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霧の勇者は業が深い  作者: 彼岸花@
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異世界はじめての道

◆◆◆異世界はじめての道◆◆◆

「うーん、盗賊が出ない。」


異世界序盤で定番の盗賊が襲ってこない。完全丸腰で1人なのに、なんてサービスが悪いんだ。


「ああ、魔物がいるから盗賊が住めないのか。」


魔物を狩れるならそもそも盗賊になる必要がない。魔物を狩れる盗賊はこんな人通りの無いところで待っていてもうまみが無い。だめじゃん。


「冒険者のクエストに期待しよう。」


日本人なら人殺しはダメっていうのは当たり前かもしれないが、その人殺しや人さらいをやってそうな盗賊を野放しにするのもダメだろう。積極的に倒さなくては!まとめて鉱山送りにしてくれる!盗賊を盗賊だと示す方法が無いからダメか。あ、システムさんに聞いてみよう。100DPを消費して盗賊を捕まえた場合どうやって衛兵に突き出したらいいか教えてください。


【指名手配犯とその一味でなければ証拠不十分で無効です。】


え?証拠が不十分なら無効ではなく、証拠不十分で無効なの?100DPを消費!


【一般的に司祭または村長以上の権限者の証言が必要です。】


証拠じゃねぇ!異世界裁判の典型的なパターンだけど、俺じゃ条件満たせないじゃん。まぁ、それが法律なら仕方ないか。勇者はたくさんいるらしいけど、魔法アリじゃぁ証拠品集めても仕方ないんだろうな。だから権力者の裁量以外に他を納得させられる手段がない。スリとか多そうでいやだなぁ。あぁ、お金もDPだから盗めないから大丈夫か。良かった。


盗賊は出てこないけど、魔物は時々出てきて不意打ちを食らう。でも、俺の防御を突破できる魔物なんてそうそういないし、向かってきた勢いのせいで魔物が自滅する。ひるんだところを捕まえて何度か殴れば倒せるんだよね。防御高いから拳が痛くならないし、武器持つよりも素手の方が良いんじゃないか?まぁ、いかつい武器には憧れるから町に行ったら買うけどね!


時々逃げられるけど、どうせDPしか手に入らないし、追いかけるのは面倒だ。問題は寝る時くらいか。寝る時どうしよう。ちょっと急いで町に向かったほうがいいかな?枝に引っ掛かっても枝の方が折れるみたいだし。でも服は破れるんだよなぁ。


あ、システムさん教えてくれたりしないかな?寝る時に霧はどうなりますか?100DPを消費。


【ユニークスキルの詳細は1000万DPかかります。】


高い…やめておこう。


あ、なんだ。もう街道だったのか。いや、町道?まぁ、なんでもいいか。走れば今日中に町にたどり着けたらいいなぁ。




「ハァ、ハァ、ハァ・・・・疲れた。」


全然町なんて見えてこない。これは野宿決定か?不安だなぁ。この強化持続時間が数秒だからなぁ…。寝たらやっぱり維持できないんだろうなぁ。少なくとも確定でない以上、無策はやばいよね。残っているSPで何とかならないものか…。暗い間に進むのは良くないらしいし、疲れたからここらへんでスキルでも探すか…。とりあえず、100DPを消費して寝ているときの安全を確保する方法を教えてください。


【質問に対する回答が多すぎます。】


まあ、そうだよね。安全な宿に泊まるとかも入るだろうしね。野営スキル…は入門じゃ意味無さそうだし。やっぱ霧でなんとかしないと3SPじゃ足りないよね。効果延長なんてどうだ?いや、ダメか。霧自体に効果を載せるには発動にしなきゃいけないだろうし、そうなると効果時間の延長は入門級だから多分意味がない。トリアテ様まだ起きてたりしないかなぁ?トリアテ様は今起きておられますか?100DPを消費。


