旗取り4
◆◆◆旗取り4◆◆◆
「編成は、変更なしでいいですね?」
「フッ、昨日はあえて負けてやっただけだ。今日も同じように対処できると思われては困る。」
「もちろんよ!私の修行の成果、見せてあげるわ!」
―ミレイもやる気のようだ。
「1日しかしていないでしょう…。」
「鑑定は結構修行向きのスキルのようじゃな。鏡の前で自分を鑑定しながら動きを確認しておったぞ。」
「その理屈だと、俺が動きを覚える時も役に立ちそうだな。」
「もしかして私の訓練方法の話?その時は、私が手取り足取り教えてあげるよ、おにいちゃん!」
「ああ、今度からは頼むな。」
「んじゃーアタシらはまた防衛だなッ!好きなだけこっちに回していーんだぜッ!」
「スルー出来たら、そうさせてもらうよ。」
っていうか、夏海ちゃんは移動禁止だろ。防衛しないならどうするつもりだったんだ?
「これより、20VS20Bランク挑戦マッチを開始します!選手の方々、準備はよろしいですか?もちろん大丈夫でしょうから、カウントを開始いたしますね!5、4、3、2、1、試合開始!」
「この試合って結局強引に始めるんだな。」
「きっと、戦争前のおにいちゃんみたいに待って、待って!とか言って引き延ばすやつがいたんじゃない?」
「いや、俺そんな事言ってないし。まぁ、待って欲しいとは思ってたかもしれないけど…。」
「っと、こんなことしてる場合じゃなかったわね。とりあえず、槍でも投げるわ。」
「当たるか?」
「槍自体は魔王さんに土で作ってもらうし、嫌がらせ程度にはなるんじゃない?」
「我が闇の力を込められし、漆黒の槍を授けよう…!!」
「ありがとう。よーし、ガンガン投げるわよ!」
―マカが槍を投げ、魔王様がどんどん槍を作って渡している。
「うーん、討伐報告が出ないわね。向こうも反撃してこないし、もういいわ。行きましょう!」
「まぁ、これで勝っても面白くないしな。」
「敵いないな。すれ違ったのか?」
「それならおねえちゃん達がなんとかしてくれるでしょ。あ、魔光草じゃない。もらっとこ。」
「勝手に貰っていいのか?」
「大丈夫よ。昨日も何も言われなかったわ。」
「いつの間に取ってたんだよ…。」
「おにいちゃんがやられた後ね。いろいろ生えてたからちょっともらったのよ。」
「よくそうやって集めているのに、錬金した薬を使うところめったに見ないけど、どうしてるんだ?」
「ストックが全然足りないのよ!せめて99個は貯めないと!なくてもいい時は使わないわ!」
「いや、使えよ…。エリクサーじゃないんだから。」
「99個超えたら使うわよ。」
「そうか、じゃぁたくさん集めてくれ…。」
「まっかせなさい!」
「ねぇ、私の目がおかしいのかしら?砦があるように見えるんだけど。」
「俺がウルちゃんと作ったやつより立派だと…?!」
「そこなの?まぁ、こんなの作ってるんだったらもっと槍投げてやればよかったわ。」
「見たところ被害が出ているわけでもなさそうだし、全然当たってなかったんじゃないか?」
「そうかもしれないわ、所詮は入門よね。もうちょっと上げた方がいいのかしら?」
「まぁ、それは後にして、どうする?」
―鋭く矢が飛んできた。もちろん盾で防いだが。
なんか、この盾急に活躍しだしたな。
「悠長に作戦立ててる暇が無くなったな。」
「そうね、戦いましょう!」
―マカが光の剣を盾に変えた。
「それ、短剣投げたらダメなのか?」
「魔が乗るからダメね。やっぱ下げておいた方が良かったんじゃないの?」
「ほら、なんかこう、事故があった時に咄嗟に対応できないと困るじゃん?」
「事故ってこんな試合で何があるのよ?」
「剣聖が全力の一撃を放ったりとか?」
「うわ、無駄にありそうで嫌ね…。ん?何故か向こうから5人くらい攻めてきてくれたわね。」
「「「「「アースウォール」」」」」
―あっという間に壁を作られてしまった。
「ただの土壁とは笑止、滅せよ。」
―魔王様が土壁に闇ビームを放った。貫通してないよな?
「来るわ!」
5人とも軽装だが、左手に盾を構えて一斉にこちらに走ってきた。やっぱり向こうだけ走れるなんてずるい。
―敵がミレイに向けて一斉にボウガンを放った。盾の裏に仕込んであったみたいだ。
「もー、なんでわたしだけー。」
ミレイは枝で防げたみたいだ。
「アースエッジ!」
「「「「アースエッジ!」」」」
―5人の剣から土属性攻撃が発射された。
「緊急かいひ!」
ミレイは大きくなって人型部分を回避させて幹で受けたようだ。っていうか、そっちが本体だろ…。
まぁ、ミレイが大きくなったならちょうどいい。
「風よ…!!」
魔法で2人吹き飛ばした。
「矢を吹き飛ばしたときに気が付いたんだけど、風は威力の調整がしやすいみたいなんだよね。」
「それはおぬしの勘違いじゃ。おぬしは台風ぐらいの風を起こそうとしておるからそれくらいの風になる。水魔法の使い方が間違っておるだけじゃ。」
「風よ…!!」
―さらに2人吹き飛ばした。あと1人だな。
「使い慣れぬものをいきなり使おうとするから思わぬ効果が出ることがあるというわけじゃな。」
「風よ、あいつを吹き飛ばせ!あっ!!」
―離脱を始めている敵を、恐怖を振り撒く暴風がさらっていった。
「またやったようじゃな。威力を指定せぬからじゃ。」
「だ、大丈夫かな…?」
「我が半身よ、後でその魔法の使い方を我にも教えよ。」
「いいですけど、魔王様は光属性なんじゃ…?」
「断じて光属性ではない!くっ…あれだけスキルがあるのだから、我にも他の属性を扱えるはずなのだ。きっと見落として…。」
「ま、まぁ、魔王様に教えるのは問題ないからいいか。」
手取り足取り教えてあげるとしよう…!!
「おにいちゃん、やるじゃない!最後の以外は投げ槍でしとめたわ!」
さすがにミレイは反撃する余裕がなかったか。主に俺の風のせいで。
「闘技場チーム5名戦闘不能です!今回の挑戦者側は無傷!いやぁ、やってくれますね!」
「どうやら最後の人も大丈夫だったみたいだ。」
~投げ槍~
「そういえば、最近は槍ばっかり投げてるよな?なにかあったのか?」
「あー、それね。治癒の勇者が投げるんなら槍だろってうるさいのよ。」
「やっぱり夏海ちゃんか。」
「でも、実際槍が都合がいいのよね。投げやすいし、突き刺すタイプの武器だから効果も大きいし。光の短剣はタダで用意できるけど威力過剰なのよね。」
「短剣ってそんなに威力デカいのか?」
「んー、じゃぁ、あの岩に投げるから見てて。」
―マカが素早く短剣を投げ、岩に突き刺さったかと思うと眩い光を放ち岩をえぐり取った。
「ね?魔が上がってからはこの調子なのよ。刺さらなければ発動しないんだけど危ないのよね。」
「そういえば、光攻撃とかついてたな。これの事か…。」
「もっと使いやすい武器落ちてないかしら?」




