ある町で a2
◆◆◆ある町で a2◆◆◆
「しかし、いきなり観光って言ってもなぁ。この町の名前すら知らないんだが。」
「フッ、人間共の寄せ集めが何を名乗ろうとも我には些末事よ…!!」
「そうですね、町の名前なんて置いておいて、市場にでも行ってみましょう。面白いものがあるかもしれません。」
「うむ、いいかもしれぬ。」
「良かった。本当にフリーマーケットみたいなところがあるんだな。高層ビルっていうかデパートがないからこういうところが人気になるのかな?」
「あちらから怪しげな気配を感じる…!!」
「あれは…魔道具?」
杖に水晶にツボといかにもな物が並んでいる。
「杖って何に使えるんだ?」
魔法を使うときに杖って要らないんだよなぁ。
「これは魔術具。振ると込められている魔法が発動する。誰でも使える。」
「それは便利だな。なんでみんな使わないんだ?」
「魔術具は消耗品。使用回数や込められている魔法の確認には鑑定系のスキルが必要。」
「つまり、普通はいつ使えなくなるか解らないって事か。だいたい何回くらい使えるんだ?」
「10回前後。未鑑定品は回数が減っている場合がある。」
「マカがいないと買えないじゃん。…いや、識別先生なら!」
ファイアーボールの杖 残り3
「残り3回かよ…。」
「これ!これがいい気がする!」
―魔王様が同じようなデザインの杖を選んでいる。
×××××の杖 残り1
「まぁ、そうだよね。ファイアーボールが見れたのはランクが低いからだろうなぁ。魔王様、その杖1回しか使えないみたいですけどいいんですか?」
「おお、そちらに目を付けられるとはお目が高い!なにやらすごい力を秘めているらしいのですが、使用者を選ぶようでしてね。これも何かの縁でしょう。本来なら10万DPの所をたったの3万DPでいかがでしょうか!」
残り回数が1回と聞いて売りに来たな…。どうせ1回だけ花火みたいに使って終わりだろうしDPは余ってるから何でもいいか。
「1回か…少ないから他のでも構わぬ。」
「いえ、DPなら有り余ってますから、買っちゃいましょう。」
「おお、お買い上げありがとうございます。」
「ついでに、ここから…ここまでの杖も売ってください。」
「毎度ありがとうございます!」
総額364万DPだった。異世界なのに現金を持ち歩かなくてもいいってのは楽だな。
識別できない杖がたくさんあるし、後でマカに鑑定してもらおう。
え、無駄遣い?ミスリル装備1個に届かない程度の金額は誤差なのだよ…!!
「次は…あっちがいい気がする。」
「いいですね、行きましょう。」
食べ物屋もあるけど、
「雑多なものを置いている店が多いな。」
「ギルドメンバーがダンジョンなどで集めてきた戦利品を販売している。」
「だからいろいろ置いてあるのか。薬とか買って行ったらマカが欲しがるかな?」
「不要。鑑定があれば大抵の薬は製作可能。」
「あぁ、やっぱり?そんな気はしてた。」
「素材なら喜ぶ。素材として利用しやすい植物を推奨。」
「なるほど。見かけたら買っておこうかな。」
「ぉぉぉおお!いいものがある!」
―魔王様が何かを見つけて喜んでいる。くっ、見えそうで見えない…。
「何かあったんですか?」
封印された不思議の箱・緑 これが10個くらい並んでいる。…11個だった。
「封印が解き放たれし時、異空間より1つアイテムが召喚される箱だ。フハハハハ!我が全てもらい受けよう!」
「お買い上げありがとうございます。お包みいたしましょうか?」
「不要だ。」
―魔王様が箱を全部インベントリに保管した。
「子供なのに大人買いが好きじゃのう。」
「そう言うトリアテ様も、何か買ったんでしょう?」
「そ、その様な事は無い。誰かがガチャを回さないと運営が困るのじゃ。」
「アウトー!」
「し、仕方ないのじゃ!新しく出たキャラがコラボ限定ガチャでしか出ないのが悪いのじゃ!」
「そうですか。でも、程々にして下さいね?」
「大丈夫じゃ!将太からもらった千兆DPがわしにはついておる!」
「ぁあ、そうか…。俺が1京でカルマを実装した時のがあるのか。」
これならちょっとガチャ回す程度なら問題無いか。…無いか?
「大金をトリアテ様のようないたいけな少女が持っていると危ないのでは?誰か信頼できる神様に預けるとか」
「将太よ。」
「ん、なんですか?」
「さりげなくわしの心をえぐるのはやめるのじゃ。」
「え?」
「わしらは神じゃから、必ずしも親がいるわけではない。わしもそうじゃ。」
「あ、はい。そうですね。」
「そして、わしは学校にも行っておらぬ。」
やべぇ…ガチニート神だった。っていうか、やっぱり神様にも学校あるんだ…。
「よいか、わしは、ここから出なければ世界の理に守られておるから安全なのじゃ。」
「ええ、わかりました。」
トリアテ様のボッチ力がやばい。
たまに様子を見に来てくれている神様がいるみたいだけど、なんとかならないものか…。