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第1回 お調子者の告白


思いっきりラブコメです。

ローな少女とハイな少年のギャップを楽しんでください。



 性格は現実的で根暗。見た目は無愛想。テンションは常に低い。

 そんな女の子、浅月ひなた(←名前負けしているとよく言われる)の最近の悩みは――――・・・・・


「浅月ひなたさん!!俺とつきあってください!!」

 そんなこっぱずかしいセリフと共に差し出されたのは、紙で作られたひまわりだった。

「断る」

 ひなたはそれを受け取ることなく一蹴した。


「えええぇぇっ!いつもいつも・・・なんでー!?」

「なんでって・・・あんたそれ本気で言ってんの?」

「冗談だと思ってたの!?まさか!俺はいつもこんなに愛情表現してんのに!」


 朝からこんなやり取りをするのは、すでに名物になっていた。ひなたにとっては迷惑以外の何物でもない。

 いつからか覚えていない。どうやら南勢(なんせい)高校の生徒会副会長、川口(りょう)に好かれているらしいのだ。

 この意味不明な告白から始まり、ひなたがあっさりふったところまではまだマシだったのだが、その翌朝、川口はこりることなくまた告白してきた。そうしてそれが今日まで何度も続いているのだ。


「まぁいきなり言われても困っちゃうよね。だから俺考えてきたんだ!」

 無視して歩き出そうとするひなたを川口が追いかけてくる。ひどいようだが、これがいつもの光景である。

「例えば、放課後一緒に帰ってみるとか!お互いにもっと話し合うことによって愛が深まるような気がするんだ!」

 そんなことしてどうするんだ。

「他にもー・・・一緒に昼ごはん食べるとか!会話できるじゃん」

 どっちかっていうと、食べるほうに専念したい。


「どう?どう!?」

 きらきらとした瞳に屈託のない笑みでこっちを見てくる川口に、ひなたは一言だけ呟いた。

「ごめん」


 その瞬間、周囲からどっと笑いが起きた。

「またまた玉砕!!ぐっちゃん(川口のあだ名)の失恋回数95回目!!」

「違うよ。96回でしょ」

「俺はこないだで99回だって聞いたけど」

 言いたい放題の周りの野次馬に向かって、川口は涙目になって叫んだ。

「まだ94回だよ!」

 墓穴だったが。


            ◇


「毎日すごいよね。今日も川口君に告白されたんだって?」

 面白がっているようにしか思えない発言をするのは、小学校からの友人、宮本彩香だ。ひなたが教室に入るなり、開口一番にそう言われた。

「あのねぇ・・・あんなの本気なわけないじゃん」

「いーや。あれは絶対本気だと思うよ。ひなたもつきあっちゃえばいいのに」

「ありえないし・・・」


 そうだ。ありえない。

 南勢高校は他とは少しだけ違った制度があり、ある特別な才能や地位の人物に『称号』というものが与えられていた。そういう人物はたいてい生徒会としてなんらかの役割を担うことになっている。

 川口はその中でも、生徒会副会長をやっているのだ。


「贅沢だなぁ。あんなかっこかわいい生徒会副会長になんの不満があるのよ」

 彩香はぶーぶーとぶーたれる。

「不満とかじゃなくて、生徒会ってなんか違うような気がして・・・なんかそういうのが苦手かな」

「川口君はそんなんじゃないでしょ」


 そうかもしれないが、そもそも生徒会副会長をやるくらいの才能とはなんなのだろうか。とても謎だった。

 それに、最近の生徒会はめちゃくちゃ謎だと言われている。


 と、そのときだ。教室の扉が勢いよく開いて、まるで突風のように1人の男子生徒が入ってきた。

 驚く暇もなく、その人物はひなたの目の前で立ち止まり、小さな白い猫を抱き上げて見せてくれた。


「浅月さん!校舎に住みつくノラがこないだ産んだ子猫!超かわいくない?」

 にこにこと屈託なく笑う、このお調子者は一体何者なんだろうか。

不定期更新でいきます。

これからもよろしくお願いします。

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