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霧の勇者は業が深い  作者: 彼岸花@
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スタンピードの後始末

◆◆◆スタンピードの後始末◆◆◆

「みなさん、所有している使い道の無い装備はどんどん置いて行ってください。」


「一部じゃなかったのか?」


「売れなかったら返品してもらえばいいんですよ。」


「それもそうか。効果の無いミスリル装備ならたくさんあるし、ドサドサッと出しておくか。」


本当にたくさんあった。武器はともかく、同じ部位の防具なんて役に立たない。防具でもLvを上げるとエンチャントが生えるらしいので、10着くらいは残してもいいかもしれないが、今装備しているものはネネリムちゃんのオススメの品だから役に立たないかもしれない。


「あれ、防具のLvってどうやったら上がるんだ?」


「吸収できなかった経験値が装備に回ったりしますよ。将太さんの場合は、Lv差が10以上あって経験値が手に入らない場合が多いので、すでに相当上がっているのでは?」


「マジか。後で鑑定してもらおう…。とりあえず、これくらいでいいか。」


山のように積みあがった。防具ってやっぱり嵩張るね。


「それでは、挨拶したら別行動にしましょう。」


「買い物。」


「我は一度冒険者ギルドの偵察に行くとしよう。」


「私は、シルヴィアさんに顔を見せてきますね。」


「俺は、ミレイと夏海ちゃんの様子でも見に行くか。」




西門の門番をやっていた人を見つけたらついでにお礼を言おうと思い、西門から出ることにした。


門番をしていたのは残念ながら知らない人だったので普通に門を出ることになったが。おそらく、あの時の人はどこかで戦っているのだろう。


こちらは夏海ちゃんが向かった方だからか、既に敵はあらかた倒したようだ。霧の識別を使えば確実な索敵ができるだろうけど、混乱を招くだけな気がするのでやめておいた方がいいだろう。ミニMAPでは2人は北の方にいるみたいだからそっちに向かおうか。とりあえず、浮遊付与で浮いていれば向こうが見つけてくれるだろう。


ちなみに、今浮遊付与を解除できているのは識別付与[達人級]を使えば浮遊状態のみを識別してMP拡散を使えたからだ。おかげで変な効果が発動しても解除する手段として役に立ってくれるはずだ。




北側も後片付けの真っ最中だった。


「よう!隊長じゃねーかッ!遅かったなッ!」


(Lv16にしかならなかった。)


「町長さんに挨拶とかしてたから遅くなったんだ。Lvはまぁ、敵のLvが最高で6だったんだろう。」


「それはいいけど腹減ったぜ。飯食いにいかねーか?」


「双子たちはシルヴィアっていう町長さんの娘さんのところにいるから、きっと何か呼ばれながら話でもしているだろうし、魔王様とウルちゃんを誘ってレストランでも行こうか。」


戦利品と思える魔物の素材がたくさん転がってはいるが、ミスリル装備に比べれば誤差みたいなものだ。集めるのが面倒だし置いて行った方がいいだろう。


「これ持っていこーぜッ!」


牛っぽい魔物だがサイズがでかい。食えるのだろうか?レストランの人かネネリムちゃんあたりに聞けば解るか。


「1頭だけにしとけよ?DPは結構あるんだろ?」


「おっけーおっけー。欲しくなったら狩りに行けばいいもんなッ!」


「いや、買おうよ…。ミレイはいいのか?」


(私はもうたくさん食べたからおなかいっぱいだよー。)


「あ、ああ、もう食べたのか。」


体当たりするついでに吸い取ったのだろう。いわれてみれば干からびているヤツが結構ある。さっきまで食事中だったのだろう。


「じゃあ、ミレイは別行動でもいいぞ?」


(ううん、私も行くー。私、待つのは得意なんだ~。)


「そっか、じゃぁ行こうか。」




MAPではウルちゃんの方が近かったのでウルちゃんのところによってみた。


「なにか掘り出し物はあったかい?」


「一つ見つけた。」


―ウルちゃんは露店に並ぶ分厚い本を指さしている。


「なにかの魔法書か何かなのか?」


「そう、真実の書。」


―真実の書と聞こえた住民たちが逃げるように去っていった。


「おいおい、嬢ちゃん、これが真実の書だって?ほら、開いても大丈夫じゃねぇか。」


店主が本を開いて見せている。もしかして真実の書って呪いの本なのか?


「それは普通の本のフリをしているだけ。煙でもかけてやれば本性を見せる。」


「ほんとかよ?まぁ、安かったから火でちょっとあぶるくらいならいいけどよ。」


―店主はたばこ用に持っていた着火棒(発火草を先端に巻いた棒)を取り出し火をつけて本に近づけた。


「ブラドーラは最近妻に不満がある、肌の張りが減ってきたこと。」


「う、わあああま、まて!」


「少し太ってきたこと、何より、態度が大きくなったこt」


「フーーン!」


―店主が腰に佩いていたロングソードで真実の書を真っ二つにした。


「やっべぇ、助かったよ嬢ちゃん。危うくヤバイもんを売るところだった。」


「そうかい、助かって良かったじゃないか。」


「え?あ、いや、これは」


「悪いね、今日は店仕舞いだ。また今度来てくんな。」


「あ、はい。俺たちはこれで…。」


心の中で思っていたことを暴露するとか超危険じゃないか…。


「うまく扱えばとても強力。新しい本を探す。」


「いや、あれはやめようよ。」


「そっかー?正直になれていいんじゃねーの?」


「絶対危険だから。間違いない。」


「おぬしの好みとかどこを見ていたとかを暴露してしまうからのう?」


「お、お許しくださいトリアテ様。」


「後でうまいものでも贈ってもらおうかのう?」


「やり方は知らないけど、レストランでデザートをいくつか注文してそれを贈りますので。」


「ふむふむ、それで手を打つのじゃ。」


さすがトリアテ様は優しい。




~真実の書~

ダンジョンでよく発見される迷惑アイテムの一つ。

所有した者の人間関係を不和にさせるようなことを口走るうえに、それが真実ばかりである事から恐れられている。多くの個体は開くことでその正体を現すが、あえてギリギリまで好機を待つ個体などもあり、その場合は豪華な本にしか見えないので注意が必要だ。

ただのアイテムであるため破壊しても経験値を得ることができず、破壊すると真実を読み取れなくなってしまうのが残念だ。有害図書のため、本館では展示を見合わせています。

国立王都ゼスムライア第一図書館 副館長 ダーリ・エンデラング


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