【眷属のため開示可能:今は起きておられます。】


「おぉ!困った時の神頼み!!トリアテ様!ちょっと聞きたいことがあるのです!1000DPを送ります!」

つなぎ方わからねぇ…。


「ふむふむ、本当に1000DP送るとは感心じゃ。」


「あ、さっきので良かったんですね。1000DP必要じゃなかったんですね、でも、敬虔なる信徒からの貢ぎ物なのでぜひ受け取ってください。」


お賽銭みたいなものだ。お札は良くないんだっけ?まぁ、1000DPは千円札じゃないだろうからいいか。

「良い心がけじゃ。誠心誠意わしに貢ぐが良い。」


あれ、ニートLvが上がってしまう気がする。やってることは神様っぽいからいい…のか?この話は長くなりそうだし、とりあえず本題に入るか。


「暗くなってきたので野営したいのですが、寝ると霧を維持できなくなるかもしれないので困っていたのです。」


「ふむ、今日のところはわしが見張っておいてやろう。」


「ほんとですか!ヤッター!!」


これはついにトリアテ様なら俺の横で寝てるよ?といえる日が来たのか?…あ、寝るのは俺の方か。


「トリアテ様ってさっき眠いって言っておられませんでしたっけ?大丈夫ですか?」


トリアテ様に徹夜してもらうなんてとんでもない。


「大丈夫じゃ。ぬしからもらったDPで時を超えるオフトンを買ったのじゃがこれが優れものでの。睡眠中は癒し効果があるだけでなく、時空をゆがめて精神だけ100倍加速された特殊異界で睡眠をとれるのじゃ!わしはもう1週間寝過ごした気分じゃわい!これがなんとたったの19万8000DPじゃぞ?!ほしいか?ほしいのか?残念じゃったの!この効果は神界でしか使えぬのじゃ!」


「やべぇ、ちょっと欲しいけど使ったら使ったでやばそうな感じだ……。」


トリアテ様のテンションがおかしい。しかも、19万8千ってトリアテ様の手に入ったのほぼ全部じゃん。


「これで1日23時間戦えるのじゃ……!!」


ネトゲ廃人も真っ青な稼働時間だよ。権能も仕事も無いのに何をする気なのだろう?


「ほどほどにしてくださいね?」


「任せておくのじゃ。今は勇者育成が忙しいからの!」


「勇者ってもしかして俺の事ですか?」


「当然じゃ!まだぬししか召喚しておらぬからの!」


哀れ、強奪の勇者は存在を忘れられてしまったようだ。俺も名前覚えてないけど。


「もしかして、スキルの位置とかをすぐに答えられたりするのって…」


「わしがキッチリ予習しておるからじゃ!」


すごい努力だ。しかしこの女神、無職である…。


「おぬしが寝ておる間にわしが今後の睡眠時の安全の確保方法を考えておいてやるのじゃ!」


めっちゃやる気だ。女神さまの助言アリアリなんて楽勝だぜ!


「俺はそろそろ寝ますね。」


霧は出しっぱなしだ。わざわざ消す必要もないし、もしかしたら寝ている間も維持できるかもしれない。


「うむ、いい夢を見るのじゃぞ。」


久々に走って疲れたから眠い。俺はすぐに眠りに落ちた。




「ぬしよ。おい!起きるのじゃ!」


「ん、うーん…」


体がだるい。


「敵が来たのじゃ!」


滝さんって誰だ?


「一部の業界で大人気のオークじゃ!」


オーク…オーク……


―オークは将太を組み伏せた。


「え?うわ!魔物じゃないか!はなせ!!なんで起こしてくれないんですか!」


「ぬしが起きなかったのじゃ!」


「毒!毒を食らえ!!」


―オークは崩れ消え去った。


「助かった…。さっきなんで俺組み伏せられていたんですか?霧の追加効果がかかったままだったから危険はなかったのかもしれませんけど。」


「オークはの、いい漢をみつけると、エロいことをしてしまう個体もいるのじゃ。」


「え?じゃ、じゃぁ、さっきのって」


「危ないところじゃったの?」


「姫騎士とかを襲うんじゃないんですか?!」


「そっちも襲うようじゃ。好みで分かれるのじゃろう。」


「なんでこんなところにいるんだよ…Lv3程度の雑魚しかいないはずじゃ…。」


「いい漢でも探しておったんじゃろう。ちなみに、イケメンのオークもいるらしいのじゃ。」


「そういうのいらないです…。」


異世界の野営怖い。ソロはムリゲーだな…。


「それで、安全が確保できたことじゃし、もう一度寝るのかや?」


「いえ、もう目が覚めてしまいましたし、移動しようかと思います。」


「そうか、おぬしが寝ておる間の安全確保の方法を考えておいたのじゃが。」


トリアテ様仕事早いな。


「もう見つかったんですか?俺は全然思いつかなかったのですけど。」


「いくつかあるのじゃ。まず、おぬしが既に持っているスキルで何とかする方法じゃ。霧は寝ている間も維持できるみたいじゃから、毒・麻痺・睡眠を付与したままにする事じゃ。」


