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正しい夫婦

作者: ヤセイカンラン

あるところに若い夫婦がいた。男は外で朝から夜まで働き、女は家事をしていた。


ある時、男が家の中のことを何もしないのは女性差別だということで朝ご飯と掃除は男の仕事になった。それから朝ご飯はご飯と味噌汁からコーンフレークになり床にはホコリが目立つようになった。


女が働かないのは女性は家庭を守るという古い考えに基づいた差別だということで女は働くことになった。一方男は残業禁止によって早く帰ることになった。女の給料のおかげで残業代が減っても収入はほとんど減らなかった。


やがて二人の間には子供が生まれた。女性だけが育児休暇をとるのは女性差別なので男だけが育児休暇をとった。しかし男だけが育休をとるのは男性差別なので一才になるまでは男が一才からは女が育休をとることになった。


夫婦で男の姓に女が合わせるのは女性差別なので夫婦で別姓を持つようになった。子供は二十才のときに両親のものから選べるようになった。しかし戸籍や生活で度々混乱が起きたので姓を廃止することになった。


二人はもう一人子供が欲しいと考えたが女は体力面で心配だったので医者に相談にいった。すると子供を生むリスクを女性だけが負うのは女性差別なので二人生むときは二人目は再生医療で作った人工子宮で男が産むことになった。また精子と卵子のシステムでは性別の決定権を男性が持っているから女性差別なので再生医療で作った女の精子と男の卵子で子供を作ることになった。


女性は髪が長いから乾かすのに時間がかかるという大臣の発言が問題になり髪で男女の差があるのは差別ということになり頭を脱毛した後人工毛で作ったかつらを着用することになった。またひげは男性優位の時代の象徴とされたので男はひげを永久脱毛することになった。


男子校や女子校は差別的なのですべて共学化された。二人の子供が通う女子校も共学になった。女子だけスカートなのは差別的なので制服はズボンになった。


全国で男性用便器が女性用便器に比べ8528個多かったことが調査によってあきらかになり一部の男性用トイレが女性用のものに変えられた。男が朝ジョギングするときに通る公園でも男性トイレがなくなり女性トイレが二つになった。


男女で身長体重の差があることが問題になった。よって身長は175から185センチ 体重は55から60キロの間でなければならなくなった。男は体重が65キロだったので手術で58キロに減らすことになった。一方女は身長が170センチだったので薬で伸ばすことになった。


夫婦の娘が子供を生んだ。親が名前をつけると男女差別になる恐れがあるので廃止され公的には二十桁のマイナンバーを持つだけになり、ニックネームとして国が定めた非差別的な名前をつけられるようになった。さらに能力が人によって違うのは差別を生みかねないのでホルモンや薬によって能力が年齢によって正しく成長するように管理するようになった。



人によって墓の形や大きさがちがうのは差別なので同じ墓にしなければならないと書いてある記事を読みながら妻に話しかける


「なあ おまえ」


「何ですか? あなた」


「俺は自分の墓になんて刻めばいいんだろう」







違いを何でもかんでも悪者扱いしてなくしてしまうのは個性をなくしてしまうのと同じことだと思う。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 着眼点と、極端な発想が面白かったです。 [気になる点] ここまで徹底して平均化を目指すなら、結婚の制度そのものにも更に変化があると、もっと面白かったなぁ……と思いました。 あと、日本人男…
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