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彼女が消えてからしばらくその場で待っていたが、その日彼女は戻って来なかった。
教会の完成披露会は滞りなく行われた。
皆んなは俺に称賛の言葉を掛けてくれた。
俺は愛想を振りまいてその場をしのいだ。
次の日に彼女のよく行く場所へくまなく行ったが、彼女は現れなかった。
彼女の知り合いのアバターにも知っている限り会ったが、行方は誰も知らなかった。
すごくすごく虚しかった…。
彼女を見失った事で、この世界で俺は一体何をしたかったのかわからなくなっていた。
新しい自分を求めて
手に入れた理想の自分で
一体何をしたいのか?
俺は誰なんだ…。
この世界は
俺を新しくしてくれる。
限りなく理想に近い自分に。
なんの欠点もない自分に生まれ変われる。
産まれてからずっと感じてた劣等感から解放され
自分の容姿がアップロードされていく。
自分を取り繕うことから解放される。
生まれて来るときに容姿は選べない。
現実世界でガチガチに貼られたレッテルが、ボロボロと剥がれ落ち
やっと本当の自分になれた。
仮想世界ならもう一度人生をやり直せる。
…そう思ってしまった。
いったい
この俺の何が悪かったのか…
一気に駆け巡る、
自分の中で次々と爆発するように…。
虚像と現実は所詮、己の範疇を超えられない。
今この仮想世界にいるのが本当の俺じゃなかったのか。
皆んな望み通りの姿形を手に入れ
人間の本質だけで、
中身だけで繋がることができる。
そう信じてしまった。
本当の俺を否定された…?
人は優劣をつけるのが好きだ。
現実では容姿が簡単に差し測れる物差しだから、それで誰でも比べることが出来る。
容姿が皆んな同じだったら?
きっと物差しが容姿ではない別の事になるだけで、きっと優劣はつけるのだろうと思う。
じゃあ新たな尺度はどこに向かうのか?
名誉か
資産か
それとも綺麗事でやさしい言葉のチョイスか。
今までの価値感が崩れる。
本当は尺度に支配されることで安心を得ていたのかもしれない。
全ての悪い出来事を、その物差しのせいに出来る。
じゃあ今の自分に足りないものはなんなのか…。
何がいけなかったのか…。
奥底にある自分まで否定されたようで
何が救いなのかわからなくなっていた。
今の自分で…
本当にこの愛を貫けるか…。
彼女はなぜ消えたのか。