「ああ、そういえば出しっぱなしにできていましたね。なら、それでいきましょうか。」


「いや、これには問題があるのじゃ。維持にはMPを消費するから寝て覚めたらMPが回復していないどころか減っていることになるのじゃ。しかも無差別攻撃じゃから誰も来ないところでしか使えぬ。」


「だめじゃん。MPってどれくらい維持に使っていたかわかりますか?」


人が来ないところでなら極めて安全な方法だし、寝てなくても使うから重要な情報だ。


「おぬし…何のためにログを取ったのじゃ?」


「あ、すいません…。MP2消費が3回ありますね。」


「寝ていたのは4時間12分5秒じゃったから、1時間当たりMP消費2かや?燃費が良すぎるじゃろ。」


ん?6MP÷4時間で1時間当たり1.5じゃないのか?


「なにを不思議そうな顔をしておる。寝る前に維持した分を含めておらぬじゃろう?」


「あ、そうでした。」


MPは85もあるし、LVが上がればさらに増えるのだ。細かいことを気にする必要はない。ないのだ!


「次の方法は、魔物をテイムして寝ている間に護衛してもらう方法じゃな。魔物なら寝ていても敵の接近に気が付くはずじゃ。たまにぼーっとしているのがおるからそこは気をつけねば…って、どこに行くのじゃ?」


「新しい仲間を迎えに行くのです!魔物調教[入門]スキルはもう取得しました!」


「待つのじゃ。ここの弱い魔物をテイムしてどうする?おぬしならもっと強そうなのをテイムできるはずじゃ。」


「弱い魔物から育てるのがいいのです!入門では1体しかテイムできない上にテイム条件が厳しいみたいですが、俺は負けません!なるのだ、ビーストマスターにッ!!」


「そういえば、ダンジョンマスターになりたいとか言っておったの。魔物使いでもよかったんじゃな。それにしても、よく魔物調教をみつけられたのう?騎馬調教や手なずけるに汎用型の調教や支配、眷属化と似たようなのがたくさんあるのじゃが…。」


「眷属化があったんですか?!しくじったッ!取り直すか…。」


「やめるのじゃ。眷属化は解除コストが跳ね上がるし眷属主が弱いと逆効果なのじゃ。」


「霧があるじゃないですか?」


「強化値はスキルの階級が低いと引き継げないし、霧はユニークスキルじゃから伝説級にしないと無理じゃ。そして、ランクを上げるのなら方向性が同じならほとんど変わらぬ性能になるから同じじゃ。」


