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霧の勇者は業が深い  作者: 彼岸花@
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試練の杖

◆◆◆試練の杖◆◆◆

「そういえば、トリアテ様。なんか怪しいやつとかいます?」


「怪しいと言えば全員あやしいと思うのじゃが?」


「いやまぁ、そうですけど。」


「そもそも、このMAPは大して広くないのじゃ。将太が霧を広げたら敵が出てくる可能性はあるかもしれぬが、今は何もおらぬ。」


「あれ、そんな事が瞬時にわかるのですか?」


「わしはカルマを付けておるからのう。所在が分からなければ話にならぬ。」


「なるほど…。って、知ってたなら教えてくれても良かったじゃないですか?」


「将太が些細なことで苦労しているのをほくそ笑みながら眺めるのが良いのじゃ。」


「えぇ…。」


「む、わしの性格が悪いというわけじゃないのじゃ!わしが何でもかんでも指図しておったら将太としても面白くないのではないかや?」


「場合によってはそっと教えてくれてもいいと思いますけど…。」


「聞けば教えるが、わしが得ている情報量は1分間に得ている分だけでも

将太に伝えるのに何日もかかるのじゃ。その中の何が知りたいのかわしにはよくわからぬ。

当然、その中でも明らかに重要な事であればこちらから教えるがのう。

じゃが今回においては結局全体を調査して何も無ければ敵を待たずに住民を先に逃がしてしまえばよい。

敵が来る方向が不明じゃからどこに逃がせばよいのかもわからぬがの。

とにかく、わしは眺めておるだけで万事解決じゃ。」


「結局全部調べる事になるからニヤニヤしながら見てたんですね。」


「ニヤニヤなどしておらぬ。微笑ましいと思っておっただけじゃ。」


「まぁいいですけど。このMAP本当に狭いんですね。2km四方って感じかなぁ。何も出てこないし、マカ達に期待するか。」




「全然ダメね。みんな似たような返事しか返してくれないわ。」


「私の方もですね。芳しい成果が得られず申し訳ございません。」


「それはいいんだけど、困ったなぁ。とりあえず、住民に避難っていうか移動してもらうか。そうだ、村長みたいな人はいたの?」


「いたけど、ヨボヨボのおじいちゃんよ?ちょっと期待できないわ。」


「一人ひとり説得してみるしかないか…。」




「はぁ…。」


「お金払うって言っても動いてくれないんじゃなぁ。」


「この試練、わけがわからないわね。そういえば、来る前は夜だったのにここはずっと昼みたいだし、全然眠くならないのよね。」


「当然じゃ。精神だけこの世界に来ておるからのう、体は寝たままじゃ。おかげで現地の時間はまだ1分しか進んでおらぬからゆっくりやるのじゃ。」


「トリアテ様ありがとうございます。えっと、この世界は精神だけ来ていて、実際にはまだ1分しかたってないらしい。」


「心ゆくまで悩んでくださいって事?クリアさせる気があるんだか無いんだか。もう、石化させて無理やり移動させてみましょ?鑑定してみたんだけど、ここの住民って実在しない人たちみたいだし。」


「うーん、まぁ、石化させて移動するのは今回が初めてってわけでもないしいいか。」




「なぁ、この試練ってやばいんじゃね?」


「私もそんな気がするわ。」


石化させてさらに一塊にしてあちこち移動させてみたがクリアできなかった。


俺たちも住民に入っているのかと思って住民たちに混ざってみたがあまり意味はなさそうだった。


さらに、さらに。MAPの端の方に避難所っぽいのを作って石化を解除してみたけどダメだった。


仕方ないので住民たちは元の場所に戻して石化を解除した。


夏海ちゃん達は推理するのを諦めたのか、横になって考えるとか言って寝っ転がったままだ。


「これさ、実は試練がどうのこうのっていうのが嘘で、自力でこのMAPから脱出するのが正解だったりしない?」


「夏海さんの回復なら試してもらったわ。何の効果もなかったけど。私の鑑定でも状態異常になってないもの。」


「状態異常になってないっておかしくないか?トリアテ様、実は治せたりしませんか?」


「将太だけでいいなら治せるのじゃ。いったんわしの所に呼び出して、元の体に放り込むだけじゃからのう。じゃが、それをすると他の者はそのままじゃな。」


「ダメか…。MP拡散はやばそうだしなぁ。トリアテ様は今がどういう状態かわかったりします?」


「仲良くログアウト方法不明の没入型オンラインゲームをプレイ中みたいな感じじゃ。」


「俺たちは異世界に来ておきながらログアウト不可のオンラインゲームやってたのか…。敵が出ないのってバグだったりしないよね?」


「それオワコンじゃない…。ねぇ、本当にネネから何か聞いてたりしないの?」


「夏海ちゃんが居れば大丈夫みたいなことしか聞いてないんだよなぁ…。」


「よー隊長ッ!避難は終わったかー?」


「いーや、全然。手応えナシ。」


「んだよ、言うこと聞かねー奴らだな。アタシが力づくで追い出してやるぜーーッ!」


「おーい、夏海ちゃーん!避難自体は一回やってみたんだって!…聞いてないし。」


「死傷者が出たら完全に詰みそうだし…って、それならログアウトできそうね。」


「あー、最悪それだな。」


―住民を逃がせ 1/16


「あれ?」


―住民を逃がせ 11/16


「まじか…。」


―住民を逃がせ 16/16 第一の試練 クリア


「納得いかねー。」


「おにいちゃん、こういうのはフラグを建てないと達成できないのよ。」


「これ、敵さえ出てれば勝手にクリアできたんじゃないか?住民50人はいたぞ?」


―見事だ挑戦者よ。よくぞアンデットの群れから住民を逃がすことに成功してくれた。しかし、さらなる脅威が住民を狙っている。


―第二の試練、ドラゴンゾンビを討伐せよ。


「詰んだ。どうせいないんだろそいつ。」




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