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悪魔のようなコスチュームで現れた彼女は、ほぼ短パンビキニのようなセパレートの上下で大胆に腹を見せている。
その姿のせいか…
後ろから声を掛けられたせいか…
…ドキドキする。
「また会いましたね。直ぐ分かりましたよ。
その黒の上下。」
「はは…(汗)
今日はまた違ったコスチュームですね。
印象が違いすぎてビックリしました。」
驚きのあまり返信を打つ手が震える。
そして大胆な…
胸…
足…
へそ…
二の腕…
胸…………………。
「そうですか?
割とスタンダードなんだけどなぁ…。
あっちに知り合いと他の有志でやってる店が有るんです。」
ハッとして、コメント覧を見る。
「そこにこの格好をして立たせておくと、このコスチュームよく売れるんですよ。
この世界ではこういうのが人気ですね。
でもこれは初心者向けというか、比較的着せやすい方だと思います。
もう少し奇抜な奴が上級者向けで、皆さん徐々にエスカレートしていきますね(笑)」
(もっと奇抜…もっと奇抜……。)
「マコトさんもどうですか?」
(やばい…返信しないと。変態に思われる。
変態…変態…変態…。)
「いや、そっち系のコスプレとかあんま興味なくて…。」
変態に思われたくなくて、心とは裏腹なコメントを送ってしまう。
「…あ、ごめんなさい。
こういうの
あんまり好きじゃなかったですかね…。」
(んっ???落ち込んだ!?)
「いや!見るのは大好きです!」
送ってから失敗したと思った…。
見るの大好きとか、もう変態じゃねーか。
「いや、特別そうゆー趣味はないけど、見ても良いって感じです…。
変な意味じゃなくて…。」
もうなんて言っていいかわからん。
「ぷは。めちゃくちゃ言い訳しなくても分かりますよ!」
「え?…あはははははは。」
アバターに表情筋が無くて本当に良かったと思う…
今の僕は気持ち悪い笑みが止まらない。
「真面目な話、また会えたら良いなって思ってたんです。もう少しお話しできたらなって思ってました。」
彼女から言って欲しい言葉が出てきて安心する。
「この間は、話が盛り上がりかけた途中で別の人に話しかけられてしまって…
途中だったのにすいませんでした。」
今度こそ慎重に、
かつ言葉を選びながら、
それでいて時間をかけずに、
今出来る精一杯の返信コメントを送っていく。
「こちらこそです…。
私もあんな大勢の場所で込み入った話をしてしまって…すみません。」
これはチャンスなのかもしれない!
今 勇気を振り絞らないで、どこで勇気を使うんだ!
「ほんと偶然にまた会えたし…ちょっと邪魔されないところで話でもしませんか?」
「」
(…やっべ。勘違いか。)
「あっ、全然嫌なら大丈夫なんです。
ただここ通り道だし、ちょっと邪魔かなって………。」
唐突に打ってしまったけど、
ハッキリ言ってここは仮想世界だし、
通り道で邪魔とか関係ないし、
変なコメントでヤバイかなって焦った。
「はい、お願いします^_^」
よっしゃーーーーー!!!!!!!!!
思わずガッツポーズを取ったのをセンサーが感知してアバターも変な動きになる。




