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霧の勇者は業が深い  作者: 彼岸花@
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トワイトライ5

◆◆◆トワイトライ5◆◆◆

「デストリンドに比べてだいぶ立派な壁だな…。」


「デストリンドの壁は3mくらいしかないのに、この壁は…ふむふむ、平均8.24mらしいわ。ちょっとくらい分けてもらえないかしら?」


「そのまま使えるわけでもないんだし、向こうで用意した方が早いって。」


「はぁ、そうなのよねぇ…。」


「これからトワイトライを占領するんだよね?俺たちも行った方がいいのかな?」


「既に、トワイトライに強い人は残っていません。デストリンド軍を強化するだけで被害を抑えての制圧が可能でしょう。」


「ということは、ここで彼らが戦功を立てるのを眺めていればいいのか、俺向きだな。」


「門を壊すのは修理費がかかるので適切ではありません。先駆けて開門しておいたほうがいいでしょう。」


「開門か…、霧でやればいいか。近づくやつは麻痺か睡眠…いや、石化の方がいいか。」


「石化?後で仕留める気なの?」


「いやいや、逆だって。麻痺や睡眠だと通りかかった兵士にトドメを刺されるかもしれないだろ?石化なら放置してくれるんじゃないか?」


「そういう事。なら、石化の方がよさそうね。」


「それじゃ、早速。」


霧の移動速度は俺の速依存らしく、かなり速い。何らかの効果を乗せない限り攻撃力は無いので適当に扱っても被害が出ないからとても使い勝手がいい。しかも、識別のおかげで直接は見えない門の向こう側の構造もまる解りだ。


「よーし、開門開門。いやぁ、楽な仕事だった。あとはよろしくおねがいしまーす!」


デストリンド軍に手を振っておいた。


「突入が始まったわね。さすがに堂々と門を開けたら警戒されるかとも思ったけど、あれなら大丈夫そうね。」


「わざわざ霧で何をしているか見えるようにしておいて良かったよ。それにしても、能力拡張はこんなに便利なのに使っている人が少ない気がするんだけど、なんでだろう?」


「当り前じゃないの、役に立たないからよ。」


「ん?そうか?」


「ええ、そうよ?」


「いや、でも、識別付与とか便利だぞ?」


「それはおにいちゃんの霧の射程が長くて操作も可能だからよ。そもそも識別攻撃は射程が長いし即時効果を発生させることができるから、単体で使った方が早いわ。」


「えっと…身体強化とかは?」


「身体強化攻撃のランクを上げれば範囲化するし、普通はおにいちゃんみたいに連打したらいくらMPがあっても足りないわよ?」


「うーん、ほら、投擲の威力を上げたいとかあるじゃん?」


「投擲を上げればいいじゃない。」


「それもそうか。じゃぁ、ユニークスキルを強化したいときとかは拡張しかないよね?」


「ユニークスキルを引き合いに出した時点ですでに希少性があるのだけどまぁいいわ。逆に私が聞きたいくらいよ。鑑定やシミュレーション、治癒に蟹に壁。なにかいい拡張ってあるかしら?」


「あー、俺もトリアテ様もいいのが思いつかないんだよね…。」


「でしょう?だからみんな拡張とか何もしてないのよ。純粋にメインスキルを伸ばすか、メインスキルの弱点を補うかって所ね。それを思えば、便利ってだけでSPを使う人も少ないわね。」


「まぁ、そんなもんか。それにしても、補助系スキルって優遇されすぎている気がするんだけど、どうなんだ?」


「優遇なんかされてないわよ?」


「え?」


「ああ、おにいちゃんは何々級っていう意味を勘違いしているみたいね。」


「そうか?普通に文字通りだと思うんだけど。」


「そうねぇ、英雄ならこれくらいできるっていうのが英雄級なんじゃなくて、英雄級のスキルさえ持っていれば英雄並みの成果が出せるっていう事なのよ。」


「うん?どう違うんだ?」


「剣術の英雄級なら弾丸や魔法を居合切りできてもおかしくはないでしょう?」


「まぁ、そうなんじゃないか?」


「じゃぁ、おにいちゃんが気に入っている跳躍だけでそんなことができて当たり前の英雄級と渡り合おう

とすると、どれくらい跳躍を強化する必要があると思う?30mくらいジャンプできればいいのかしら?

オリンピックでは活躍できるかもしれないけど、それは私たちの身体能力があればできることだし、

尺度が間違っているわ。」


「だから、特殊な跳躍が出来るようになるのか。」


「そうね。補助系のスキルは純粋に能力を伸ばしていってもどうにもならないから、出来ることが増えていくの。水上に壁、空中を跳べるようになってやっと達人。でも英雄にはなれない。もともと飛行できる種族がいるのにそんなんじゃ英雄にはなれないわ。だから、チュートリアの神様は、空間跳躍できれば英雄になれるかもしれない。そう思ったんじゃないかしら。」


「ようするに、元々が弱いスキルほど、高ランクになるにつれてめちゃくちゃな性能になるってことか。」


「まぁだいたいそんな感じね。」


開始早々にすることが無くなった俺たちはこんな無駄話をしているくらい暇だった。


野営地に戻って寝るわけにもいかないのでどうしようもないのだ。


~デストリンド軍勝利~

速報によると、デストリンド軍はトワイトライへの侵攻に成功し占領したとの事であった。

我が軍の被害は軽微。近日中に追加の報告があるとの事だ。


デストリンド 町長代理 シルヴィア・デストリンド・オーステン


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