「同じになるなら眷属化に変えたいのですけど?」


「眷属化は人間にも効果があるから、他の勇者に見つかると何か言われるかもしれないのじゃ。」


「うーん、それは良くないような?でも、魔物調教でも何か言われるような気がするし…。」


「眷属化は達人級になるまで1体、達人級でも3体しか眷属にできないのじゃ。ビーストマスターを目指すならたくさんテイムする予定なのじゃろう?」


「1体と3体か。うーん…魔物調教ならたくさんテイムできるんですよね?」


「魔物調教は魔物に限定している分、数と機能が充実しておるのじゃ。」


「機能も充実か。なら、魔物調教で頑張ろうと思います。ちなみに、その機能の内容って教えてもらえたりします?」


「もちろんじゃ。

[入門]は服従させた魔物を1体テイムできる。

[初級]は3体テイムできて、服従の意志が無くても弱らせればテイムできる。テイムした魔物のステータスを見れる。

[中級]は10体テイムできて、魔物と簡単な意思疎通ができるようになる。

[上級]は100体テイムできて、Lvが10以上低い魔物は戦わずともテイムできる。意思疎通もより高度にできるようになる。

[達人級]は数の上限がなくなり、引き寄せと異空間への保管が可能になる。

[英雄級] は魔物のステータスの1割を引き継ぎ、弱点属性を緩和し、テイムの乗っ取りが可能になり、魔物の復活もできる。

[伝説級] は幻想種のテイムが可能になる。

[神話級]は魔物調教にこじつければ何でもできる。

こんな感じじゃ。」


「階級上げると凄いですね。っていうか、ユニークスキルって何かに特化しただけの階級の高いスキルってだけなんじゃぁ?」


「だいたいそうじゃ。高ランクスキルなら大体なんとかなる。じゃから、ぬしが調子に乗って好き勝手するとあっさり他の勇者に討伐されることになるのじゃ。」


「特に神話級の存在感がやばそうです。」


「神話級をもっているのは今のところ神だけじゃ。新しく入手したものが出てきたところで、加減を間違えれば神から集中攻撃を食らうだけじゃ。なんせ神話級を持っているのじゃから神同士という扱いになり干渉し放題じゃからの。」


「なんという落とし穴。つまり、俺が万が一にも神話級を取得できたとしてもしない方がいいという事でしょうか?」


「そういうわけではない。チュートリアが破綻するようなことをしでかさなければ大丈夫じゃ。世界征服に乗り出したところで何の妨害もないどころか面白がって支援してもらえる可能性が高いはずじゃ。」


「あーなるほど、魔物を全部調教して人間も魔物もみんな仲良し!とかやったらまずいってことですね。」


「まぁ、そうなるのう。」


「でも、世界征服目前で面白がって横やりが入ったりしないんですか?」


「偉業達成を妨害するとトロフィーがもらえなくなるのじゃ。そんなことをする奴は他の神たちからフルボッコにされるのじゃ。世界征服なんていうレア物を妨害したら絶対に許してもらえないのじゃ。」


「そのトロフィーって世界征服した奴だけもらえるんじゃないんですか?」


「世界征服じゃぞ?生き残っている勇者は皆同じ陣営じゃ。貢献度が低ければ準トロフィーになるが、何かするにしてももらってからでも遅くはないのじゃ。」


「ああ、それもそうですね。ちなみに、トロフィーって何か意味があるのですか?」


「ほかの神に自慢できるのじゃ。」


「別に要らないような…。」


「何を言うか。就職の時に有利になるし、暇神製じゃぞ?世界征服ともなれば城みたいなトロフィーが送られるに違いないのじゃ!」


「就職に有利になるなら先にいってくださいよ。それなら何か達成できるように頑張らないと。何か俺に取れそうな物ってあります?」


「偉業について世界征服以外は教えない決まりなのじゃ。例えば、蒸気機関を発明とか教えると偉業達成とは違うものになってしまうじゃろ?」


「ただの早い者勝ちですね。そういう事なら仕方ないので地道に頑張りますよ。ってしまった!早くテイムしに行かないと。」


「町について落ち着いてからではだめなのかや?今から向かえば十分日没に間に合う時間なのじゃが。」


「コンプリートしてないのに次の街に進むなんてとんでもない!」


「1体しかテイムできないからコンプリートなんてできないのじゃ。」


「くッ!テイムして逃がすなんて非道はできないからどうすれば…。」


「次に進んでLvを上げればいいのじゃ…。」


「うう…、せめて記念すべき旅パ1体目は厳選に厳選を重ねてやる……!!」


「これ今日中に終わるのかや?」


~類似スキルについて学ぼう~

ほとんど効果が同じに見えるスキルってありますよね?あるんです。

これらは別物なのか?って思いますよね?そのはずです。

なんと、だいたい同じものなんです!大抵は似たようなことができるんです。大丈夫なんです。

でも、より限定的なスキルの方が効果が高めなので、使い道が既に決まっているのなら、それに合ったスキルを選びましょう。イチオシです。

決まってないなら、できるだけ範囲の広いスキルを取りましょう。意外なところでも役に立ちます。安心です。スキル効果が足りなくても、スキルのランクを上げれば何とかなります。Lvを上げればいいんです。


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