のドレスは素敵ですわ、コーデもセンスがよろしくて、あたくしも見習いたいですわよ。とか、なんとか……」

「そうですのよ! アーサー様!!!」

「そうよね、でも、女同士、そう簡単には行きませんわよね、あたくしもわかりましてよ」

「ええ、ええ。他の皆様方の目もありますしね……」

「そうなのよね、おっほほほほ」

「あ、あの、アーサー様?」


いかぁあああんっ!!! 調子に乗りすぎたか、グレタの視線が痛いぞっ! ここは調子を合わせてくれよぉおお。


「はい、グレタ」


おれは、取り敢えず、笑顔を見繕った。そして、クネクネと動いていた手足を止めてポーズを取ることを阻止した。


「……」


グレタの反応が、思ったよりも冷たい……冷たいぞ……。えぃえええいぃ! 一人だけ正気に戻るんじゃねぇえええ。俺は心の中で叫びながら、笑顔を作る。

おい、誰か反応しねぇえかっ!!! その時、


「ウフフッ、アーサー様たら」


アンジェリールが、笑った!!! 笑ってくれたよっ、アンジェリールゥ~、クゥ~~~。それを切っ掛けに、皆が吹き出す。


「ブッハハハッ、アーサー、なんだよぉ~それ」

「あの、あのね、アーサー、僕ぅ~、ウフフッ」

「ブッハハハハ」


リカルド、ルカ、ジェイド、三人のヤローどもは馬鹿笑いをし始め、アークはと言うと、眼鏡をクイッと上げるものの、口元がモソモソと動いて最後には、プッと吹き出し、ククッと笑いながら笑いを堪えようとしている芸当を見せてくれる。

まったくよぉ~、さっきまで石像みたいに固まっていたやつらは何処の誰ですかぁ~~~てんだっ!ちくしょぉおおお。

と、まあ、言いつつもぉだぁ~。あーしかし、モテモテの人気者のアーサー君が台無しじゃねぇえかよっ! とか思いながら、俺も笑い出す。まあ、ほんのちょっとな! カッコつかなくなるからよ。


「それでは、紳士淑女の皆様方、お茶とスーツを楽しみませんか?」


俺は満面の笑みで、机に軽く肘を付き指を絡ませてポーズを決めながら言った(ドヤッ)。


「アーサー様、お話しはまだ終わっておりませんのよ、あの、私」


『あらいやだ、グレタさん、まだ仰るの?!』と、心の中のおねえアーサーは、そう言いつつ……。俺は、返事に困り笑顔を貼り付けていると……、


「アーサー……、その、聞きたいことがあるのですが……」


やっべぇえええ、一番やべぇ奴が、口を開きやがったよっ。アーサー君、ピィーンチッ!

俺は、貼り付けた笑顔のままで、


「何かな? アーク」


こうなりゃ、仕方ねぇえ~、俺はアークに聞き返す。


「ああ、その。アーサー、ベイビーブルーローズティ、上手いよ」

「へ? ああ、では、ブルーローズティと一緒に今日の茶会の土産に包んで貰おう」


俺は、チリンとベルを鳴らし、手土産にと思っていたメレンゲクッキーの他にベイビーブルーローズティを追加で人数分頼んだ。ああ、俺の分もだ。土産は弟たちが喜ぶからな。そして、執事のスコットとメイドのアリアの分だな。

俺たち兄弟は無理を言って、寮では同じ部屋にして貰っている。勿論、執事やメイドたちの部屋も隣にある。なんてぇのかな? 国ではそんなに給金もはずめなかった、ついな、此処の暮らしぐらいと皆で家族のように茶を飲んだりして、日々、楽しくやっているわけだ。そんなだからな、つい土産は皆が楽しみにしてくれるから、自分が主催しても自分の分も土産を包んで貰うというわけだ。まあ、変な王太子と呼ばれるかもしれねぇえが、転生者の俺にとっては、それが居心地が良いのだから、それで良いのだ。ああ、話しが逸れたが……。


「そうじゃないのですよ」

「あ、ああ アーク」


アークがハッとしたように言う、俺は釣られて返事をする。


「先程から、話しを伺っていますと……。グレタは、羨ましいと思う程のセンスの持ち主のアンジェリールに教えを乞わず、何故、アーサーなのですか?」

「それは……」


クッ……。来たぁーーーーー!!! 来たよ、アークさん。痛いところを突いてキターーー。さて、どう返答する? 俺?!


「もう、白状しちまえよぉ~アーサーァア」


グッ……。この脳筋リカルドめっ! それ言うと、ごまかしようがねぇええじゃぁあねえかぁああ。


「リカルド、白状ですか?」

「ああ、それはだな」


あ゛~~~、もう、会話、始まっちゃってるよぉおお。リカルド、言い掛けてるよぉお。


「アーサー、どういうことです?」

「ああ、その……」



アーサー君、ピーイーンチッ!!!

俺は頭を悩ませる……。

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